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百年と一日 の商品レビュー

3.5

67件のお客様レビュー

  1. 5つ

    9

  2. 4つ

    23

  3. 3つ

    15

  4. 2つ

    10

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2022/11/06

色んな人の色んな時代の些末な出来事を淡々と綴った短編集。 感情を削ぎ落としてただ事実のみを列挙する形での物語って読んでいて新鮮だった。 登場人物の感情描写がないせいか、読む人によって感じることはだいぶ違いそう。 個人的には読みづらく、好みとはいえなかったけど、不思議な感覚のあ...

色んな人の色んな時代の些末な出来事を淡々と綴った短編集。 感情を削ぎ落としてただ事実のみを列挙する形での物語って読んでいて新鮮だった。 登場人物の感情描写がないせいか、読む人によって感じることはだいぶ違いそう。 個人的には読みづらく、好みとはいえなかったけど、不思議な感覚のある本だった。

Posted byブクログ

2022/08/10

私が読書に求めるものは、実際に体験できないこと、大きな変化、スリル、ドキドキ。だからミステリが一番好きだ。この本はそれとは対極にある、「日常系」。早く次が読みたい!と時間を忘れて没頭するのではなく、通勤中電車の中で、昼休みご飯を食べた後で、など少しずつ読み進め、時間がかかった。た...

私が読書に求めるものは、実際に体験できないこと、大きな変化、スリル、ドキドキ。だからミステリが一番好きだ。この本はそれとは対極にある、「日常系」。早く次が読みたい!と時間を忘れて没頭するのではなく、通勤中電車の中で、昼休みご飯を食べた後で、など少しずつ読み進め、時間がかかった。ただ、飽きなかった。 内容は、短編集。一つ一つのタイトルがやたらと長く、タイトルを読んだだけではどんな話なのかが掴めない。でも一編を読み終えた後にタイトルを見返すと、ああ確かに、としっくり来るのだった。 「百年と一日」という本のタイトル通り、どれも話の中で時間が経過する。一瞬では物語にならないようなことも、何年も時間が経過することで物語になるのだなと思った。どれもドラマチックな物語ではない。正直、え?これで終わり?って話もある。その辺でありそうな、でも普段の自分の生活をしていると見過ごしてしまいそうなこと。フィクションなのか、ノンフィクションなのか。そんな曖昧な物語を作る作者さんの能力、高杉。 いつもと違う読書体験ができた、ちょっと忘れられない一冊になりそうだなあ。

Posted byブクログ

2022/07/26

なんか時間かかったな。好きなんだけど…。 すごく静かなのに楽しく読めるんだよな。 疲れてるときに一話ずつ読んだりするといいかも?

Posted byブクログ

2022/07/20

たまたま降りた駅で引っ越し先を決めた男の話と、31番目の話が何故だか大好きだった。 何故なのかはわからない所が、この本の良さだとも思いました

Posted byブクログ

2022/06/20

時間・人・風景のそれぞれがつながり連なっていく物語の濃厚さに、短編集でありながら一気読みできず。時間をかけて読み進めました。 日常の小さな世界を淡々と描いているのに、SFを読んでいるような不思議な感覚。名前すら出てこない登場人物の顔が見えるような、想像力を掻き立てられる素敵な本で...

時間・人・風景のそれぞれがつながり連なっていく物語の濃厚さに、短編集でありながら一気読みできず。時間をかけて読み進めました。 日常の小さな世界を淡々と描いているのに、SFを読んでいるような不思議な感覚。名前すら出てこない登場人物の顔が見えるような、想像力を掻き立てられる素敵な本でした。

