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エンディングドレス の商品レビュー

4.1

21件のお客様レビュー

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2024/09/14

麻緒が元気のない理由、なんだか不穏な空気のまま始まる。 そんな時に見つけたエンディングドレスを作りましょうという教室の貼り紙。 教室では個性豊かな自分より年上の生徒たちと先生。 毎回出される課題をクリアしながら一つ一つ服を作り上げていくと麻緒の心にも変化が出てくる。 麻緒が置か...

麻緒が元気のない理由、なんだか不穏な空気のまま始まる。 そんな時に見つけたエンディングドレスを作りましょうという教室の貼り紙。 教室では個性豊かな自分より年上の生徒たちと先生。 毎回出される課題をクリアしながら一つ一つ服を作り上げていくと麻緒の心にも変化が出てくる。 麻緒が置かれている状況にも心が痛んだし、服を作りながらも、乗り越えようとしたり、また悲しみの渦に入ってしまう麻緒を見て涙が出た。 読み進めるうちに、麻緒の恋人の死の理由などが明かされる。 私たちが生きていく中で絶対に必要な服。 一番お気に入りの服は? 服を作ってあげたい人は? 様々なシチュエーションを共にしてきた服、その時を思い出し、自分はどうだったのか、どうありたかったのか、それを思い出していく麻緒。 とても心打たれた。 私が人生最後に着たい服はどんなのだろうと、でもまだ早すぎるかなとも思ったけれど、人生の終わりっていつ来るか分からないもんね。 いつ備えをしておいても良いのだと思った。

Posted byブクログ

2024/06/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

‣ わたしの哀しみはわたしだけのもので、だれかと共有なんてしたくなかった ‣ わたしだけ特殊で、わたしだけ不幸。ずっと、そう思っていた気がする ‣ 震えてくるほど恥ずかしかった。勝手に期待して、勝手に裏切られたと感じている自分が ‣ どんなにいい時代が来たって、はたちは人生に一年だけ、二度と戻れない。娘盛りのいちばん輝いていたころ、わたしは着飾ることがいっさいできなかった ‣ 男らしさの呪縛に囚われていたのね。ほんとうのわたしは、スカートや化粧が好きで料理や洋裁を愉しみ、愛するひととゆたかな時間を過ごす暮らしを望むような人間だったのに ‣ どんなひとにも、やがて来る自分の死を見つめて、じっくりと準備して、穏やかにその日を迎えてほしい。それで、死に装束を縫う洋裁教室を思いついたの ‣ わたしが教室で教えているのは、外側ではなく内側に踏み込んでいくものづくりなの。自分のための服を縫うこと、それは自分の内面を掘り進むことでもある ‣ まっさらな生成りの状態だから、まだまだどんな色にもなれる。そう思いたい。これからわたしはどんな色に染まっていくのか、ちょっとわくわくしています ‣ 冬を待って、春を待って、そして夏を待って。服を縫うのは、巡りゆく季節を追いかけ続けることでもあるのだ ‣ 人生はミシンの縫い目のようにまっすぐに規則正しく進むものじゃない。手でちくちくとひと針ひと針縫ったなみ縫いのラインみたいに、歪んでいたり、うねっていたり。それでもずっとさきの未来、いつか迎えが来たとき、自分の後ろにできたなみ縫いのラインを見て、素敵な模様だと思えたら ‣ 「そいういえばおふたりのエンディングドレス、どんなの縫ったんですか?」  「ふふふ、それは本番でのお愉しみ」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ 「ものづくり=自分の内面を掘る」という表現にハッとしました。 「自分のためだけに丁寧にものをつくる」という経験は、 過去と今の自分を受け入れるためには欠かせないことなのかもしれません。 思い出をまといながらも、新しい未来へ向けて歩み出す勇気をくれる物語でした✨

Posted byブクログ

2024/04/07

装丁の可愛らしさと1ページ目の異質さのギャップに惹かれて手に取った作品 洋裁を通して自分と向き合い、苦しみから解放されていくお話 亡くなった夫とのエピソード、描き方が儚げでよかった 言葉選びも秀逸

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2023/05/18

最初は主人公の女の人が死ぬまでにやりたいことリストを作ってそれを実行していく物語から始まる。 その際にエンディングドレス作りという教室に参加し、徐々に生きる方へと進んでいく、

Posted byブクログ

2023/03/07

可愛らしい装丁とタイトルのアンマッチが気になり読みました。 表紙のイメージで読むと、裏切られるようなスタートで、なにやら不穏な空気を感じます。 年配の裁縫教室の人との交流や、裁縫独特の無心な作業が主人公の、心を溶かしていくようでした。 途中切なく苦しくなりますが、そこがまたリアル...

