透明な夜の香り の商品レビュー
静かな物語は、好きだ。 でもきっと、朔の世界はとても騒々しいのだろう。 だからずっとあの屋敷で、できるだけ静かな暮らしを守っていたのだろう。 そこに一香がやって来て、変化を怖れていた朔が、変化を受け入れようとしていく。 連作のようでいて、その過程が描かれていくところが良い。 新...
静かな物語は、好きだ。 でもきっと、朔の世界はとても騒々しいのだろう。 だからずっとあの屋敷で、できるだけ静かな暮らしを守っていたのだろう。 そこに一香がやって来て、変化を怖れていた朔が、変化を受け入れようとしていく。 連作のようでいて、その過程が描かれていくところが良い。 新城も、良いクッションになっている。 千早茜はもう『魚神』以上の作品は書かないのかと思っていたけれど、考えを改めなければいけない。
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丁寧な言葉で綴られるこの物語は、言葉から想像できる景色や食事、そしてこの物語ならではの香りがはっきりと漂ってきます。 登場人物の表情や心情の移り変わりも言葉と香りで描かれます。終始穏やかだけど、人の心の移りゆく様が儚くも感じました。そこに登場人物たちの「心に引っかかっている過去」...
丁寧な言葉で綴られるこの物語は、言葉から想像できる景色や食事、そしてこの物語ならではの香りがはっきりと漂ってきます。 登場人物の表情や心情の移り変わりも言葉と香りで描かれます。終始穏やかだけど、人の心の移りゆく様が儚くも感じました。そこに登場人物たちの「心に引っかかっている過去」も相まって何とも言えない人間ドラマになっています。 すごく上品な作品でした。
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「言葉の意味を超えて、嗅覚が際立つという稀有な体験をさせてくれる小説である」 この腰帯を見た瞬間、手に取りました。 なんて素敵な言葉だろう。 読了したのですが間が空いてしまったので 再読してからまた書きます。
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この物語はミステリーではありません。ジャンルづけが難しいのですが?そう言う要素も含んでいます。さて、結論は再読後に。
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主人公の一香は古い洋館で家事手伝いの仕事を始める 雇い主は小川朔 幼なじみの探偵の新城と客の望む「香り」を作っている 洋館、バラ、紅茶、香り 雰囲気のある世界のなかに 人間らしい新城とさつき、客の人間らしさがある 朔と新城の関係性が良かった
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ちょうど推し香水をオーダーしたり、何かと香りに惹かれていた時期に購入。 有名&人気作家さんだそうですが、失礼ながら、私は今作で初めて知りました。 作風は、世界観は小川洋子さんっぽいですが、文体はそれほどキラキラガーリーふわふわな感じではなく、一般文芸作品寄りかな? と感じました...
ちょうど推し香水をオーダーしたり、何かと香りに惹かれていた時期に購入。 有名&人気作家さんだそうですが、失礼ながら、私は今作で初めて知りました。 作風は、世界観は小川洋子さんっぽいですが、文体はそれほどキラキラガーリーふわふわな感じではなく、一般文芸作品寄りかな? と感じました。 物語は、とっても匂いに敏感で(大勢の中から体臭で一人を見つけ出せるくらい)どんな匂いでも作り出せる、朔という男性のところで働くことになった一香(いちか)のお話。 この朔という人物の造形が過度に「ザ・特性特化型人間」に見えないように、絶妙な塩梅に工夫されていて良かったです。 小説の中で匂いを扱うということは、結構な難易度なんじゃないかと私は思うのですが、小説の枠を飛び越えて、自分の今までの人生で嗅いだことのある匂いを想起するような、追体験のようなものができる作品です。 かの有名な、“マドレーヌの匂いで過去を思い出す”ではないですが、香りと記憶はセットになっているんですね。 香りはもっとも原始的な部分と密接に関わっているからこそ、良いものであれ悪いものであれ、呼び覚ましてしまう。 なかなか深いメッセージ性のある作品テーマだなと思いました。 かくいう私は、本作を読んで学生時代の楽しかった経験とセットで出てくる匂いが、一般には不快と言われる匂いだったりして、ちょっと面白いな~、と思ったりしました。 続編があるようなので、そちらも読んでみたいです。
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人の持つ香りから、秘密を紐解いていく。 人の繋がりの複雑さをうまく描かれてるなーと思う。 自分の香りって分からないし、人の香りは、香害っていうくらい気になりますよね。
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THE ファンタジー。 キャラクターとバックボーンがそのまんますぎて 少し芝居かかった空気を感じてしまった。 筆致はとても読みやすいです。
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#透明な夜の香り #千早茜 さん この季節によく会う一冊。 雨に濡れて香りがより一層際立つように、 紙から香りの輪郭を感じた。 千早さんは恋愛小説のイメージが強かったんだけど、 この一冊でそのイメージが変わった。 言葉や表現の幅に驚かされたし、 食べ物や植物の描写がとても...
#透明な夜の香り #千早茜 さん この季節によく会う一冊。 雨に濡れて香りがより一層際立つように、 紙から香りの輪郭を感じた。 千早さんは恋愛小説のイメージが強かったんだけど、 この一冊でそのイメージが変わった。 言葉や表現の幅に驚かされたし、 食べ物や植物の描写がとても素敵…! 2人の危うさもよく伝わってきて、 いい意味で居心地の悪い時もあって、 言葉の可能性を感じた。 続編読みたい〜!!!
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「しろがねの葉」では体臭寄り嗅覚系で楽しく読んでいたので、こちらは嗅覚障害系寄りでまた楽しく読めました。 調香師の朔(さく)さんの家事や料理に雑用のアルバイトをする一香さんが主人公のようですが、ほとんど朔さんが主人公のような展開でした。 朔さんの幼馴染の新城氏は行儀悪いし態度デ...
「しろがねの葉」では体臭寄り嗅覚系で楽しく読んでいたので、こちらは嗅覚障害系寄りでまた楽しく読めました。 調香師の朔(さく)さんの家事や料理に雑用のアルバイトをする一香さんが主人公のようですが、ほとんど朔さんが主人公のような展開でした。 朔さんの幼馴染の新城氏は行儀悪いし態度デカいしでタバコポイ捨てするわで酷いですが、この人がいないとこの物語は成立しないようですね。 しかし、所々に一香さんの記憶の中で、自分のお兄さんを思い出しながら淡々と進みます。 一香さんの過去の記憶と、朔さんの過去の記憶が、嗅覚によって近づいたり遠ざかったりしていきます。 嗅覚系は記憶に残りますね。 いつも楽しい物語ありがとうございます。
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