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ポストコロナ期を生きるきみたちへ の商品レビュー

3.5

26件のお客様レビュー

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2024/05/21

(2022/1/8) 2020年、まだコロナ第2波くらい、オリンピック延期、という段階で書かれたアンソロジー。 日本の知性が集結している。多くの方が参加している。 読み始めたとき、それぞれのお名前の横に簡単な肩書しか書かれておらず、 もう少し人物紹介すればいいのに、、、と思...

(2022/1/8) 2020年、まだコロナ第2波くらい、オリンピック延期、という段階で書かれたアンソロジー。 日本の知性が集結している。多くの方が参加している。 読み始めたとき、それぞれのお名前の横に簡単な肩書しか書かれておらず、 もう少し人物紹介すればいいのに、、、と思ったのだが、巻末にまとめて紹介されていた。 この本は中高生向きなので、それぞれの著者を知らない可能性が高く、人物紹介が長いとかえって予断を持って読み始めてしまうので、避けたのかな、と推察。 私は彼らの著作を結構読んでいるので、背景を知って読むとより立体的に読めた気がする。 一つ一つのコラムにコメントをするのは野暮なので辞めておくが、一番心を動かされたのは、雨宮処凛さんのコラム。 ペット連れの要生活保護者をどう支援するか。役所は「犬を処分してから来い」と言い放つ。 確かにその考えは自分の頭の中にもある。生きるか死ぬかの状態で支援を求めるのにペットなんて贅沢!と。 しかしその一方、モノではなく生きているペットを捨てる、殺すなどできるはずもないと、、、 我が家にも猫がいるが、極端に憶病なので、地震で避難所に行くことになったらどうなるのか?いやそもそも避難所が受け付けないか、、 話戻ってそうした人を支援する彼女たち。当然お金が必要。これをどう集めるか。 自分は寄付できるか? 日ごろ人の役に立ちたい、などと言っていても、そこに目が向くか。 反省。 それに関連して、ベーシックインカムに注目するコラムもいくつか。 クソ面白くない仕事をAIに任せる。 イギリスをダメにした高福祉、働かなくても食えることに劣等感、感情を持たせるようにしたサッチャー。これは今の日本にもある。生活保護を受けづらくする。 しかし金はあって暇がある、という状態が様々な文化を生む側面もある。 オリザさんも別の切り口ではあるが、不要不急の芸術の必要性を訴える。 ・・・もしAIが何でもやってくれて、富がうまく社会に分配されるようになれば、人々は金のためにあくせくするのではなく、本当に人の役に立つために、自分の好きなことをして働けるのではないかな。 なまじ労働が貨幣価値に代替されるから、怠ける人が出るのでは、、、 いくつかのコラムからそんなことを感じた。 あ、それと、「椎名林檎になるための方法を教えてくれるのはどこの学校か?」と真剣に聞く大学生がいたという話は衝撃的だった。増田聡さん。 正解が学校にある、と思っている日本の教育システムの膿のような話。 。。。しかし、こういう本があるということは、日本の知性が捨てたもんじゃないことの証でもある。希望はある。 こんなコロナ禍ではあるが、前を向いて生きていきましょう!

Posted byブクログ

2024/05/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 非常事態に「いちばんましな答え」を探し出すには今までにはなかったものを発案・発明しなければならない。そのためには、「知性」を高め、上の偉い人に怒られることを恐れずに、人が本来持つ想像力を羽ばたかせる必要がある。  情報の真贋や信憑性を自分で判断する「目」を持つことで、あらかじめ用意された「正解」の知識に頼りすぎず、長い時間軸で物事を考える習慣を身につけることができる。 自分の能力以上に自由を与えられたとき、人はそのストレスに疲れて、自由を手放してもいいから、上の偉い人に物事を決めてほしい、と投げ出してしまいたくなる。この状況になった時に、支配するもの、支配されるものにきっぱりとわかれる。そういった状況の際に支配される側にならないように、自由をマネージメントする能力を、自分で少しずつ磨いていかなければならない。  子供のころから、親や教師などの「上の偉い人」に服従した経験しかなければ、大人になってからも、「誰かに服従することしかできない人間」になってしまう。上の人に服従するたびに、心の中でそれに「反抗」する気持ちを持っておくことが大切、そういう習慣が身につくことで、上の偉い人の良し悪しを自ら判断し、いざというときには、自らの身を守れる選択をとることができるようになる。  ダブルメジャーの重要性 1つの分野だけで戦うにはリスクを伴う。非常事態に破綻に追い込まれないためにも自分を支える大きな柱を二つ以上持つことがこれからの社会で生き抜いていくには必須になるのではないか。

