その他もろもろ ―ある予言譚― の商品レビュー
百年ぶりの再販だそうで。フェミニズムディストピアとのこと。イギリスでは第一次世界大戦の被害が激しく、建て直しが必要だった。物語では人間を階級分けし、同じランクでないと結婚できない。イギリスって、爵位とか一番うるさい国だよね?結局それを遂行してる大臣自身が身分違いの結婚をして弾劾さ...
百年ぶりの再販だそうで。フェミニズムディストピアとのこと。イギリスでは第一次世界大戦の被害が激しく、建て直しが必要だった。物語では人間を階級分けし、同じランクでないと結婚できない。イギリスって、爵位とか一番うるさい国だよね?結局それを遂行してる大臣自身が身分違いの結婚をして弾劾される。物語としてよりも、体制批判のため発禁扱いという。まあ仕方なかったな。読みやすいし、結構いやみなく、上品な書き方だと思う。
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第一次大戦後のイギリス。国民を知力でランク分けし、子どもに引き継ぐ知能の観点からその国民の結婚を推奨すべきか否かを確認。その是非によって賞罰を与えるという政策を打ち出す脳務省に勤めるキティは、脳務大臣のニコラスと密かに付き合っているが…という話。 なぜ国民を知力でランク分け...
第一次大戦後のイギリス。国民を知力でランク分けし、子どもに引き継ぐ知能の観点からその国民の結婚を推奨すべきか否かを確認。その是非によって賞罰を与えるという政策を打ち出す脳務省に勤めるキティは、脳務大臣のニコラスと密かに付き合っているが…という話。 なぜ国民を知力でランク分けするかというと、人間の知力の無さ、愚かさが人間を戦争に向かわせる、ということが理由であり、事の始まりは善意である。戦争で傷ついた人々を希望へと立ち返らせるための政策であったはずが、その極端さでかえって人々を束縛することの皮肉。 こうした悪法がいかにして人々へ行き渡るのか、その手法やコツが、これまさに今政治の世界で行われていることなのでは…?という、100年前に書かれたものとは思えないほど共通点があって、100年間進歩がないとも言えるし、人々は学んでいないとも言える…と危機感を覚えてしまう。 この本は政府側、メディア側が圧倒的な悪なのではなくて、それを受け取る国民側にも非があって、善悪の区別が明確ではない。それがかえってすごくリアルである。この強烈なブラックユーモアが100年前の世界から現代へ、鮮明なまま通じてしまう、そんな本だった。
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