さざなみのよる の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
テレビドラマの脚本家でもある木皿泉さん。 私は木皿ドラマの大ファンであるが、 小説を読んだのは初めてだった。 木皿さんの文章はおもしろおかしい雰囲気なのに、 とにかくどの章も泣けた。電車の中で読むのはまずいと 途中から持ち歩くのをやめた。 泣かされている感じではなく、いつも心の奥が じんわりあったかくなって、それで涙がじわ〜っと出てくる。 本当に素敵な物語。 若くして病死したナスミと、関わってきた人たちの物語。 自分が死んだあと、こんなふうに思い出してもらえたら いいなぁと思う。誰にとっても、思い出したらじんわり 胸の奥があったかくなるような人でいられたら どんなによいだろうか。 悲しさではなく共に生きた喜びで泣いてもらえるような 生き方がしたい。ナスミみたいに。 ナスミの生き方は 「よいことも悪いことも受け止めて、最善を尽くすッ!」である。 こんなふうに書いてしまうとなんだか薄っぺらくなってしまうが、 この本を読めばそんなものではないとわかる。 楽しそうにしている姿の内側にある恐れや抱えていた孤独、 それらを受け止めて笑い飛ばすナスミの強さ、 まわりの人々に影響を及ぼす心の優しさ。 いきいきと生きたナスミの儚く力強い魅力が伝わってくるのである。 クスッと笑えてじんわりあたたまる。 小さな星が散りばめられているような物語。 たくさんの人に読んでほしい。 おんばざらだるまきりくそわか (この意味を知りたかったらネットで検索したりせずに この本を読むことをおすすめする) 私も唱えてみようっと!
Posted by
いいかげんそうに見えてたけど、死んでからその人の本当のことが分かるってあるからもしれない。 ポツリポツリで読んだけれど、それがまた余計にジワジワきました。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ナスミさんとナスミさんに関わった人たちの話。ナスミさんが亡くなったあとの皆の気持ちや気づきに感動したり温かい気持ちになった。いろんな人の視点で話が進むのが楽しかった。毎日大切に生きていこうと思える本だった。また読みたい。
Posted by
主人公のナスミさんが関わったすべての人たちのその後を書いたものです。 いいかげんそうにみえていたナスミさんが実は自分より人のことが好きで、いっぱい色んな事をかんがえていたんだと亡くなった後、気づくそんなステキな物語でした。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
大好きなドラマ『富士ファミリー』では既に幽霊だったナスミの生前が描かれてる…でもう涙。 ナスミ視点の第一話から涙でした。この本もしみじみ、良かったです。 小国一家や周囲の人たちの視点のお話も良かったけれど、愛子と光の話が特にぐっと来ました。 ドラマでははじめから馬鹿みたいに笑える人だと思ってた愛子、「ナスミさんになりたい」ってほどにナスミと関係が深かったとは。 第一話はまるっと、死にゆく人の心はこうかも、みたいな感覚でした。「わからないなりに、こんな感じかなと想像する」のですが、こんなに静かなのか。闘病が長いと、もう世界から降りているという感覚になるのかもしれない。 「いのちがやどる、とは、図書館で本を借りるようなもの」という光の哲学も良かった。 木皿泉さんの作る世界は、人物の濃さや、エピソードや会話の面白さに笑っていると、不意に哲学的な重さを投げ込まれるのでドキリとします。 設定や境遇はハードでも、すべての人たちがしゅくふくされていることに気付くので充足して観終わります。 あ〜『富士ファミリー』また観たくなりました、ナスミの幽霊に怯えまくる笑子ばあちゃんが恋しい。でも、ナスミが来るって言ってた日に一日中レジに座ってるシーン、寂しくて好きだった。おじいちゃんおばあちゃんが真剣な顔して遠くを見つめて何かを待ってるの、ほんとこう。はいりさんの笑子ばあちゃん、可愛くないのが可愛かったなぁ。 小国家のキャスティングがバチッとハマっていたのも好きでした。ナスミの小泉今日子さんと、愛子の仲里依紗さんも良かった。 片桐はいりさんのひとりはいり対談な解説も面白かったです。確かに、「昨夜のカレー、明日のパン」も死者が真ん中にいて家族が繋がってる奇妙な暖かさがある。こちらは立場が日出男に近い人物に重きを置かれていました。演じてるの仲里依紗さんだな
Posted by
この世は誰かの死後の世界… ナスミの人間像が語る人によって違って見える程に色んなことを考えている人物だったのだと、思った。
Posted by
500冊目!なのに放置しすぎていた…。 自分の死と向き合うとき、こんなに穏やかでいられるだろうか。若い頃はいつ死んでもいいと思ってたし後悔も特になかったけれど、結婚して子を持った今、絶対に死にたくなんかないと心から思う。 大切なものができるほど生に執着してしまう人生のシステムどう...
