蝉かえる の商品レビュー
全ての話に共通で出てくる昆虫好きのエリサワ泉。主張することなく、スッと出てきてサラッと事件を解決していく。大きな事件があって、探偵が先頭に立ってドーンと解決するという王道とは違った感じ。どの話もとても丁寧に書かれていると感じた。 カバキコマチグモの母親が子グモに自分の身体を食物と...
全ての話に共通で出てくる昆虫好きのエリサワ泉。主張することなく、スッと出てきてサラッと事件を解決していく。大きな事件があって、探偵が先頭に立ってドーンと解決するという王道とは違った感じ。どの話もとても丁寧に書かれていると感じた。 カバキコマチグモの母親が子グモに自分の身体を食物として差し出すとか、フンコロガシの話とか短編だけど書かれていることは細かく、深い。ほとんど再読はしないが、これは私でも何度も繰り返し読みたいと思える作品。文章力が乏しくうまく伝えれないのが残念!
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20/11/12読了 評判通り、とてもよい短編集。 前作は、それなりによいけれど少し遠いところにいた探偵役エリサワが、ぐっと近くなって、ひとつひとつの話の深みが増した感じ。 ホタル計画、彼方の甲虫が特によかったです。表題作も、もちろん。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ミステリ・フロンティアらしい良作。 連作短編集で4作品を読んだ後、梓崎優『叫びと祈り』を思い出していたのだが、ラストが『サブサハラの蝿』で、アフリカ。 これってシンクロニシティですかね。
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まず、"何が起こったのか"と言うホワットダニット。姑獲鳥みたいな。探偵役の性格付けが好ましく、連作で読みたいと思う昆虫マニア。その柔らかな物腰から紐解かれる謎は力技では無く手堅い。これは掘り出した感が高い。
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前作の「通りすがりの探偵くん」から「実体を持った魞沢くん」になった感じ。おとぼけは少し減ったけど、優しさや朴訥さは変わらず。優しいけど悲しい、悲しいけど優しい作品だと思う。 ハエの話は、実際ありそうで怖いな。
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主人公の生い立ちに触れる「ホタル計画」や大学時代の様子が分かる「サブサハラの蝿」連作につながる主人公の優しさが良かった。表題作「蝉かえる」 読み応え良かったです。
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虫好きの魞沢くんが探偵役を務める連作短編集の第二弾です。一作目と同じく、虫をかならずなんらかの意味で関わらせつつ、人間のさまざまな感情が織り成す事件を描き出しています。 探偵役の彼はとてもほのぼのとした人格で、それが話の雰囲気をやわらかく親しみやすくしてくれているのは確かです。...
虫好きの魞沢くんが探偵役を務める連作短編集の第二弾です。一作目と同じく、虫をかならずなんらかの意味で関わらせつつ、人間のさまざまな感情が織り成す事件を描き出しています。 探偵役の彼はとてもほのぼのとした人格で、それが話の雰囲気をやわらかく親しみやすくしてくれているのは確かです。それでも描かれているのは主に殺人事件であり、そこに横たわっているのは実に生々しい人々の感情です。ときにエゴスティックな、ときに痛切な純粋な届かない思慕、そういったものが結果的に悲劇を生みだしているので、やりきれなさを含む、切ない読後感を抱かせます。 超然とした人格ではなく、あくまで虫が好きで少し洞察力がある魞沢くんがその事件に立ち会っていく中で、少し落ち込む言葉を呟く描写があるのですが、それもやむなきことだな、と感じました。彼はあくまで、ふつうの青年としてその場にいるのですから。探偵ではなく、正義に燃える人間としてでもなく、その場に立ち会ってしまった不運な渦中の人物として。そのある意味「平凡な」感性こそが彼の良さで、その人の良さを彼にはずっと持っていてほしいと、私は思いました。
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面白かった。エリ沢(変換出ない)くんのとぼけた優しいキャラクターが良い。エクレア吸って食べるのわかると思った。
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「サーチライトと誘蛾灯」の続編。 昆虫に詳しい謎の青年・魞沢(えりさわ)がひょっこり現れサクッと事件の謎解きをしていく設定だった前作から少し変化があり、魞沢の感情や想いも盛り込んだ作品となっている。 作家さんによるあとがきによると、これは作家さんの狙いのようだ。 前作の謎めいた魞...
「サーチライトと誘蛾灯」の続編。 昆虫に詳しい謎の青年・魞沢(えりさわ)がひょっこり現れサクッと事件の謎解きをしていく設定だった前作から少し変化があり、魞沢の感情や想いも盛り込んだ作品となっている。 作家さんによるあとがきによると、これは作家さんの狙いのようだ。 前作の謎めいた魞沢も良かったが、今作の人間的な魞沢も良い。 「蝉かえる」 十六年前、災害ボランティアが見たのは翌日池から引き揚げられた遺体の少女の幽霊だったのか。 「コマチグモ」 交差点での事故とすぐ近くの団地の一室で起きた事故の繋がりは。 「彼方の甲虫」 留学を終え間もなく帰国する予定の中東の青年。ペンション滞在中に転落死した彼は自殺したのか? 「ホタル計画」 サイエンス雑誌のライターとして期待を寄せていた青年か姿を消して五年、読者から青年の行方が分かったと同時に再び行方不明になったことを知らされ、雑誌の編集長は青年の行方を探すが…。 「サブサハラの蠅」 南スーダンでのボランティア活動を終え帰国した医師は、何故蠅のサナギを持ち帰ったのか。 前作同様、そこに至る何があったのか、何故そうなったのかが焦点になっている。 全体的に切なく苦しい話が多いが、最後の最後に救いがあるものもあった。 そして冒頭にも書いたが、魞沢の感情や想いが溢れるシーンも幾つもあった。 『きれいごとのひとつも口にしなければ、こんな世界、生きていけないじゃないですか』 魞沢は自分が友達が少ないというが、それは彼の素直さ率直さ、そして清らかさにあるのかも知れない。 同時にこの作品で彼の原点も少し見えてきた。苦しくても切なくても受け入れる強さもあった。 また昆虫を通して様々な世界の一端を見ることも出来てあれこれ考えさせられた。 さらなる続編があるかどうかは分からないが、今後もこの作家さんに注目したい。
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前作で次作を期待すると書いたが、素晴らしい出来栄えになった。探偵役の魞沢のふわふわした人柄が全編を貫いていて、作品の味わいを決めている。一見ぼうっとしているようでいて、物事の勘所は外さない魞沢。それが作品の深みに繋がっている。表題作の「蝉かえる」や「サブサハラの蠅」などはなかなか...
前作で次作を期待すると書いたが、素晴らしい出来栄えになった。探偵役の魞沢のふわふわした人柄が全編を貫いていて、作品の味わいを決めている。一見ぼうっとしているようでいて、物事の勘所は外さない魞沢。それが作品の深みに繋がっている。表題作の「蝉かえる」や「サブサハラの蠅」などはなかなかの感動作だ。ミステリーではあるが、謎を解明するのが終着ではなく、謎の背景をちゃんと味わせてくれるのだ。
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