海をあげる の商品レビュー
先日新聞で読んだ上間さんの文章と冒頭の粕汁の話が繋がった。風花ちゃんのぶっかけうどんの話。祖父母と母の話、キラキラした海だけじゃない沖縄の話。私も海をもらってしまった。思いを馳せる。なにができるんだろう。
Posted by
知っているようで知らなかった沖縄のこと。 いざ読むと、胸の奥がキュッと締め付けられるような、目を背けたくなるような、でも背けられない、不思議な感覚でした。 最初に目にするカバーや表紙の綺麗さと、手に取って読んで初めてわかる、目を背けたくなる現実とのギャップが、SNSで見る一部分...
知っているようで知らなかった沖縄のこと。 いざ読むと、胸の奥がキュッと締め付けられるような、目を背けたくなるような、でも背けられない、不思議な感覚でした。 最初に目にするカバーや表紙の綺麗さと、手に取って読んで初めてわかる、目を背けたくなる現実とのギャップが、SNSで見る一部分の美しさと、その場所で生きる人にしかわからない悲痛な思いを表しているような気がしました。
Posted by
サーヤが上間陽子さんのインタビューの話をしていて気になっていた本。 沖縄の目を背けたくなるような、でも絶対に知っておかなくちゃいけない現状がそのまま書かれているけど、あくまで淡々と、緩やかに続く文章たちは、ものすごく自然にわたしの中に入り込んできて不思議な気持ちだった。 本を読...
サーヤが上間陽子さんのインタビューの話をしていて気になっていた本。 沖縄の目を背けたくなるような、でも絶対に知っておかなくちゃいけない現状がそのまま書かれているけど、あくまで淡々と、緩やかに続く文章たちは、ものすごく自然にわたしの中に入り込んできて不思議な気持ちだった。 本を読んで、嗚咽するほど泣いてしまったのはこの本が初めてで、悲しいとか感動とかそういうのじゃなくて、ただ悔しかったり苦しかったり、そして何もできない、今まで何も知らなかった自分の不甲斐なさとかそういうものがたくさん入り混じって出たものだった気がする。 「海をあげる」という、タイトルでも使われている言葉。この本を読んだ時、その言葉の意味が全てわかった時、わたしの胸にこの言葉だけが深く刻まれて今もずっと残っている。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「裸足で逃げる」で登場した、 彼氏がネットで取った客と彼女を売春させ生計を立てていたカップルの彼氏のその後の話が書かれており、売春を斡旋していた彼もまた恵まれない家庭環境で幼少を過ごした事を知り悲しくなった。 彼のした事は許されないが、そうせざる追えなかった現実がそこにはあったのかと想像した。
Posted by
怒り、悲しみ。若い女性と沖縄に押し付けられる差別の構造。ミクロでもマクロでも。 ただただ呼吸が苦しい。 離婚に際して、駆けつけてくれた2人の友人と料理に胸が熱くなった。
Posted by
100分deフェミニズムで語る上間さんを見て、この人の本を読まなければいけないと思いました。でもきっと難しいのだろうなと先延ばしにしていたのですが、会社で沖縄出身の新入社員の女の子が「ひいおばあちゃんの介護」を理由に退職して、(もちろんそれを100%信じているわけではないけど)沖...
100分deフェミニズムで語る上間さんを見て、この人の本を読まなければいけないと思いました。でもきっと難しいのだろうなと先延ばしにしていたのですが、会社で沖縄出身の新入社員の女の子が「ひいおばあちゃんの介護」を理由に退職して、(もちろんそれを100%信じているわけではないけど)沖縄の県民性や家族観を少しでも知りたいと思い、重い腰を上げました。 結果彼女の退職理由が理解できたとは言わないけど、沖縄の家族のベースには苦難の歴史があるということを改めて感じました。シワ寄せをしている私たちは、沖縄のことを知ろうとすることをやめてはいけないし、そのために上間さんの本は最適なのだろうと思いましたが、2冊目にはなかなか手が伸びない・・・
Posted by
社会福祉士としての視点で読み進めるため、自分に何ができるか、日々何を考えるべきかと問い直した。 沖縄という地についての認識を新たに、いや、知らなかったわけではないので再認識し、より自分ごとに捉えるようになった。 沖縄に限らず、社会課題に対する感度の低さを自覚した。今日から生活が変...
社会福祉士としての視点で読み進めるため、自分に何ができるか、日々何を考えるべきかと問い直した。 沖縄という地についての認識を新たに、いや、知らなかったわけではないので再認識し、より自分ごとに捉えるようになった。 沖縄に限らず、社会課題に対する感度の低さを自覚した。今日から生活が変わる。
Posted by
私は沖縄出身です。 海に近い村で生まれ育ち、電波に乗って流れてくる米軍基地向けのノイズ混じりのテレビ番組を見て、錆びついたトタンの屋根の下で暮らす友人達と遊ぶ幼少期を過ごしていました。戦闘機の爆音なんかは無かったので、基地の存在感は、米軍の不祥事が報道される時くらいしか感じません...