500冊目!なのに放置しすぎていた…。 自分の死と向き合うとき、こんなに穏やかでいられるだろうか。若い頃はいつ死んでもいいと思ってたし後悔も特になかったけれど、結婚して子を持った今、絶対に死にたくなんかないと心から思う。 大切なものができるほど生に執着してしまう人生のシステムどうにかしてほしい。 そういう意味で主人公は達観しすぎていて今思えばどうなのかと思うけど、主人公の死後も長く書かれていて残された者の人生もなぞれてそれは良かった。 2年前に読んだのに内容をわりと覚えてるので良い本だったと思うし、木皿さん初めて読んだけどとっても読みやすくてこれからお付き合いしていこうと思っていたことさえ忘れていた。 読書しよう、、、。
Posted by
よく、死んでも心の中で生き続けている、といった表現が使われるが、これはまさに、死者が生きてるいる者に与えている影響は想像以上であるということを表現する話。当然、一人の人がいなくなるというのは悲しいことだが、そこから新たな考えが得られたり、新たな幸せが生まれたりする。死はマイナスの...
よく、死んでも心の中で生き続けている、といった表現が使われるが、これはまさに、死者が生きてるいる者に与えている影響は想像以上であるということを表現する話。当然、一人の人がいなくなるというのは悲しいことだが、そこから新たな考えが得られたり、新たな幸せが生まれたりする。死はマイナスの面だけではないということを感じさせてくれた。
Posted by
“人生の道しるべ” 死ぬということは、自分にだけでなく、 周りにとってどういう意味を持つのか。 そのことを教えてくれた。 いきなり強烈な言葉を使ったけど、 この本は、その言葉が持つ残酷で悲しい意味とは全くかけはなれたものだった。 『今はね、...
“人生の道しるべ” 死ぬということは、自分にだけでなく、 周りにとってどういう意味を持つのか。 そのことを教えてくれた。 いきなり強烈な言葉を使ったけど、 この本は、その言葉が持つ残酷で悲しい意味とは全くかけはなれたものだった。 『今はね、私が戻れる場所でありたいの。誰かが、私に戻りたいって思ってくれるような、そんな人になりたいの。』 ナスミのような人に出会ってみたい。 今の自分にどんな言葉をかけてくれるのかな。 そう思うと同時に、彼女のように生きていたいと思った。 戻りたいと思ってもらえるような人に。 人生に悩んだ時、 彼女の存在が私の道しるべになってくれるだろう。 またひとつ、幸せのコンパスが増えた。。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
初めての作家さんの作品。 「なすみ」さんという人が亡くなる設定で 物語が始まりますが、 なすみさん本人からの物語ではなく 関わった人たち自身の物語の短編集 という感じでした。 その断片をつなげて、それぞれの「なすみ」さん像を 作っていけるのが良いと思います。 「どこに向かっていくのかわからない」話が 苦手なので、前半は少し退屈でした。 が、なすみさんの豪快な人柄を通して 小さいことにクヨクヨ悩まず 楽しく生きていきたいなと思えました。
Posted by