オール★アメリカン★ボーイズ の商品レビュー
総合的に見れば中学/高校生向けしれませんが、大人こそ読んだ方が良い作品だと思います。 内容は大人が読むには簡単すぎで物足りないとおもいますが、歴史背景や文化や現在のアメリカの日常に起こっていることを把握できていないと深く読み解くことはできないと思います。 差別に苦しむのは若い世代...
総合的に見れば中学/高校生向けしれませんが、大人こそ読んだ方が良い作品だと思います。 内容は大人が読むには簡単すぎで物足りないとおもいますが、歴史背景や文化や現在のアメリカの日常に起こっていることを把握できていないと深く読み解くことはできないと思います。 差別に苦しむのは若い世代だけでなく、大人になった我々の方が深く根付いてしまい、中々、凝り固まった偏見の目を変えることは難しいと感じさせられる作品です。
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良かった。 アメリカにおける差別の構造を白人の視点から、黒人の視点から見つめる。 ほぼ『ブラインドスポッティング』なのだが、文章を辿ることで分かることがある。 見えてくるものもある。 最初の2ページと最後の2ページを並べて泣いてしまった。 この本は殺された多くの黒人の命から生ま...
良かった。 アメリカにおける差別の構造を白人の視点から、黒人の視点から見つめる。 ほぼ『ブラインドスポッティング』なのだが、文章を辿ることで分かることがある。 見えてくるものもある。 最初の2ページと最後の2ページを並べて泣いてしまった。 この本は殺された多くの黒人の命から生まれた。 つらい。 『ブラインドスポッティング』を観て心を揺さぶられた人は此方も是非どうぞ。 ジェイソン・レノルズ、これからもついていきたい。 逆にブレンダン・カイリーは初めましてだったので他の本も読んでみたいな。
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令和3年度神奈川県児童福祉審議会推薦優良図書 気になっていたけど後回しにしていた本。アメリカの若者達、黒人が不当に扱われている実情が綴られていました。話は高校生十六歳の黒人ラシャドと白人クインが交互に語って進みます(著者も二人で執筆)。二人は同じバスケットチームに所属していますが...
令和3年度神奈川県児童福祉審議会推薦優良図書 気になっていたけど後回しにしていた本。アメリカの若者達、黒人が不当に扱われている実情が綴られていました。話は高校生十六歳の黒人ラシャドと白人クインが交互に語って進みます(著者も二人で執筆)。二人は同じバスケットチームに所属していますが、さほど仲良くはしていません。ある日ラシャドは店内トラブルに巻き込まれて不当に逮捕されます。しかも、死ぬかもしれないほどの暴力を受けて…。クインはその現場を目撃しますが、ラシャドには気づかず、警官の方が自分に親切にしてくれた、これまたチームメイトの兄だと気付き、その暴力に恐ろしくなってその場から立ち去るのです。その日からデモまてが語られます。 数字は嘘をつかないと数学の先生が語った話が印象的でした(P291)。2012年イギリスで警察に射殺されたのは、人種問わず一名。(略)アメリカでは2012年までの連続七年間、毎週ほぼ二人の黒人が白人警察に殺されている。 七十四のおばあさんは公民権運動を経験している。差別もリンチもせんぶおぼえてる。選挙にだっていけなかった(P278)。というのにも驚いた。ほんとうについ最近まで人権どころの話じゃない扱いだったのだ。 アメリカ、問題は根深い。
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2人の視点から描かれる街で起こった事件は、この2人だけでなく多くの人を考えさせるきっかけになっていく。ラシャドは自分の身に起こったことでありながら半分うわの空、クインは白人に囲まれ生きてきて自分で考えることを放棄していた少年だった。実際に見える距離に事件が起こり、自分の頭で考え行動に変えていく2人の人生は強い芯と勇気を持って輝いていったように感じた。 印象に残ったシーンがいくつかある。 はじめてクインが行動に移した「見えない人間」を音読した時、どんな気持ちだっただろうと思いを寄せた。