私は沖縄出身です。 海に近い村で生まれ育ち、電波に乗って流れてくる米軍基地向けのノイズ混じりのテレビ番組を見て、錆びついたトタンの屋根の下で暮らす友人達と遊ぶ幼少期を過ごしていました。戦闘機の爆音なんかは無かったので、基地の存在感は、米軍の不祥事が報道される時くらいしか感じませんでした。 ですが、そんな私でも強烈に印象に残っているのが、本作でも触れられる、1995年の事件。 あの事件が報じられた時、我が家でも母親が声を震わせて、口悪しく怒りの言葉を吐き捨てたことを今もまざまざと思い出せます。いつも穏やかで優しい母が、怪物のような顔と声でとても汚い言葉を吐いたので、とにかく怖かった。 あの時の沖縄は、本当に島ぐるみで怒っていました。 自分とそう年の変わらない女の子が、「アメリカ人に死にそうなくらいに酷い目に遭わされた」ことが、その事実に沖縄中の大人達がめちゃくちゃに怒っていることが、当時の私にも本当に恐ろしかった。 両親に連れられて行った決起大会では、大人も子供も、熱狂的に、本気で、怒っていました。 「どうして沖縄でこんな悲惨な事件が繰り返されるのか」 「沖縄はいつになったらアメリカーから解放されるのか」 こんなに多くの人間が、こんなに本気で怒っているんだから、きっと米軍基地は近いうちに無くなるんだろうな。と、当時の私は無邪気に感動していました。 だけど、島ぐるみで怒っていたはずの島が、今は雲散霧消している気がする。 怒り、諦め、失望、そんな言葉が、私たちの世代を含めて浸透してしまっている気がする。 「どうせ何も変わらない」 「ここから遠く離れた海の問題よりも、今月の生活費の方が喫緊した問題」 私もそうです。 辺野古に投入されている土砂のことより、値上がりした食費やガソリン代の方に頭を悩ませています。 正直に言うと、辺野古問題は対岸の問題としか考えられません。 こんな事を言うと、沖縄の反基地の方には怒られるかもしれませんが、那覇近郊に住む働く世代の本音は概ねこんな物だと思います。 貧困、シングルマザー、基地問題。 沖縄を語るときに切り離せないこれらの問題を、自分自身の経験と、若年層への取材から得た知見をもとに描かれた、ほぼノンフィクションであろうと思われる物語です。 私は、著者のようにこんなに真っ直ぐに、沖縄の問題にも、そこに住む人々の悩みにも向き合えない。日々を生きるだけで、本当に精一杯なんです。 不妊治療の中で、体調を崩して、正社員を諦めて、「基地は悪」と語る母親を宥めすかしながら、辺野古の報道は右から左へと聞き流す。 選挙には夫婦でちゃんと行くけど、マニフェストをちゃんと読んでるわけじゃない。ただ何となく、若いから、女性だから、私達の世代の為に何かしてくれそうだから、と、ただ漫然と投票する。辺野古は遠い。普天間も遠い。全ての問題が、私からは遠い。 著者が「あなたにあげる」と言ってくれた海を、だから私はもらう資格なんてない。
Posted by
過去のことにトラウマを抱えて、いまなお苦しい日常を送る女の子たちと、沖縄のいまが描かれている。 性的なトラウマを抱えた子が性産業に従事しているというのが、本当に苦しかった。働かないで済むように、誰かが当座のお金をあげればいいというものでもないのだろう。何がどうなれば、彼女たちは...
過去のことにトラウマを抱えて、いまなお苦しい日常を送る女の子たちと、沖縄のいまが描かれている。 性的なトラウマを抱えた子が性産業に従事しているというのが、本当に苦しかった。働かないで済むように、誰かが当座のお金をあげればいいというものでもないのだろう。何がどうなれば、彼女たちはそのトラウマから解放されて、望む仕事で生計を立てられるのだろう。 筆者と娘の素敵な関係性と、両親からトラウマになるような出来事を経験させられた女の子たちとの対比にくらくらした。 そして、筆者が4歳で娘に性教育を施すことは、何も早くないと感じた。 いま、女の赤ちゃんを妊娠している女性として、性暴力がこの世からなくなることを1番望むけれど、現状ではそれはもう全然現実的ではなくて、毎日性犯罪や性暴力、望まない妊娠に関するニュースが流れている。では、もう再来月には生まれる娘が性暴力から身を守るために、私は何を教えなくてはいけないか、産む前からずっとずっと考えている。 本書では沖縄の基地問題も取り上げられる。 暗くなるニュースが多くて、正直沖縄の基地問題のことも、調べてちゃんと知ってしまったら暗い気持ちになりそうで、深く知らないまま過ごしている。 私たちは日々のことに精一杯すぎて、大事なことを語ったり知ったりできていないと感じている。 最終章で筆者は、沖縄の人も基地問題に深く言及しないと書いているけれど、日々の生活を回すだけでくたびれてしまうからじゃないだろうか。 例えばトラウマを抱えて苦しむ沖縄の女の子たちが基地問題について考える余裕がないのだとしたら、沖縄以外の人たちも一緒になって、または彼女たちの代わりになって、声を上げて支えないといけないんじゃないか。 そんなことを思った。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
東京に住んでいて、普天間基地問題について知ってはいたものの、ちゃんと耳を傾けてこなかった自分に後悔しながらも知ることができて、知ろうと思うことができてよかったと思う。 聞く耳を持つものの前でしか言葉は紡がれない。まさにそれだ。 「海をあげる」この意味を最後の最後に知ることになる。たくさんの人に読んで考えていただきたい本です。
Posted by