サキの忘れ物 の商品レビュー
とても良かった〜! 津村記久子先生の文章は没入度が段違いで、 「隣のビル」では本当に窓越しの逃避を実行した気になる。常務に怒られている時の薄ら寒いのにじっとりと背中に汗が滲む感じ。足を離した瞬間のお尻がひやっとする感覚、手には握った金網の感触、そしてやりとけた清々しさが残る。 ...
とても良かった〜! 津村記久子先生の文章は没入度が段違いで、 「隣のビル」では本当に窓越しの逃避を実行した気になる。常務に怒られている時の薄ら寒いのにじっとりと背中に汗が滲む感じ。足を離した瞬間のお尻がひやっとする感覚、手には握った金網の感触、そしてやりとけた清々しさが残る。 いい人に見えても嫌な一面が見えたり、逆もある。 嫌なやつが成敗されることもないけれど、善行を積まなくても自分なりに、普通に生きていればたまに大きな虹を見られるようないいこともある。 自分を幸せにできるのは自分で、自分のご機嫌をとって、理不尽からは戦わずに逃げてもいい。 一見消極的で穏やかなようだけど、実際は自分を傷つけさせないための戦いだ。 それってサステナブルにできる人生に・自分に対しての最大の肯定だと思った。
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色々なタイプのお話の短編集です。 ゲーム感覚で話が進むものもあって新鮮でした。 個人的にはは本の題名にもなってる『サキの忘れ物』が1番好きでした。
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高校をやめて病院併設の喫茶店でアルバイト中の千春は、常連の女性が置き忘れた本を手にする。「サキ」という外国人の男性が書いた短篇集。これまでに一度も本を読み通したことがない千春だったが、その日からゆっくりと人生が動き始める。深く心に染み入る表題作から、謎めいた旅行案内、読者が主役の...
高校をやめて病院併設の喫茶店でアルバイト中の千春は、常連の女性が置き忘れた本を手にする。「サキ」という外国人の男性が書いた短篇集。これまでに一度も本を読み通したことがない千春だったが、その日からゆっくりと人生が動き始める。深く心に染み入る表題作から、謎めいた旅行案内、読者が主役のゲームブックまで、かがやきに満ちた全九編。
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9つの短編。 それぞれ違った味わいがあって、「サキの忘れ物」にはじんわりしたり、「Sさんの来訪」の不穏な空気にあるあると思ったり、「真夜中をさまようゲームブック」にはなんでこんなの書けるの?とびっくりしたり。ちなみに、私は終了するまでに何度も失敗したので(捕まったり死んだり 笑...
9つの短編。 それぞれ違った味わいがあって、「サキの忘れ物」にはじんわりしたり、「Sさんの来訪」の不穏な空気にあるあると思ったり、「真夜中をさまようゲームブック」にはなんでこんなの書けるの?とびっくりしたり。ちなみに、私は終了するまでに何度も失敗したので(捕まったり死んだり 笑)紙とペン片手に読むことをオススメします(笑) ごく普通の日常に起きることなのに、読みながら様々な世界が自分のなかで広がる心地よさ。そして、どれも読後感が悪くないのが、津村さんの小説に惹かれる個人的ポイントなのかも。 最後の「隣のビル」の解放感、津村さんの原点にある社会経験を強く感じました。
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久しぶりに津村記久子さんの本を読みました。 読んでいると自分も一緒に彷徨うような気分になります。 サキの忘れ物はとても良かった。 王国はとても無邪気な幼稚園児の行動にほのぼのとしました。 ゲームブックはとても面白かったです。ちょっと意地になりました。 全ての作品に過去と今と未来を...
久しぶりに津村記久子さんの本を読みました。 読んでいると自分も一緒に彷徨うような気分になります。 サキの忘れ物はとても良かった。 王国はとても無邪気な幼稚園児の行動にほのぼのとしました。 ゲームブックはとても面白かったです。ちょっと意地になりました。 全ての作品に過去と今と未来を繋ぐようなものがあるのかな? どの主人公も色々考えていて、その思考が楽しかったです。
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すごくよかった。 9つの短編集。タイトルになっている、「サキの忘れ物」も良かったが、個人的には「行列」や「隣のビル」が好き。今に生きにくさや違和感を感じている人は共感できると思う。生きにくさを肯定してくれた。 あと、ゲームブックの話は紙とペンを用意して読むのがよい。
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色々な試み、趣向を凝らした文章の観点に驚く。面白いけど、面白いと一言で言い表せない読後感をつくる感性に妙があるのかな。
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モヤモヤする読了感が数作あった短編集。 『サキの忘れ物』『隣のビル』は、小さな出会いがキッカケになり、次の一歩を踏み出すような明るい感じで良かった。 表紙はとても好みだったので、より面白そうなイメージになってしまっていたため、読後感とのギャップが強く感じてしまった。
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津村さんて、うまく言えないんだけど、いろんなタイプの文章が書けるんだなぁと感心してしまった。 そのくらいいろんなタイプの話が詰まっていて、楽しかった。 ホラーっぽい話や、ゲームっぽい話、ジワってなる話…私は最後の話が好きです。
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どのお話も終わり方に明るい余韻がただよっているところがよかった。人をよく観察しているなあと感心する。ちょっとした言葉が、真理をついているように感じた。
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