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飛ぶ孔雀 の商品レビュー

3.5

16件のお客様レビュー

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2024/07/14

時間が一方向に流れているわけではなく、複数の空間が明確に区別されずに侵犯しあっている感じ。それでいて、登場人物やエピソードといったパーツ単位で見れば、伏線が回収されるような必然性がある。この非論理性と、論理を超えた必然性の同居というのは、まさに夢を見ているときの感覚に近いのかも。...

時間が一方向に流れているわけではなく、複数の空間が明確に区別されずに侵犯しあっている感じ。それでいて、登場人物やエピソードといったパーツ単位で見れば、伏線が回収されるような必然性がある。この非論理性と、論理を超えた必然性の同居というのは、まさに夢を見ているときの感覚に近いのかも。その分、筋は掴みづらかったが、部分ごとの照合と、文体の鮮烈さを拾うように読んだ。

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2024/04/11

とても評価が難しい作品。私自身 “幻想小説” も “山尾悠子“ さんの作品も初めてなので尚更困惑しました。普段一番読むのがミステリなので、つい伏線とか繋がりとかを意識して読み始めますが、間もなく「もしかしたら伏線回収とかされないのでは?」から「そもそも意味や理由すらなく幻想的な世...

とても評価が難しい作品。私自身 “幻想小説” も “山尾悠子“ さんの作品も初めてなので尚更困惑しました。普段一番読むのがミステリなので、つい伏線とか繋がりとかを意識して読み始めますが、間もなく「もしかしたら伏線回収とかされないのでは?」から「そもそも意味や理由すらなく幻想的な世界を楽しむ本なのでは?」と分からなくなってきます。 要はどこまで本気で登場人物や地理を具体的にイメージしながら読み進めるべきかがはっきりしないので不安なのです。更にその判断を遅らせるのが登場人物の名前で、似た名前の人がでてきたり、同じ名前なのに別人として登場したりします。 なので挫折しそうになる度にネットで ヒントを探しますが、やはり難解に感じる人が多いようですっきりする解説や考察はなく、モヤモヤしたまま読み終わりました。 実は読了後に山尾悠子さんが本作について語ったエッセイが紹介されているサイトをみつけました。評価の★4は、それを読んだ上でのものです。しかし作者の解説を知る前に読んだ方が幻想小説としては楽しめると思いますので、未読の方は注意して下さい。 ―――以下ネタバレ含む――― 山尾悠子さんのエッセイには “火が燃え難いというイメージがどこから来たのかもはや覚えていない。前半は思いきり濃厚な和風テイスト、後半はそれとは対照的な架空の世界、というつもりで書き始めたのだが、後半の架空度は思ったほど絶対的なものとはならなかった” や “ 我ながらまったく妙な小説を書いてしまったので、筋道だった解説文など本人も書けないのである” 、また “この本で作者が真面目に気に入っているのは、ラスト2ページほどの〈付け足しのエンディング〉の部分。ロープウェイの青い照明のゴンドラが夜間飛行のように街の中心へ降りていき、ビルの屋上に着地するところ。ラストの女の子の(特に何ということもない)セリフ” などと書かれており、作者自身も意味や繋がりよりもイメージを大切にしていることが分かります。 それを踏まえた上での感想ですが、時々悪く言えば「煙に巻いてやろう」というのが透けて見えるような所かあると感じてしまい手放しで共感はできないのですが、1度挫折というか離れた時間があっても不思議とまた読みたくなる魅力がありました。また忘れちゃったから初めからという時も苦ではなかったです。以上から★4とさせて頂きました。

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2024/03/17

俯瞰で世界を見渡しているうちに ピントが合った景色に入り込むようで 次々に切り替わる場面の目眩く様と 溢れ返る表現に取り込まれる感覚が 不思議で面白くて 自分の想像では達する事が出来ない世界を本を通して見るって楽しいな、と思う

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2023/06/06

トマス ピンチョンは未読なのですが、ことによるとピンチョン的作品なのかもと思いました。 音楽で言うと、フリージャズやアンビエント系の様な抽象が中心をなしている。 合わないと苦痛かも知れません。散漫の美学、中央の無いカオスの美学かもと思います。

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2022/11/01

読み返したら、もう少しわかるのかなぁ。 イメージはなんとなく捕まえられますが、時空を行ったり来たり。非常に脳髄をゆすられながら読んでいる感じになりました。たまには、よいのかもしれません。

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2022/08/28

中編が2つ。1つめは、石切り場の事故で火が燃えにくくなり、火を運ぶ娘が大茶会で孔雀になる話。もう1つは、事故現場近くのラボへ送られた男が戻ってくるまでの話。と、いうことなのですが、あまりに難解でよく分かりませんでした。日本SF大賞や大臣賞を取ってますが、審査員はちゃんと理解できた...

