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村に火をつけ、白痴になれ の商品レビュー

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24件のお客様レビュー

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2020/07/16

読書ブログさんで、表紙にピンときて借りた本。 まず、タイトルがいい。 一言でいうと、めちゃくちゃな人だ、人生だ! 当たり前だ、大杉栄と暮らし、拷問の末殺されてしまった大正のアナキストなんだもの。 でも、自分の欲に正直だ。 本も、男も、金も、全部自分の強欲を燃やす薪でしかない。 ...

読書ブログさんで、表紙にピンときて借りた本。 まず、タイトルがいい。 一言でいうと、めちゃくちゃな人だ、人生だ! 当たり前だ、大杉栄と暮らし、拷問の末殺されてしまった大正のアナキストなんだもの。 でも、自分の欲に正直だ。 本も、男も、金も、全部自分の強欲を燃やす薪でしかない。 とても人間らしい人間だ。 著者の口調がうつっちゃうけど、この人はフェミニズムなんてお上品なんてものじゃない。 夫に、家族に、イエに、社会に飼われることを鼻で笑い、本を読み意思を持つ獣たる人間を野に放つためならなんでもやっただろう。 破天荒という言葉すらお上品なこの人をみると、自分の人生はなんてお上品なんだろうと思ってしまう。 著者と一緒に、欲望大爆発できな臭い時代を疾走する野枝にちょっと引きながら、同時にちょっと憧れてしまう。気持ちいいのだ。絶対に自分は関わりたくない人だけど。 それは、その獣のがまだ私たちのなかに眠っているからであり、同時に野枝が冗談じゃ無いと踏み荒らして行ってしまった檻がまだ、私たちの外にもなかにも幾重にも錆びて下されたまま、残されているから、なんだろう。

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2020/05/22

短い人生を駆け抜けた伊藤野枝の評伝。評伝といっても、対象と一定の距離を置いて、時系列に沿ってその経歴や業績を叙述するのではなく、すげえぜ感を全開にして、感情を乗せた文体、語り口で、彼女の人生を追いかけていく。 不当な因習や縛りに対して、習俗打破!を叫び、そうした人生を生きていった...

短い人生を駆け抜けた伊藤野枝の評伝。評伝といっても、対象と一定の距離を置いて、時系列に沿ってその経歴や業績を叙述するのではなく、すげえぜ感を全開にして、感情を乗せた文体、語り口で、彼女の人生を追いかけていく。 不当な因習や縛りに対して、習俗打破!を叫び、そうした人生を生きていった野枝。周りにいたら、正直キツいなとの思いはあるが、その魅力は十分感じられた。

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2020/05/07

伊藤野枝の評伝。伊藤野枝を完全肯定した内容。著者、伊藤野枝好きすぎるだろう。伊藤野枝は毀誉褒貶の多い人で好きな人は好きというタイプだけどここまで肯定する人というのも珍しいんじゃなかろうか。ただ、山川菊栄を「メガネザル」と形容するのはいただけないな。 読んでて一番驚いたのは「はじめ...

伊藤野枝の評伝。伊藤野枝を完全肯定した内容。著者、伊藤野枝好きすぎるだろう。伊藤野枝は毀誉褒貶の多い人で好きな人は好きというタイプだけどここまで肯定する人というのも珍しいんじゃなかろうか。ただ、山川菊栄を「メガネザル」と形容するのはいただけないな。 読んでて一番驚いたのは「はじめに」のところで、伊藤野枝の故郷である今宿での嫌われっぷりとたたりの話。著者は墓石変わりの自然石にしか興味ないみたいだけど、分骨された遺骨は今どこにあるんだろう?

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2020/01/23

伊藤野枝に思いっきり入れ込んだ評伝。栗原さんが描くと、野枝のどうしようもなくわがままな部分もカッコよく見えてしまうのだから不思議だ。この点は、一遍を描いた『死してなお踊れ』も同じである。 山川菊枝との論争の評価など、伊藤に肩入れしすぎのように思える部分もあるが、その辺にいちいち...

伊藤野枝に思いっきり入れ込んだ評伝。栗原さんが描くと、野枝のどうしようもなくわがままな部分もカッコよく見えてしまうのだから不思議だ。この点は、一遍を描いた『死してなお踊れ』も同じである。 山川菊枝との論争の評価など、伊藤に肩入れしすぎのように思える部分もあるが、その辺にいちいち引っかかるのは野暮なんだろう。実際、岩波も本書には青帯(学術)ではなく赤帯(文芸)を付けている。「いつも心に伊藤野枝」という筆者のメッセージを正面から受け止めたい。

Posted byブクログ