涼子点景1964 の商品レビュー
謎の少女。彼女はいったい何者なのか。。 章ごとに別の人間の物語があり、謎や伏線が少しずつ1本になっていく。 1964年代の世の中が興味深い。
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これまたフォローしているレビュアーさんのレビューで興味を持った本。森谷さんの作品はずいぶん前に少し読んだことがあるのだが、こちらも面白くてグイグイ引き込まれた。 舞台は1964年、オリンピックに湧く東京。 タイトルにある「涼子」とは表紙絵にある少女。 ある時は少年に掛けられた万...
これまたフォローしているレビュアーさんのレビューで興味を持った本。森谷さんの作品はずいぶん前に少し読んだことがあるのだが、こちらも面白くてグイグイ引き込まれた。 舞台は1964年、オリンピックに湧く東京。 タイトルにある「涼子」とは表紙絵にある少女。 ある時は少年に掛けられた万引きの疑いを晴らし、ある時は商売に行き詰まっている和菓子屋に新商品のヒントを与え、ある時は従兄の行方を解き明かす名探偵でありヒーロー。 だが一方で、貧しい育ちのはずの涼子がいつのまにか高級車で送り迎えされるお嬢様になっていたり、地上げ屋の被害にあった商店街から涼子の親が恨まれていたり、その地上げ屋と何かしら関係がありそうだったり。礼儀正しく大人びた言動を見せるかと思えば、時に涼子の秘密を探ろうとする同級生の少年に蓮っ葉な口調で釘を指す。 涼子にはどんな秘密があり、何をしようとしているのか。 読み進めていくと、不審な死が3件あることに気付く。 涼子の父、祖母、そして地上げ屋の社長。失踪に転落し、突然の心臓発作。これらに涼子は関係しているのかいないのか。 何よりも涼子は悪女なのか、それとも『自分で自分の道を切り拓いて』いるだけなのか。 涼子を含め八人の視点から描かれることで、最初はバラバラだった涼子の印象が次第に一つへ集約されていく設定は面白い。序盤の章に出てきたエピソードが後のエピソードや謎解きの伏線にもなっている。それでも最終章の涼子視点の話まで明かされないこともある。 オリンピック景気に沸く東京。だがそこにはまだ戦争の影もちらほら見える。そして貧富の差も歴然とある。高校、大学へと進学する者もいれば中学卒業後に就職する者や家業を継ぐ者も珍しくない時代。逆に何不自由ない暮らしをしている者にも転落のきっかけがどこにでも転がっている。 古い建物や区画が新しいものに変わっても、その新しい建物の下には過去が眠っている。一歩路地に入れば違う世界が広がっている。 様々なモノがキメラの如く入り混じった1964年という時代を感じさせてくれた作品だった。 読み終えてみると、個人的にはちょっと物足りないような気がするが(もっと黒くても良かった)、これで良かったのだろう。小野田涼子が最後にどうなったのかも分かって良かった。
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「ん?」 ファールチップで掠ったような感触・読後感。 こんなはずでは・・・、一週間、間を空けて読み返してみた。 すると今度は確かな感触が。 「おもしろい‼︎」 涼子と、彼女と接点を持つ7人の間にプリズムを入れたようにして、前半は、涼子が別人に映るかのような構成にしている...
「ん?」 ファールチップで掠ったような感触・読後感。 こんなはずでは・・・、一週間、間を空けて読み返してみた。 すると今度は確かな感触が。 「おもしろい‼︎」 涼子と、彼女と接点を持つ7人の間にプリズムを入れたようにして、前半は、涼子が別人に映るかのような構成にしている。 そして後半になるに従い、涼子自身と同じくらい、彼らの行動やその動機が重要だということに気付かされてくる。 読み返して良かった。 フォロワーさん、いつも楽しい本棚&レビュー、ありがとうございます。
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とあるきっかけから涼子という元同級生を調べ始める高校生の幸一。時代は1964年、オリンピック間近で国立競技場そばで起こる出来事。タイトルの点景通り、章ごとに色々な人物目線で涼子かその周辺の事が語られて行き、8章の涼子で全てが解ける。 涼子の謎めいた感がこの話を引っ張っていき、重厚...
とあるきっかけから涼子という元同級生を調べ始める高校生の幸一。時代は1964年、オリンピック間近で国立競技場そばで起こる出来事。タイトルの点景通り、章ごとに色々な人物目線で涼子かその周辺の事が語られて行き、8章の涼子で全てが解ける。 涼子の謎めいた感がこの話を引っ張っていき、重厚感のある内容の割に一気に読んだ。エンターテイメント性や軽さ、謎解き場面の丁寧さや演出が欲しいので本当は★4かとも思ったけど、初読み作家さんで予想以上に面白かったので少しオマケの★5つけました。
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※このレビューにはネタバレを含みます
1964年のオリンピックを背景に、父親失踪後、一人の少女が才能と向上心を元に生き抜く姿を、周囲にいる人の視点で描く。 涼子の克己心と賢明さ、毅然とした態度が胸を打つ。その母親の思いも。小さな子は守られるべきだと考えて、子ども絡みの事件を解決したり、商売の知恵を授けたりしている涼子は、教育者にふさわしい。
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森谷明子は初めて読んだ。こんな面白い小説を書く人だったとは。謎の高校生小野田涼子をめぐって、7人の小学生、高校生、大学生、家事見習い、書生、涼子の母たちが、さまざまに語っていく。時は東京オリンピックに湧く1964年のこと。涼子は、他と群れることのしない毅然とした美少女。しかし、と...
