帝銀事件と日本の秘密戦 の商品レビュー
当時事件を捜査した刑事のメモである甲斐捜査資料からの引用が多く、非常に読みにくい。著者もあとがきでその点を詫びているのだが…
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帝銀事件の特捜本部で捜査を担当した警視庁捜査一課の係長・甲斐文助が手もとに残していた捜査記録資料を時間軸に沿って追いかけながら、帝銀事件の犯人を追う刑事たちが、その副産物として、日本陸軍の化学兵器・秘密戦・謀略関係の部隊の全体像に迫っていたことをあとづけていく。 だから、...
帝銀事件の特捜本部で捜査を担当した警視庁捜査一課の係長・甲斐文助が手もとに残していた捜査記録資料を時間軸に沿って追いかけながら、帝銀事件の犯人を追う刑事たちが、その副産物として、日本陸軍の化学兵器・秘密戦・謀略関係の部隊の全体像に迫っていたことをあとづけていく。 だから、本書はいわゆる「真相」本ではない。GHQによる介入や旧軍関係者の干渉も予想の範囲内で、新しい「事実」が出ているわけでもない。しかし、帝銀事件の捜査がこれだけの規模におよび、陸軍第六技術研究所、陸軍第九技術研究所(登戸研究所)、七三一部隊、五一六部隊、一六四四部隊(中支那防疫給水部)、中野学校や特務機関などで行われていた各種の人体実験や、生物化学兵器製造と使用の実態を、当事者の証言から結果的に明らかにしてしまっていた。日本敗戦直後、東京裁判やBC級戦犯裁判が進行中という微妙なタイミングでも、これだけの生々しい証言が語られ、記録されたこと自体が驚くべきことと言えるのではないか。 帝銀事件の捜査は、本庁の刑事と所轄署の刑事がペアを組む形で行われたという。思わず、映画『砂の器』の丹波哲郎と森田健作のコンビを思い出してしまった。
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