まだ温かい鍋を抱いておやすみ の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
スポーツ用品販売会社に勤める素子は、同じく保育園に通う子供を持つ珠理を誘って、日帰り温泉旅行に出かけることに。 ずらりと食卓に並ぶのは、薬味をたっぷり添えた鰹のたたき、きのこと鮭の茶碗蒸し、栗のポタージュスープ。 季節の味を堪能するうち、素子は家族を優先して「自分が食べたいもの」を忘れていたこと、母親の好物を知らないまま亡くしてしまったことに思いを巡らせ…(「ポタージュスープの海を越えて」)。 彼女が大好きな枝豆パンは、“初恋の彼”との思い出の品。病に倒れた父の友人が、かつて作ってくれた鶏とカブのシチュー。 (アマゾンより引用) どれもこれもちょっとビミョー…
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食にまつわる6つの短編集。 ほろ苦く、切ないストーリーが多かったです。 また、家庭内での問題を軸に、男女平等について考えさせられる部分が多かったのも印象的でした。 人それぞれ、好物や食への関心度が違うように、登場人物達の人生もそれぞれ。自分と相容れない考えの人物がでてくる話や、...
食にまつわる6つの短編集。 ほろ苦く、切ないストーリーが多かったです。 また、家庭内での問題を軸に、男女平等について考えさせられる部分が多かったのも印象的でした。 人それぞれ、好物や食への関心度が違うように、登場人物達の人生もそれぞれ。自分と相容れない考えの人物がでてくる話や、不思議なお話も。辛い事も切なさも、色んな事を乗り越えて、生きていくために食べる。食べること=生きることなんだと、改めて思いました。 「ポタージュスープの海を超えて」が好きでした。無自覚でも記憶の底に残る事に、報われるものがある。読後は自分も、もう会えない人達と食事をした時の笑顔や場面が蘇り、恋しい気持ちになりました。
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「鳥、いなくなっちゃいました?」 このセリフを読んだ瞬間、ぐっとこの本の世界に引きずり込まれました。 それからずっと最後の一行を読み終わるまで、不思議な気持ちでした。それは、自分の中にある、表現されていなかった世界を初めて自分が感知したのです。 人に絶対好かれるという虚構の安...
「鳥、いなくなっちゃいました?」 このセリフを読んだ瞬間、ぐっとこの本の世界に引きずり込まれました。 それからずっと最後の一行を読み終わるまで、不思議な気持ちでした。それは、自分の中にある、表現されていなかった世界を初めて自分が感知したのです。 人に絶対好かれるという虚構の安心感 くたくたな毛布のような存在の食べ物 滑らかな幸せなんて無い、はみ出た気持ち全部抱えて「生きる」 自分が知らなくてもちゃんと自分の中にある 食べるって、強制的に選んでる。生きることを。 人とのそれぞれの繋がり方。それは、皆それぞれの世界を少しずつ重ねたり、そして離れたりして、生きている
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妙に惹かれるタイトルの本。全6篇の短篇集で、すべて食べ物が絡んだお話になっている。 温かみも感じるのだけど、要素としては切なさや悲しさ、虚しさのようなものが強い印象。それなのに人が生きる力強さも感じるのは、やはり食べ物がメインテーマになっているからなのだろうかと考えながら読んだ。...
妙に惹かれるタイトルの本。全6篇の短篇集で、すべて食べ物が絡んだお話になっている。 温かみも感じるのだけど、要素としては切なさや悲しさ、虚しさのようなものが強い印象。それなのに人が生きる力強さも感じるのは、やはり食べ物がメインテーマになっているからなのだろうかと考えながら読んだ。 気持ちの浮き沈みは食欲と直結することが多いし、食べることと性的なこともつながっていると聞いたことがある。 「ミックスミックスピザ」では不倫相手とラブホテルで安っぽいピザを食べる描写が出てくるし、「シュークリームタワーで待ち合わせ」では死にそうに落ち込んだ友人のために主人公があらゆる料理を作る描写が登場する。 上記のように一筋縄ではいかない「食べること」の物語ばかりで、そういうところが彩瀬まるさんだなぁとしみじみ思った。 個人的な話をすると、10代の時から「食べること」に対して色んな思いをしてきたから食がテーマになった作品には不可思議に惹かれてしまうところがある。 美味しい食べ物がたくさん出てくる温かい作品もいいと思うし、この小説のように負の要素がありながらも力強い作品もとてもいい。 ちなみに「まだ温かい鍋を抱いておやすみ」という作品は収録されていないので、これはこの短篇集自体のタイトル。読み終えて、このタイトルの意味をしばし考えた。やはり力強く、だから生きていける、という風に感じた。
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初めてましての作家さんだったけど、すごく読みやすかった。6編の食にまつわる話で、1番好きだなと思ったのは「かなしい食べもの」。同棲を始めた彼女が作って欲しいと頼んだのは、枝豆チーズパン。何故このパンなのか…その理由は是非読んでみてください。
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人の体は食べたもので作られている…ってよく聞くけれど、食は人の心も支えてくれる。 美味しく温かいものを食べて心に血が通いだすと少しずつ気持ちが前向きになれる。 リセットしてくれる。 み〜んな何かを抱え、迷い、悩み…ひたすら生きている。
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だれにも嫌われないっていうのは、誰にも選ばれないってことに似てるんですね。 結婚したら、頭がおかしくなるほどに悲しいときも、家族に気をつかって生きなきゃならないの?
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今がどれだけキツくても―― “おいしい"が、きっとあなたの力になる。 ほろ苦く、心に染み入る極上の食べものがたり ------------------------------ タイトルと、イラストと、帯に惹かれて購入。 思ったより期待はずれ。 短編集で、 初恋の彼の作った枝豆パンを今彼に作ってもらうとか 人生のピンチに男友達が作ってくれるシチューや具沢山お味噌汁や 女友達旅行で久しぶりの自分時間を取り戻し、自分の母親を思う話など。 書き出してみると、テーマも内容も面白そうなんだけど 読んでる間のドキドキ感というか のめりこみ具合がなかった。 筆者さんの文体との相性かな。 そのあたりを自分でもっと的確に分析できるようになりたい。 自分がのめりこむ本と、そうでない本の違いを知りたい。
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食べ物をモチーフとした短編集ですが、どの小説も素晴らしかったです。個人的には「シュークリームタワーで待ち合わせ」と「大きな鍋の歌」という作品が特に心を揺さぶられました。 ただ幸せだけなばかりではない日常を、繊細に、かつ慈しみながら表現される作家さんだと感じました。
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1話1話、悩みを抱えていたり、上手くいっていない人が主人公の話。 完璧な人はいないから、何かに欠けていたり、人には言えない悩みや思いを必ず持っていて、それを自分で上手く埋めて、取り繕って社会では生きて行かなければいけない。 悩んだり、立ち止まっても思い出の料理で自分を癒してあげら...
1話1話、悩みを抱えていたり、上手くいっていない人が主人公の話。 完璧な人はいないから、何かに欠けていたり、人には言えない悩みや思いを必ず持っていて、それを自分で上手く埋めて、取り繕って社会では生きて行かなければいけない。 悩んだり、立ち止まっても思い出の料理で自分を癒してあげられる。そうすることで、また前に進めるなと最後には思えて、背中をそっと押してもらえた気がした。
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