何が正義かという問いにまだ答えを見つけきれていない中で直感的にやらなければという使命感に突き動かされたクラスメイトたちがすごく印象に残るシーンだった。「正しいことを言うとか、間違ったことを言わないだけじゃなくて、それ以上のなにかを。」(本文p248より抜粋) フィッツジェラルドさんの想いを聞くことは戦時中のおばあちゃんの話を聞くようだった。実際にその時代を生き、その目で見た人の言葉は到底他の人がまねできない力強いものがある。そしてそれが戦った人ではなく戦えなかった側の考えであったことも今のラシャドと重なる部分がありラシャドにとってはっとさせられる言葉だっただろうなと思い、その言葉・想いに重みを感じた。 またラシャドがそれをきくことと同時期にクインも「ラシャドが道に倒れていたとき、俺はどこにいた?この時代に黒人の若者たちが路上で暴行されているとき、俺はどこにいた?〜(中略)〜俺は逃げてたんだ。」と気づき自分の頭で考え意思を持ち行動しようと決意する姿に心打たれた。 私は日本に住み、その中でも田舎という地に住んでいて人種差別というものを肌で感じる機会がない。だから関係ない、という話ではない。この話は人種問題だけの話ではなく他の問題についても通づるものが多くあるととても感じた。実際、多くの問題がこの世の中には存在してる。でも私は存在している、ことを知っている、ただそれだけなんだと突きつけられた気持ちだった。私は今何をしている?ウクライナとロシアの戦争をみて、性差別の現状をみて、いじめの問題をみて、私は今何をしているんだろう?これらの問題に対して実世界の行動として私にできることはほとんどないかもしれない。が、私はただニュースで流れてきた問題を傍観しそのまま受け入れ、自ら知ろうとさえしていないことに危機感を覚えた。クインは今動かなければ未来はないんだと教えてくれた。 この話はクインとラシャドの話ではあるが、多くの立場の人が描かれていた。加害者、被害者、その家族、友人、学校の生徒、先生。そう、これは社会の問題で当事者だけの話ではない。この本ではいろんな立場に想いを馳せることになったが、偏らない多くの意見を聞くことで、正解不正解という単純な形に落とし込むことではなく、自分で考え、その先に持てる意見があるとおもった。読者にどうしてもこれが正しいと言いたいわけではない(とはいえ世の中には自分の善悪がやはり存在するが)。人はやっぱり互いにしろうとしなければならないのだと、私はそう感じた。 この本を書いた著者は2人だという。とても興味深いと思った。だからこそここまで深く多くの意見や想いを感じることができた。 素晴らしい本だった。
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YA 黒人への暴力、差別 ポテチを盗んだと勘違いされ警察に激しい暴力を受ける 事件に対して異なる反応をする人達が描かれて意識の違いが分かる
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何を信じて、何を守るために立ち上がるかってことが大切なんだ。 「不正が行われているときに中立であろうとするならば、抑圧する側に立つことを選んだことになる」デズモンド・ツツ なかなか! 差別って、結局差別されてる側に立たなきゃわからない。 黒人と白人の両方から事件に切り込んでいくってすごい発想。 警官のポールは・・・ そこは語られないんだ、っていうか、変わらないんだろうなあ、だから、事件は繰り返される。
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白人警官に膝で首を押さえつけられ息ができずに亡くなったジョージフロイド事件を思い起こさせる小説。 同様の体験をした黒人の筆者と、その友人である白人の筆者による共著。それぞれの人種の立場から見える世界を交互に描き物語が進んでいく。
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昨今のBLM(ブラック・ライブズ・マター)運動を受けた、黒人への差別をテーマとして取り上げた小説は少なくありませんが、 ・白人警官に一方的に暴力を振るわれた黒人少年 ・暴力をふるった白人警官の弟と、その親友 が同じ高校に通っている、というのは現在のアメリカ社会の複雑さをよく表して...
