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白き女神の肖像 の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2023/04/16

美しき絵は、人を呑み込む。 それはまるで、我が子を喰らうサトゥルヌスのように。 凝った造りの装丁に胸がときめく。 絵画と画家と、モデルたちの物語は、ファンタジーそのものだ。 「天使派」と呼ばれる芸術家集団たちは、目に見えるものを、美の神の使者として、キャンバスに描く。 しかし、そ...

美しき絵は、人を呑み込む。 それはまるで、我が子を喰らうサトゥルヌスのように。 凝った造りの装丁に胸がときめく。 絵画と画家と、モデルたちの物語は、ファンタジーそのものだ。 「天使派」と呼ばれる芸術家集団たちは、目に見えるものを、美の神の使者として、キャンバスに描く。 しかし、その絵に描かれたのは、モデルであってモデルでない。 現在から過去へ戻り、また現在に戻ってくる物語の構造はオペラ座の怪人のようだ。 美に取り憑かれ、しかしてその美は神なのか、それとも悪魔なのか、画家にも、見るものにも分からない。 もしかしたら、ただ1人だけその正体に気づいていたかもしれないが。 よく言えば余韻の残る、悪く言えば少しわかりにくい終わり方をする。 個人的には仮面劇のシーンは面白かったが、結局女神とはなんだったのか、もう少し迫っても良かったように思う。 また、絵画のタイトルが、今ひとつ垢抜けないように感じた。 現実世界の画家を思わせないようにしたのかもしれないが、イメージがラファエル前派だったので、少し寄せても良かったのでは。

Posted byブクログ

2022/06/27

あまりにも美しい表紙と耽美な装丁に吸い寄せられて手に取った。 「あなたは、誰?」 この一文でこの幻想譚は始まる。 1800年代後半から1900年代前半まで活躍した画家(もちろん架空の人物であろう)ショーンは、妻のディアーナをモデルに描いた「東方ノ乙女」という肖像画で、一躍時代...

あまりにも美しい表紙と耽美な装丁に吸い寄せられて手に取った。 「あなたは、誰?」 この一文でこの幻想譚は始まる。 1800年代後半から1900年代前半まで活躍した画家(もちろん架空の人物であろう)ショーンは、妻のディアーナをモデルに描いた「東方ノ乙女」という肖像画で、一躍時代の嬰児となった。ショーンの画風は見たままを見たまま描くといったもので、作中では「天使派」と呼ばれている。 そんなショーンの作品を見ようと、1970年に今は古びた無人の赤煉瓦の屋敷…かつてはショーンの自宅兼アトリエであった屋敷・通称「夢幻の館」に、美術研究家カーライルが足を踏み入れた。 そこで見つけた未完の肖像。 その肖像には、顔が描かれていなかった。 描きかけというわけではない。この絵は一体…? そのような謎を残して、舞台はショーンたちが生きていた時代のアイリノス(嘆きの花の町)へ。 かつてはショーンを中心にたくさんの芸術家たちが集っていた夢幻の館。 賑やかななか、訪れる皆から美しい、本物の女神のようだ、モデルになってくれと懇願されるディアーナはなんともいえない思いをする。 「東方ノ乙女」を見ながら、この絵にあるのはやはり私ではない。ショーンが描いたものはもちろん、他の誰がディアーナを描いても、やはりディアーナにはそれが自分とは思えない… 私を通して、私ではない何かを他の人たちは見ている? そしてまたショーンも、取り憑かれたようにディアーナを描き続けずにはいられなかった。 その不思議な現象について、最後まで読んだうえでわかるような、わからないような…でもなんなのだろうこれはと、読後も考え込んでしまう。 これは、幻想的な女神譚、とでも言えばいいのだろうか。 それとも私がこの本を通して読んで想像してきたのは、果たして「女神」と呼べるものだったのだろうか? 作中の人物たちとともに翻弄され、頭を抱えているのだろうか? 美しい、とは、なんなのだろうか? 第三章・魔都の女神のエピソードが他の章の中でも異質で、それでいてこの物語の答えを一番表現しているように思えた。 わからないと思うなら、ただのよくわからない物語と一蹴してもいい。 でも、私はつい、白き女神の肖像というタイトルを眺めながら考えてしまう。 見たままを描いたはずのものが「見たまま」ではなかったら?少し身震いがする。それ以外にも思うところはあるのだが、うまく言葉にならない。 正直バッドエンドなのか、幻想的なよくある物語なのかすらわからない。 でも読後もどこか惹きつけられる。自分の目に映る世界が全てではないような気がしてくるからか? なぜなのか誰か教えてくれないか? いろんな人の感想がききたくなるお話だった。 美しい表紙の貴女は誰なのだろう?

Posted byブクログ

2022/02/24

結末も詳細もよくわからなかったがストーリーは面白かった!表紙が綺麗! この世で最も美しい赤は文字で書いた赤→言葉一つにあらゆる赤が内装されていて、そのイメージは尽きることがない。 これは分かるけど文字で書いた赤は赤なのか??

Posted byブクログ

2021/02/26

幻想的な小説だった。 どの登場人物にも共感できず、入り込むことができなかった。 表紙の絵は、よくも悪くもないとは思うけれども、どうしてもイメージが引きずられてしまうので、もっとあいまいな表紙の方がよかったのではないかと思う。

Posted byブクログ

2020/12/31

結局ディアーナとローズマリーがなぜ妙な事を言い出したのかわからないので、もやもやしたまま終わった。 アルガバルとアルバガルが混在してるので、どちらが正しいのかはっきりしてほしい。

Posted byブクログ

2020/12/27

初読みの作家さん。東京創元社からのメールマガジンでタイトルと紹介文を読み、「これはおもしろそうだ」とサイン本(^o^)を予約した。うーん、一気に読んでしまったし、おもしろかったのだけれど、期待していたものとは違っていた。雰囲気で読ませるタイプの幻想譚、だろうか。結局なんだったのか...

初読みの作家さん。東京創元社からのメールマガジンでタイトルと紹介文を読み、「これはおもしろそうだ」とサイン本(^o^)を予約した。うーん、一気に読んでしまったし、おもしろかったのだけれど、期待していたものとは違っていた。雰囲気で読ませるタイプの幻想譚、だろうか。結局なんだったのか、もやもやとした感じが拭えない。でも好きなタイプの作家さんだったので、他の著作も読んでみよう。

Posted byブクログ