可愛らしい装丁とタイトルのアンマッチが気になり読みました。 表紙のイメージで読むと、裏切られるようなスタートで、なにやら不穏な空気を感じます。 年配の裁縫教室の人との交流や、裁縫独特の無心な作業が主人公の、心を溶かしていくようでした。 途中切なく苦しくなりますが、そこがまたリアルで 読みやすい文章のなかでも重みの感じる本だと感じました。

Posted byブクログ

2022/11/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

しのうとした時、何を着ようかなんて考えていなかったな。その少し前にそもそもあらかたの持ち物を失っていたからスーツケース1つしか持っていなかったし、服も最低限だった。古着のadidasのパーカーを汚した事は覚えている。まだ実家にあって面白くて持ってこようかと思ったけれどそのままにしちゃったな。遺書に書いた連絡先は2つだった。それも捨てた記憶はないのだけれどどこかに紛れて捨てられてしまったのだろう。読み返したかったな。失敗したあと、薬はもうないし首を吊ろうと思ったけれど、わざわざロープを買おうなんて思わなかった。iPhoneの充電器が使えるなって思っていて、ただ薬の残った身体がうまく動かせずうだうだしているうちにしぬ気力を失って今に至るのである。いつになったら気力が湧いてくれるのだろうな。

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2022/10/11

最後、死ぬときに着たい服はなんですか? 今の私には思い付かない。そもそもお裁縫が苦手です。 洋裁を通じて人とかかわり、自分を見つめ直していくというストーリーがとても良かったです。 心の傷は、時間と人によって癒されていくものなんだなと感じます

Posted byブクログ

2022/06/18

若くして夫に先立たれ死の準備をしていた麻緒。 たまたま手芸店でみつけた死装束を縫う「終末の洋裁教室」に通うようになって、生きる希望や自分を見つめ直し立て直していくストーリー 表紙が可愛くてジャケ買いしたけど、ずっとタイトルをウェディングドレスって空目してたのはここだけの話……...

若くして夫に先立たれ死の準備をしていた麻緒。 たまたま手芸店でみつけた死装束を縫う「終末の洋裁教室」に通うようになって、生きる希望や自分を見つめ直し立て直していくストーリー 表紙が可愛くてジャケ買いしたけど、ずっとタイトルをウェディングドレスって空目してたのはここだけの話……笑 終末の洋裁教室では、エンディングドレスを縫う前に、20歳の時に好きだって服、15歳の時に憧れた服…など思い思いに服を作っていきます。 はじめは気の入らない麻緒でしたが、教室の生徒さんや先生、洋裁を通して自分の心の整理がつき生きる意志を持ち始めます。 夫の闘病後の死など重たい話もありますが、麻緒の周りの人々が明るいので読みやすいです。 所々、涙が出てきてもらい泣きしてしまう場面も多いですが、暖かい内容です! 私も何年振りかに洋裁やってみたいなぁ〜と思えたり、服をこだわりたくなったり、前向きな気持ちになります!

Posted byブクログ

2022/05/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「死に装束を縫う洋裁教室」というあらすじに興味を持って読み始めました。 不器用なので洋裁は苦手なのですが…洋服作りの過程が丁寧に描かれているのがとても印象に残りました。(思わず何か作りたくなります!) 心に残る場面がたくさんありましたが、特に千代子さんがエレベーターホールまで麻緒を追いかけてくるところでは思わず涙が溢れそうになりました。 初めての蛭田亜紗子さんでしたが、とても良かったです❁⃘*.゚

Posted byブクログ

2022/05/16

主人公は少し苦手なタイプだったけれども、周囲の人たちがすごく魅力的だったし、死装束を繕うことで、生きることを考え直すことになるのだなとしみじみ。 次々と出される『課題』に自分だったらどんな服と答えるだろうかと考えながら読み進めることもでき、なにかと学びの多い一冊。 何より帯のコ...

主人公は少し苦手なタイプだったけれども、周囲の人たちがすごく魅力的だったし、死装束を繕うことで、生きることを考え直すことになるのだなとしみじみ。 次々と出される『課題』に自分だったらどんな服と答えるだろうかと考えながら読み進めることもでき、なにかと学びの多い一冊。 何より帯のコメントが山本文緒さんで『人は生まれることも死ぬことも自分では選べないけれど、何を纏って生きるかは選択することができる』 この言葉がなによりも響いた。 2020年の発売の文庫だから、彼女がその時どんな状況でなにを思いながらこの言葉を書いたのかはわからないけれど、今は亡き彼女のこの言葉がより一層刺さる。 何を纏って生きて、そして何を纏って死んでいくか。 これはわたしたち全員に与えられた『権利』なのだから、ちゃんと考えて毎日のお洋服を選ぼうと思ったし、この先のこともいろいろ考えるきっかけになる。 たとえば故人が『これを着せてほしい』と遺志を残しているならば、その思いにちゃんと寄り添うべきだな、と。 灰にしちゃうなんてもったいないとか、誰かに着てもらう方が喜ぶとかそんな勝手な思い込みを押し付けるんじゃなくて、最後の願いくらい誰もが叶えられるようになってほしい。 わたしもお気に入りのリトルブラックドレスにマノロ履いて旅立ちたいものです。

Posted byブクログ