Posted byブクログ

2024/05/16

コロナが切っ掛けで編まれた本だけど、いつ読んでも学べるものがあると思う。本当に変だよ日本社会。 どうすればいいのかは皆目わからないのだけど、とりあえずは自分にも他人にも誠実に振る舞うことは止めないようにせねば。

Posted byブクログ

2023/08/11

2020年、COVID-19が席巻した世界では次々と社会の歪みが露呈した。そのコロナ期とポストコロナ期に、次世代の若者たちがどう生きるべきかを内田樹をはじめとした様々な年代の言論人たちが語る。 内田さんが声をかけて集まった様々な分野の今をときめく著名人たちがコロナとコロナ後の世...

2020年、COVID-19が席巻した世界では次々と社会の歪みが露呈した。そのコロナ期とポストコロナ期に、次世代の若者たちがどう生きるべきかを内田樹をはじめとした様々な年代の言論人たちが語る。 内田さんが声をかけて集まった様々な分野の今をときめく著名人たちがコロナとコロナ後の世界をテーマに執筆しました。内田さんのセレクトだけあってみんなけっこう尖っていて(偏っていて)どれも読み応えのある内容でした。中学生向きということで平易な文章で一編が短いのも読みやすくていいと思います。そしてみんな分野が違うので、コロナ期というものを違う角度から見ているのも面白い。また、分野が違っても結局、多くの著者が今世紀に入ってからの日本の教育が間違っていると言及しているところが内田さんセレクトらしくていいし、実際にその通りだと感じます。 近代に入ってから特徴的なのは膨大な富を得た後に残る負債を残らず次世代に押し付けるところ。これを明確にあぶり出したのがコロナで、コロナがあってもなくても次世代の若者たちは老人たちのケツを拭きながら生きる羽目になります。そのことに若者たちと、おそらく現役世代に含まれる私たちがどう向き合って生きなければならないのか、時代のまさに転換点に生きているということを感じさせる本でした。 特にキューバを例とした無料医療に言及した三砂ちづるさんの章が勉強になりました。ということでゲバラの若き日の旅路を描いた「モーターサイクルダイアリーズ」も併せてお楽しみください。この映画はすごくよかった。本も出てる。 あ、あとバランスを取るために武田邦彦の「君が地球を守る必要はありません」もどうぞ。

Posted byブクログ

2023/01/05

中高生を想定読者とした、現在30代〜70代の20名からのメッセージ。今回のパンデミックであらわになった日本社会の欠陥について、こんなに不出来な社会を後続世代に遺すことになってしまった責任を感じ、補正しきれなかった悔しさがにじむ。 世代が変わると考え方や行動も変わる。是非、現状を...

中高生を想定読者とした、現在30代〜70代の20名からのメッセージ。今回のパンデミックであらわになった日本社会の欠陥について、こんなに不出来な社会を後続世代に遺すことになってしまった責任を感じ、補正しきれなかった悔しさがにじむ。 世代が変わると考え方や行動も変わる。是非、現状を反面教師として欲しいです。

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2022/12/14

斎藤幸平さんの名前があったので読んでみた。 一番心に残ったのは平川克美さんの文章だろうか。会社勤めするようになって当たり前のように見聞きしてきた経済合理性。原価を絞り、無駄を排除して、より低価格の製品を提供する。お客様の要望に応え、お客様が期待する以上の価値を生み出すこと。製造業...

