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笊ノ目万兵衛門外へ の商品レビュー

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3件のお客様レビュー

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2021/04/13

鬼才による時代劇短編集。どれも登場人物といい雰囲気が異彩を放っている。 「笊ノ目万兵衛門外へ」は幕末、笊ノ目万兵衛なる架空の同心を主役に据えた話。家族が不幸に陥る展開が鬱だった。 「明智太閤」は秀吉が不運の極みになる展開でIFものとしては思考実験としても面白い。オチを読むに作者が...

鬼才による時代劇短編集。どれも登場人物といい雰囲気が異彩を放っている。 「笊ノ目万兵衛門外へ」は幕末、笊ノ目万兵衛なる架空の同心を主役に据えた話。家族が不幸に陥る展開が鬱だった。 「明智太閤」は秀吉が不運の極みになる展開でIFものとしては思考実験としても面白い。オチを読むに作者が歴史の大筋は変更したくないという心情が読み取れる。 「姫君何処におらすか」宣教師ベルナール・プティジャンがキリスト教から見ると異端の隠れキリシタンである島と関わる話。人肉喰らいを否定しつつザビエルの聖遺物はどうなんだというメッセージ性! 「南無殺生三万人」何万人もの罪人を処刑していく中山勘解由の半生を描いた作品。始めは緊張して上手くいかないが慣れるに伴い感覚が仕事に対する機械的なものになり息子にも直伝していくあたりは職人的でもある。人を殺すことも「仕事」と捉えると平凡であると説いているのかもしれぬ。奥さんの慣れが一番怖い。 「お江戸英雄坂」豪傑風で豪傑でない赤嶽大次郎が歴史上の人物と憧れを持って関わっていく話。鳥居耀蔵はどの作品でも善人キャラにならないところが良い。

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2020/09/26

切れ味抜群の短編集 「明智太閤」本能寺の変の一報が秀吉に届かなかったらという歴史改変物。 「姫君、何処におらすか」宣教師が、五島のとある孤島で変容した隠れキリシタンを目撃する奇譚。 この2作を読めただけで、買ってよかった。

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2020/07/29

 江戸時代を舞台にした、いずれも一筋縄ではいかない、鬼才による傑作短編集。  5話とも選ばれた作品だけあって、いずれも読みごたえのある怪作(!)でした。  その中でも、隠れキリシタンの奇習を描いた「姫君何処におらすか」は、あまりにも淫靡で肌寒い衝撃を受けました。  読み終え...

 江戸時代を舞台にした、いずれも一筋縄ではいかない、鬼才による傑作短編集。  5話とも選ばれた作品だけあって、いずれも読みごたえのある怪作(!)でした。  その中でも、隠れキリシタンの奇習を描いた「姫君何処におらすか」は、あまりにも淫靡で肌寒い衝撃を受けました。  読み終えてからも、恐いもの見たさから要所要所を読み返し、伏線となる所を読み返さずにはいられませんでした。  映像化したら一体どうなるのかと思ってしまうのでした。

Posted byブクログ