Posted byブクログ

2022/04/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 著者の芥川賞作品『春の庭』はちょっと気になっていたけど、海外にいた頃で手に取るタイミングを逸した。 その『春の庭』でも、かつてその場所に生きた人たちの時間が積み重なった街と、今そこに生きる人間の関係を描いてきた著者。 「人は自分の記憶や経験だけでなく、他者の記憶や経験をも生きているものだと思います」と、とあるインタビューで語っている。  そもそも、読書というのも、文字を通して他人の人生を生きるモノでもあり、作品の登場人物と時を過ごす楽しみがある。  本書はそうした他人の人生の何十年もの営みが、サラリと手短に33篇も収録されていて面白い。面白いといっても、個々の人生が面白いわけでなく、実になんてことない、ごくありふれた日常が多い。なんでもない時間の積み重ねこそ人生だと言わんばかりに。  200頁に満たない中に33篇だ。長いもので数ページ、短いものは3ページほど。その中に、10年単位の物語・・・ というか、時の流れが記されている。  さらにご丁寧に、各作品に、その要約とでもいうようなタイトルが付けられている。 「一年一組一番と二組一番は、長雨の夏に渡り廊下の植え込みできのこを発見し、卒業して二年後に再会したあと、十年経って、二十年経って、まだ会えていない話」 「商店街のメニュー図解を並べた古びた喫茶店は、店主が学生時代に通ったジャズ喫茶を理想として開店し、三十年近く営業して閉店した」  タイトルで書かれているとおりに物語は展開し、とくに大きな展開も、予想外の結末も待ってはいない。ただそこに過ぎ去った時間の記憶だけが記されている。  最初の数作を読んでいるうちは、なんだか味気ない話ばかりだなと思ってページを繰っていた。あるいは、それぞれのお話がどこかで有機的にリンクしている、昨今ありがちなギミックでも凝らしているタイプかとも思ったがそうでもない。  徐々に気づくが、淡々とした物語こそ人生なんだな、と思わされる。というか、目を見張るような起承転結がなくても、人の一生は形作られていくものだと、思わされる。  こんなタイトルの作品もある。 「二人は毎月名画座に通い、映画館に行く前には必ず近くのラーメン屋でラーメンと餃子とチャーハンを食べ、あるとき映画の中に一人とそっくりな人物が映っているのを観た」  うちの夫婦だって 「二人は毎週地元の映画館に通い、映画を観た後は必ず作品の舞台にちなんだ料理を食べ、・・・・」  と、この作品のような一遍が出来上がるかもしれない。いや、出来上がるのだろう。  人生って、そんなもの。  いや、そんな人生も、どれもが尊い、ということなのかもしれない。  著者は大阪生まれだ。地下街の噴水の話が二篇あった。どちらも梅田の地下街のことだろう。既視感のある風景、行きかう人の様子が懐かしい。  また、 「言うたらあかんで、って言われるから、言うたらあかんで」  という関西弁あるあるの表現もクスリとさせられる。

Posted byブクログ

2022/03/27

100年と1日。 タイトルからどんな内容なのか想像していたものとは少し違っていて、短編がつらつらと。 それぞれ繋がっているわけでもなく、時代も場所も人も異なる短い(けれど、時間軸の長い)お話。読んでいるうちになんだか不思議と惹き込まれ一気読みでした。 いいなぁと。人の暮らしと...

100年と1日。 タイトルからどんな内容なのか想像していたものとは少し違っていて、短編がつらつらと。 それぞれ繋がっているわけでもなく、時代も場所も人も異なる短い(けれど、時間軸の長い)お話。読んでいるうちになんだか不思議と惹き込まれ一気読みでした。 いいなぁと。人の暮らしとか営みとか街の歴史とか、続いてるのが、良いなって。

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2022/03/02

再読。 街の風景をモノクロ写真で切り取ったような、淡々とした短編が続く。当初はさほど感じなかったけど、読み進めていくうちにだんだん「この世界は今日もどこかで人と人が繋がっている」という安心感みたいなものがじわじわと胸に沸いてくる。 自分の本棚でこの本をみかけるとなんだかほっとする...

再読。 街の風景をモノクロ写真で切り取ったような、淡々とした短編が続く。当初はさほど感じなかったけど、読み進めていくうちにだんだん「この世界は今日もどこかで人と人が繋がっている」という安心感みたいなものがじわじわと胸に沸いてくる。 自分の本棚でこの本をみかけるとなんだかほっとする、という不思議な存在感をもつ1冊になった。お気に入りの本。

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2022/02/20

短い小説集なんですが、ショート・ショートともちょっと違う気がするんですよ。ショート・ショートの方はストンと腑に落ちる結末になるか、有り得ない~で終わるのです(私の認識では)。 ところが、柴崎友香さんのは腑に落ちない、どこかで何かが曲がってしまって不安感が起こる、そうして読者が「...

短い小説集なんですが、ショート・ショートともちょっと違う気がするんですよ。ショート・ショートの方はストンと腑に落ちる結末になるか、有り得ない~で終わるのです(私の認識では)。 ところが、柴崎友香さんのは腑に落ちない、どこかで何かが曲がってしまって不安感が起こる、そうして読者が「こういう風になるのではないか」と結末を想像してしまえるようなのもある。 たしかに人生百年時代、生まれて死ぬまで何が起こるかわかりませんよね。それを圧縮するとこのような小説ができるのでしょう。平凡な日常のようで、どこかでぽっかり穴が開く、しかし何事もなかったようにつづいていく。 この長いタイトルのたくさんな短編の内容で、なんですか、何巻もの長編が書けそうな気がしてくる、読後感です。

Posted byブクログ

2022/02/11

 人を含めた自然物だけでなく人が作り出した物、文化など森羅万象全てのものの時空を超えたさまざまな生と死を記録した歴史。「きょうのできごと」とはまた違う柴崎由香さん。彼女の視点、時空の超え方はまさに「神?」神ってます。

Posted byブクログ