中編が2つ。1つめは、石切り場の事故で火が燃えにくくなり、火を運ぶ娘が大茶会で孔雀になる話。もう1つは、事故現場近くのラボへ送られた男が戻ってくるまでの話。と、いうことなのですが、あまりに難解でよく分かりませんでした。日本SF大賞や大臣賞を取ってますが、審査員はちゃんと理解できたんでしょうか....

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2021/12/11

わからない…正直に言って…わからない…。 一章ごと、あるいは一小節、時には一文ごとに様々なパラレルワールドが展開され、自分が今何処にいるのかが、わからなくなる…。 読み終えた今も、作品のどこかに留まったままのような気がする…。

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2021/09/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

文体に慣れなくて読むのにものすごく時間がかかってしまった。 ジャケ買いした今年の夏読書やったんやけど、夏終わってしもたやんけ。 これは子育てしながらちみちみ読むもんじゃなかった。人物も時空も入り乱れてるので(章ごとにじゃないよ。一文ごとに入り乱れてるからね)腰据えて読まんとわけわからんなる…実際この話の半分も理解できとるとは言えない…でも世界観に圧倒されて思わず高評価…すごい… 舞台はSFで、手法は幻想文学なんかな。夢の中みたいな世界だよ。 最後みんな山に集結するとおもうやん。実際みんな山に来たやん。それでみんなの話が最後繋がるんやなあと思わせといて絶対に世界が交わらないという展開にすごい衝撃を受けた。

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2021/09/16

一言でいえば、奇妙奇天烈摩訶不思議。   とある本屋で印象的な表紙に目を止め、帯を読むと、「泉鏡花文学賞 日本SF大賞 芸術選奨文部科学大臣賞 三冠達成!!」と、あった。   これは買わねば! 買った。 読んだ。 失敗だった。   まず、意味が分からない。 誰が誰で、どこでどうし...

一言でいえば、奇妙奇天烈摩訶不思議。   とある本屋で印象的な表紙に目を止め、帯を読むと、「泉鏡花文学賞 日本SF大賞 芸術選奨文部科学大臣賞 三冠達成!!」と、あった。   これは買わねば! 買った。 読んだ。 失敗だった。   まず、意味が分からない。 誰が誰で、どこでどうした、のかが分からない。 ストーリーらしきものも感じられない。 読み解けない。   だから誰かに読んで欲しい。 「あれはこうなんだよ」と、未熟な私に解説して欲しい。 なにせ、巻末の解説さえも意味不明瞭だったのだから。   いや、それにしても西島伝法さんの「皆勤の徒」もえらく読み難く苦労させられたが、本書の「飛ぶ孔雀」に比べたら、おそろしく分かりやすく思える。読みやすい。 どちらも日本SF大賞受賞作。 もう止めようかな日本SF大賞受賞作読むの。辛すぎる。 いったん開いた本はできるだけ投げ出さずに、最後まで読むようにはしているが、今回はつかれた~。

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2021/09/08

シブレ山の石切り場で事故があって、火は燃え難くなった。 シブレ山の近くにあるシビレ山は、水銀を産し、大蛇が出て、雷が落ちやすいという。 真夏なのに回遊式庭園で大茶会が催され、「火を運ぶ女」に選ばれた娘たちに孔雀は襲いかかる。 ――「I 飛ぶ孔雀」 秋になれば、勤め人のKが地下の...

シブレ山の石切り場で事故があって、火は燃え難くなった。 シブレ山の近くにあるシビレ山は、水銀を産し、大蛇が出て、雷が落ちやすいという。 真夏なのに回遊式庭園で大茶会が催され、「火を運ぶ女」に選ばれた娘たちに孔雀は襲いかかる。 ――「I 飛ぶ孔雀」 秋になれば、勤め人のKが地下の公営浴場で路面電車の女運転士に出会う。若き劇団員のQは婚礼を挙げ、山頂の頭骨ラボへ赴任する。地下世界をうごめく大蛇、両側を自在に行き来する犬、男たちは無事に帰還できるのか? ――「II 不燃性について」

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