二人がいた食卓 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
真綿で首を絞めるというのはこういうことか。 すれ違いの話ではあるんですが、普通のすれ違いと違って、主人公が夫のことを対等な人として見ていなかったのが別れの根本的な原因であるように思います。徹頭徹尾、自分の正解にこだわって相手の希望をほぼ聞かないことが麻生サチのエピソードから分かって恐ろしかったです。外堀の埋め方も、日常的に正論で逃げ道が潰されていたところもぞっとしました。夫はそんな風に表面を取り繕われて、自分の心情は妻を含めてだれも知らないなんて孤独だったんだろうな。 行間を変に深読みしただけかも知れませんが、個人的に夫は、お互いダメなところも愛し合っていけたらいいなと考えているタイプだと思うので、読んでいて辛いシーンがいくつもありました。主人公の、目の前の人より、理想の目の前の人を求めてしまう気持ちは痛いほどよく分かるけど。
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親しみやすくて残酷な話 泉は、旺文はどう振舞うのが良かったんだろう…お互い歩みよらなかったわけじゃない。一緒にいる努力を全くしなかったわけじゃない。 根本的な価値観の不一致? これって乗り越えられるのか? そういったことを考えさせられる良い一冊でした。
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心がざわざわし、そのざわつきは頁を捲る毎に増長して行く。 食がテーマでこんなにも不穏な作品は珍しい。 旺介と泉は同じ会社に勤める20代の夫婦。 泉はコレステロール値が高い夫を気遣いヘルシーな食事作りに気持ちを注ぐが、かたや夫は偏食でファミレス舌。 エスカレートして行く泉の料理...
心がざわざわし、そのざわつきは頁を捲る毎に増長して行く。 食がテーマでこんなにも不穏な作品は珍しい。 旺介と泉は同じ会社に勤める20代の夫婦。 泉はコレステロール値が高い夫を気遣いヘルシーな食事作りに気持ちを注ぐが、かたや夫は偏食でファミレス舌。 エスカレートして行く泉の料理と対照的に徐々に心が冷えて行く旺介。 この食事作りは夫の為なのか自己満足なのか、私には執着に感じホラーの様にすら思える。 旺介の気持ちも分からなくもないが、彼が取ったある行動には嫌悪感を抱いてしまう。 たかが食、されど食、さじ加減を誤ると待っているのは破滅。
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苦しさがすごい。 よく「食べることは生きること」と言うけれど、相手の「食べること」の否定が、夫婦としての相手そのものの否定になってしまったというか。 食事に対する食い違いがお互いをどんどん苦しめ、追い詰めていって、それ以外の部分で相手に惹かれたり救われたりしていても、修復できな...
苦しさがすごい。 よく「食べることは生きること」と言うけれど、相手の「食べること」の否定が、夫婦としての相手そのものの否定になってしまったというか。 食事に対する食い違いがお互いをどんどん苦しめ、追い詰めていって、それ以外の部分で相手に惹かれたり救われたりしていても、修復できなくなってしまった話だった。 いい人が多かったし、主人公の父に対する旺介のシーンと、義父母の30年の話、北極から来た人の話、「おいしいは味じゃない。食べたいものを食べるから」の話、魚屋の身贔屓の話など、じーんとしたりハッとさせられるエピソードも多かったけど、それだけで問題が解決するわけじゃないところがリアルだった。そしてよけいに苦しい。
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2022.11 終始重苦しかった。食の好みも生活リズムも人に合わせるのは難しい、結婚向いてないなと思った。
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料理が好きでない私から見たら、泉さんはすごい奥さん。相手の健康を思って、良かれと思って作っていた料理が相手を苦しめていた。読んでで、気の毒になる話だった。もう少しお互い話をして、歩み寄れたら良かったのにと思うばかりだった。泉さんに幸あれ。
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自分も主婦で、ご飯を1人で作っているからこそわかる気持ちがあった。泉に肩入れして読んでいたので、辛かった。
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夫婦のすれ違いを描いた作品。 * * * * * そもそも最初からかみ合っていない夫婦でした。食の好みの違いは大きい。夫婦仲を左右するに十分です。 それでも互いの嗜好は恋人時代からわかっていたことだと思います。そこに目をつぶってでも結婚しようと決心したのなら、...
夫婦のすれ違いを描いた作品。 * * * * * そもそも最初からかみ合っていない夫婦でした。食の好みの違いは大きい。夫婦仲を左右するに十分です。 それでも互いの嗜好は恋人時代からわかっていたことだと思います。そこに目をつぶってでも結婚しようと決心したのなら、やはり譲り合うべきでした。 とはいえ、マヨラーとは食卓をともにしたいと思わないし、泉の押しつけがましさや嫉妬深さには興醒めだし、どっちもどっちの夫婦模様ではありました。 だから関係が破綻してゆく様子にも同情も共感もさほど湧きませんでした。 最後に、自身の未熟さや浅はかさに気づき、吹っ切れた泉の描写で少し救われた気がしました。 ( 生育過程での事情には酌むべき点はあるものの、そのツケを生涯の伴侶に求めるのは違うと思います。) その折り合いをどうつけるのか。泉のその後の話を読みたくなりました。
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この作者の「給食のお兄さん」が面白くて、今回も手にとってしまいました。 うーん、食の好みとかは難しい。 少しずつすれ違っていくこと、夫婦だとありますよね。 どうにかハッピーエンドになって欲しいと思ってましたが、残念だった。でもそれぞれ新しい生活が始められて良かったなぁっと思います...
この作者の「給食のお兄さん」が面白くて、今回も手にとってしまいました。 うーん、食の好みとかは難しい。 少しずつすれ違っていくこと、夫婦だとありますよね。 どうにかハッピーエンドになって欲しいと思ってましたが、残念だった。でもそれぞれ新しい生活が始められて良かったなぁっと思いますよ。新しいことをするのってホントに労力使いますよね。
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図書館で借りたもの。 毎日食卓を囲み、互いの気持ちや体調を察するのが夫婦のあるべき姿と考える妻の泉。一方、夫の旺介は、泉が整える夫婦の「形」に馴染めずにいる。それぞれの方法で歩み寄ろうとするふたりだが…。「食」ですれ違う夫婦の物語。 初読みの作家さん。 食事の好みというか、生活スタイルが違うことを許せないのが問題かもね。 それまでの自分のペースってものがあるし。 『他人をどうにかできると思わないこと』!これに尽きる。 お互いを尊重していかないと。 自分が作ったものを食べずに、買ってきたものを食べるのは確かにショック…。 「(夜じゃなくて)朝ごはんに食べるよ」って言われても、「いや、自分だけのご飯ならそもそも作らなくてよかったんだけど!?」ってムカついてたなw でも、その時々で「これが食べたい!」っていう気持ちも分かるしね…。 泉の愛が重くて…外堀を埋めてく感じがこわかった。 それでもやっぱり浮気・不倫は許せないけど。 読んでて苦しかった。。
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