昨今のBLM(ブラック・ライブズ・マター)運動を受けた、黒人への差別をテーマとして取り上げた小説は少なくありませんが、 ・白人警官に一方的に暴力を振るわれた黒人少年 ・暴力をふるった白人警官の弟と、その親友 が同じ高校に通っている、というのは現在のアメリカ社会の複雑さをよく表している設定だと思いました。 黒人少年・ラシャドと、警官の暴行を目撃していた白人少年クィン(警官と、その弟と、家族ぐるみの付き合いがあった)の二人の視点から交互に描かれますが、二人の著者がそれぞれのパートを担当したこともあってか、差別を受けるもの・差別をするもの(あるいはその社会状況を受け入れるもの)の双方から、非常にリアリティのある文章で描かれていると感じます。 「自分は人種差別などしない」と考えている(思いこんでいる)人にこそ、ぜひ読んで欲しい作品です。 「世界から差別をなくす」ということは簡単ではありません。これまでの歴史で刻まれた溝や、宗教の違い、見た目の差など、自分(自分が所属する集団)とは異なる相手のありのままの姿を受け入れることが難しい、という事もあります。しかし、だからといって相手を排斥したり、不平等な扱いをしたりすることが正当化されるわけではありません。 アメリカの人種差別問題が(その数の多さもあって)注目されていますが、翻って日本に目を向けてみれば、アイヌ民族などの少数民族が「同化政策」によって自らの文化を捨てるように強制されたり、在日朝鮮人などがヘイトスピーチの対象となったりするなど、決して他人ごとではありません。 「不正が行われているときに中立であろうとするならば、抑圧する側に立つのを選んだことになる」という、南アフリカで人種問題を戦ったデズモンド・ツツの言葉が本作で紹介されていましたが、これは人種差別でも、学校でも起こる「いじめ」でも、共通して言えることだと感じます。 間違っていることをみて、「それはおかしい」と声を上げることは、勇気がいることです。しかし、いじめや差別、もっと大きな視点で見れば国全体が戦争に向かうような世論になったときに「反対だ」と声を上げることができるかどうか。それが、これからの社会を形作ってゆくうえで一番身につけなければならない力なのではないか、と感じます。
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2月はBHM・ブラックヒストリーマンスだったので積読になっていたこの本を読みました。ヤングアダルトということでなんとなく読むのを後回しにしてしまっていたのですがとにかく素晴らしい一冊でした。 男性作家の作品を女性翻訳者が手掛ける、または女性作家の本を男性翻訳者が訳した文芸作品...
2月はBHM・ブラックヒストリーマンスだったので積読になっていたこの本を読みました。ヤングアダルトということでなんとなく読むのを後回しにしてしまっていたのですがとにかく素晴らしい一冊でした。 男性作家の作品を女性翻訳者が手掛ける、または女性作家の本を男性翻訳者が訳した文芸作品に名作は無い、というのが長年の読書経験から得た自分の持論なのですが、この翻訳者の方の仕事は素晴らしかったです。正直、最初はちょっとこれ受け付けないかなぁと思って読み進めていたのですが、黒人の若い男の子の会話やノリやカルチャーが本当にとても上手く表現されていてとてもリアルでした。そのおかげでこの物語の核心である暴力や差別などもリアルなものとして感じられました。英文で読んでもこんな感動は無かったと思います。この翻訳者さんの次回作は発売日にリアルタイムで読もうと思いました。 BLM運動、日本ではなんでもいいから反日反米したい左巻きの人達と中国人が結託していたのが分かりやすくバレていて盛り上がりもなく冷笑しかされませんでしたね。でもアメリカに住んでいたことがある人なら誰でも分かると思うのですが、アメリカの警官って本当にひどいんですよ。日系コミュニティはホームレスのいない唯一の人種コミュニティという事である程度の知識層の人達からは日本人もリスペクトを受けますが、白人警官には通用しません。他人事ではないんです。まして奴隷だった黒人には本当に何してもいいと思っている、これは警官だけではなく、カレンと呼ばれるババアでも知られる通り白人全体にある。日本人で言えば、都心で関西弁喋ってる奴はとにかく職質して全員殺してもいい、みたいなノリですよ…自分も嫌な思いしたことあります、そういう意味でもNYやLAに住んでいたことのある知り合いにこの本を勧めました。 おじいちゃんやおばあちゃんの作家が書いた本や古典以外の新刊の翻訳書が年々手に入らない時代になってきているのが本当にさみしいです。このようなカルチャーを知ることができる新刊が沢山翻訳される事とこのような素晴らしい翻訳者の仕事が増える事を願っています。
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※このレビューにはネタバレを含みます
被害者である黒人の少年の視点と傍観者である白人の少年の2つの視点で描かれた作品。1つの事件をきっかけに社会に根づく偏見や差別が顕になったとき、それぞれの少年が何を考え、どのような行動をとるのか。印象的だったのは、中立や傍観者という立場も一種の差別、偏見、暴力であること。誰かが無関心である限り、世の中は何も変わらないということ。 本作を読んでいるとき、最近放送されているドラマ『ミステリと言うもの勿れ』の、「真実は人の数だけある、でも事実は1つ」といった内容のセリフを思い出しました。この作品で起こった出来事にも2つの真実があります。1つは黒人の少年の無実なのに盗みを疑われて、暴力を受けたこと。もう1つは加害者側の警官による、窃盗を犯そうとした少年を逮捕しようとしたこと。しかし、事実は抵抗もしてない少年に警官が必要以上の暴行を加えたこと。警察や司法で公平に裁かなければならないのは事実で、私たちが考えなければならないのは警官の罪ではなく、警官の偏見や差別を生み出してしまった社会や歴史なのだと思いました。
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