森谷明子は初めて読んだ。こんな面白い小説を書く人だったとは。謎の高校生小野田涼子をめぐって、7人の小学生、高校生、大学生、家事見習い、書生、涼子の母たちが、さまざまに語っていく。時は東京オリンピックに湧く1964年のこと。涼子は、他と群れることのしない毅然とした美少女。しかし、ときに、身の周りの事件を鮮やかに解いて見せる頭の冴えを見せる。最後の第8章は涼子の章で、すべての謎が明らかにされる。他の人間に語らせるという手法が素晴らしい。涼子という人間の魅力が立体的に浮き上がってくるのだ。
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オリンピックイヤーに合わせた 出版だったんだろうなぁ。 でも、関係なく良い物語でした。 涼子自身が出てくるのは 最初と最後だけ。 他の章では周囲の人生と一瞬だけ並走。 その中で少しずつ彼女の人生も 形をあらわしてくるのです。 漫画雑誌を盗んだ疑いをはらしてくれたり 妊婦が怪し...
オリンピックイヤーに合わせた 出版だったんだろうなぁ。 でも、関係なく良い物語でした。 涼子自身が出てくるのは 最初と最後だけ。 他の章では周囲の人生と一瞬だけ並走。 その中で少しずつ彼女の人生も 形をあらわしてくるのです。 漫画雑誌を盗んだ疑いをはらしてくれたり 妊婦が怪しい勧誘にひっかかっている 疑惑を解いてくれたり 宝石泥棒の汚名を晴らしたりと ミステリ要素も色濃くあり。 なにせ一番の謎は、涼子の生い立ちだもの!
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好きな作家さんです。これまでも読んできました。この作品を読んで、多様な書きぶりでいろいろとチャレンジする作家さんというイメージがどんどん強くなります。 主人公がなかなか面白く、私にはとても魅力的でした。一家の謎については、なんとなくそうのではないかと思っていたものがそのまま謎解き...
好きな作家さんです。これまでも読んできました。この作品を読んで、多様な書きぶりでいろいろとチャレンジする作家さんというイメージがどんどん強くなります。 主人公がなかなか面白く、私にはとても魅力的でした。一家の謎については、なんとなくそうのではないかと思っていたものがそのまま謎解きされた感じで、一番大きなミステリーについては驚きは少なかったです。 ただ、各編に散らばっている細かなミステリーとそれを明かす主人公の姿は大層魅力的。デビュー作の紫式部の姿がちょっと見えたようにも思いました。 1964のオリンピックで高校生とすると、2回目の東京オリンピックではけっこうなお歳となりますね。そうか、私よりも年上なんだ、と結末に来て、じんわりと心に沁みました。 主人公、この作品だけで終わりなのでしょうね。 職についてからはきっと細かな日常のミステリーを解いて今日まで来たのに違いないと思います。その姿を読みたくてたまりませんが、難しいことでしょうね。
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初読み作家さん。1964年東京オリンピック開催の時代。涼子の父親が失踪した事実を知らされるが…ミステリーでもあるが、涼子の生き方を書いた小説とも言えるような小説。涼子が、謎を解いていく場面があるが、安楽椅子探偵か?って思っちゃいました(*´艸`*)ァハ♪読んでいるうちに、涼子の事...
初読み作家さん。1964年東京オリンピック開催の時代。涼子の父親が失踪した事実を知らされるが…ミステリーでもあるが、涼子の生き方を書いた小説とも言えるような小説。涼子が、謎を解いていく場面があるが、安楽椅子探偵か?って思っちゃいました(*´艸`*)ァハ♪読んでいるうちに、涼子の事を知りたくなり、ページが、進めれたかな( * ॑꒳ ॑* )♪どんなに辛い事だろうが、前を向いて、踏ん張っている涼子は、素晴らしいと思う。普通なら卑屈な心がわきそうなことなのに…
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※このレビューにはネタバレを含みます
ミステリーもの。 才色兼備な涼子の過去、 涼子の周りで起こる不可解な出来事。 伏線がたくさん出てきましたが その都度分かっちゃたよ( •̀ㅁ•́;)。 最後まで読んだのは 私の推理が当たってるのかの確認で。 涼子は白夜行や幻夜のような 悪女がよかったよー。 .
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