斎藤幸平さんの名前があったので読んでみた。 一番心に残ったのは平川克美さんの文章だろうか。会社勤めするようになって当たり前のように見聞きしてきた経済合理性。原価を絞り、無駄を排除して、より低価格の製品を提供する。お客様の要望に応え、お客様が期待する以上の価値を生み出すこと。製造業をはじめ、経済はそのようにして成長するものだと思っていた。 しかし、現在は総供給が総需要を上回っている状態。必要ないものを売るための広告やマーケティングなど、ブルシットジョブ(この本で言及してる人の多いこと!)が蔓延し、限られた利潤を確保するために「集中と選択」という言葉に現れるように、偏った資源配分をし、競争優位性のない部門は排除すべきとの考え。この競争優位性、経済合理性といった考え方は、巨大企業や金融市場が成長を続けるために流布されたもの。これが人々の価値基準や判断基準のモノサシとなり、格差やブルシットジョブを生み出すことになった。コロナ禍はその脆弱性を露呈させた。無駄を排除した結果、緊急時の備蓄がない、余剰人員を持たない保健所や医療現場、高齢者より若者を優先すべきだとの優生思想。さらに、経済かコロナ対策か、という議論自体が、経済合理性というただ一本のモノサシで語られているということ。 大学生活が単に勉強をすること、即ちオンライン授業さえ受けていれば事足りるのとは違うということもコロナ禍で見えてきた。 仕事とは何か、大学とは何をする場なのかを再考する機会を持とう、社会で当たり前とされる考え方、メディアの喧伝するものに次第に染まってしまう危うさを意識するようにしよう、そう思った。

Posted byブクログ

2022/12/09

豪華な面々がコロナ禍を思い思いに語る。それぞれの自己紹介から始まり、時勢に対する持論を。19人分掲載されているので、内容が浅いのが惜しい。まるで1時間特番のテレビ番組に豪華ゲストを呼び過ぎて中身がなくなってしまったような感じだ。更に、中学生向けにという内田樹氏から各人にオファーが...

豪華な面々がコロナ禍を思い思いに語る。それぞれの自己紹介から始まり、時勢に対する持論を。19人分掲載されているので、内容が浅いのが惜しい。まるで1時間特番のテレビ番組に豪華ゲストを呼び過ぎて中身がなくなってしまったような感じだ。更に、中学生向けにという内田樹氏から各人にオファーが出ていたらしい。なるほど、対象外である。 斎藤幸平にもいつもの切れ味はないし、雨宮処凛はお馴染みペット連れのホームレス話。えらいてんちょうは全共闘の親の話。岩田健太郎はコロナ感染者の統計話。中田考だけは面白いなと思ったが、後の著者は、ダイジェスト版を更に噛み砕いたような中身で、歯ごたえも味もしない。まるでコロナの味覚障害がポストコロナを語りし、皮肉である。

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2022/10/29

面白かった〜 30代から70代の、それぞれ生業が違う著者による寄稿集。 世代によってか、なんとなく色が分かれてたのがまた興味深い。 引用してるデータはもちろん、参考文献が結構かぶってるのも興味深かった。 対象読者である大学生の知り合いに贈りたいし、こういうテーマについてよく話す友...

面白かった〜 30代から70代の、それぞれ生業が違う著者による寄稿集。 世代によってか、なんとなく色が分かれてたのがまた興味深い。 引用してるデータはもちろん、参考文献が結構かぶってるのも興味深かった。 対象読者である大学生の知り合いに贈りたいし、こういうテーマについてよく話す友人にも読んでほしい。

Posted byブクログ

2022/10/16

最近よく言われるところのブルシットジョッブの蔓延と厚遇は、本来最高収入が約束されてもおかしくない3K仕事が正当に評価されないという社会問題を生み出す。 命を大切にすることに携わる人々を蔑ろにするということがこれ以上進んでゆくと、尊厳死や安楽死を認めるような社会になる素地を作ってし...

最近よく言われるところのブルシットジョッブの蔓延と厚遇は、本来最高収入が約束されてもおかしくない3K仕事が正当に評価されないという社会問題を生み出す。 命を大切にすることに携わる人々を蔑ろにするということがこれ以上進んでゆくと、尊厳死や安楽死を認めるような社会になる素地を作ってしまうのではないか。

Posted byブクログ

2022/05/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

・過疎でも過密でもないちょうどよい状態:適疎 ・教員や図書館はジャングルジムに似ている。その使い方に定まった決まりはない。 ・レンマの知性を鍛錬するチャンス ・人間、暇じゃないとクリエイティブなことはできない ・どうしてできるのか説明できないけど、やってしまっている仕事が残る ・合理性はあくまでものさしの一つ

Posted byブクログ