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THIS IS JAPAN ―英国保育士が見た日本― の商品レビュー

3.9

68件のお客様レビュー

  1. 5つ

    12

  2. 4つ

    29

  3. 3つ

    17

  4. 2つ

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2021/01/17
  • ネタバレ

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本の内容とは「反緊縮」以外関係ないけど、読んで思った感想。 確かに最近はSNSでも政治の話をするのは、イケてない感が有るし「そんなん期待したって仕方ないやん」という雰囲気がある。 諦めというか呆れというか与野党のなかで与党が少しはマシ、というだけで政権を握っている。 なぜ「反緊縮」という誰にも受け入れやすい主張を野党はしないのだろうか? 最近、山本太郎がMMTで金刷って配れって言ってるけど、もっと普通に教育予算とか貧困対策とかを反緊縮の立場で、しっかりやれって主張する政党が有っても良いのに。 立憲とか共産党とか「経済は大事ですよね、国民の皆さんの暮らしを守ります」とか言って「モリカケがー」とかやってれば選挙で勝てるわけない。 維新は緊縮大好きで大阪の医療崩壊の土台を作った張本人だし。救いが無いなあ。 Amazonより///////// やけくそのパワーで労働者階級が反乱を起こす英国から、わが祖国へ。 20年ぶりに著者は日本に長期滞在する。 保育園で見た緊縮の光景、労働者が労働者に罵声を浴びせる争議の現場、貧困が抜け落ちた人権課題、閉塞に穴が開く奇跡のような場所……。 これが、今の日本だ。 草の根の活動家たちを訪ね歩き、言葉を交わす。 中流意識に覆われた「おとぎの国」を地べたから見つめたルポルタージュ。

Posted byブクログ

2021/01/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2015年に英国から東京に降り立ったブレイディみかこさんが見た、日本の貧困、福祉、子育ての現場。 イギリスで保育士をする、労働党、社会派な彼女のユニークな立ち位置から、「ここが変だよ日本人」的に炙り出される、日本の姿。 いわく、日本の左翼は所得の配分とか生きる権利としての人権とか、いわゆる泥臭いリアルなイシューに弱い。そういう主張をすることは品がないみたいな扱いをされるが、実は一番大事なのではないか。 日本の保育園は申請プロセスや所得別費用などはまるで社会主義国のよう。3歳児以降の職員配置が1対20〜30というのはありえない(イギリスでは1対8ないし13) SEALDsのデモは、来ているのが中高年ばっかりでびっくり。安保より、若年層の低所得や貧困などリアルな生活の主張はないのか。 日本のホームレスの人たち、困窮者たちはあきらめてて、覇気がない。イギリスの人たちはもっと必死でわめいたりするのに。人権は主張して当然という認識や教育自体が違うのではないか。 多摩川の河原で自主保育する人たちとホームレスのおじちゃんの交流に涙。ユートピア的だって。 廃品回収からビジネスを起こしてドヤ街やホームレスの人たちを支援し続ける、70年代からの社会派闘士。NPOは結局自分たちで稼がず助成金頼みになってしまうからと事業を立ち上げた。

Posted byブクログ

2020/12/20

「日本は革命ではなく、衰退で変わると思う」まさに近い将来の日本はそうなって行くのだろう。日本の若者達よ、海外に出て日本を見つめ直して欲しい。

Posted byブクログ

2020/10/25

キーワードは「じべた」の日本、だろうか。 第一章はキャバ嬢の労働争議を扱う。 いろんな職場があり、状況もここで書かれているものと違うところもあるかもしれない。 けれど、待遇改善を求めて立ち上がった人に罵声を浴びせるのは、同じように弱い立場の人だった、というのは――。 生活保護を...

キーワードは「じべた」の日本、だろうか。 第一章はキャバ嬢の労働争議を扱う。 いろんな職場があり、状況もここで書かれているものと違うところもあるかもしれない。 けれど、待遇改善を求めて立ち上がった人に罵声を浴びせるのは、同じように弱い立場の人だった、というのは――。 生活保護を受けている人へのバッシング、セクハラを訴える人へのバッシングなどとも同じ構図のような気がする。 第三章は、緊縮財政下の保育。 ブレイディさんの経験を生かして、英国の制度と比較される。 属する社会階層によらず同じ保育園を利用する日本は、その点では北欧よりも社会主義的、という指摘が面白い。 本書は2015年頃取材のルポルタージュ。 第四章に出てくるSEALD'sは今どうしているのだろう。 著者によればクラウドなあり方をする運動体とのこと。 グラスルーツのアクティヴィストとつながることで、どんな展開を見せるのか。 とても気になる。 第五章では人権にたいする現代の日本と、ヨーロッパとの違いが書かれていた。 現代日本では尊厳(これと人権が文脈上同値のようだった)を支払い能力に見る。 だから、税金を払えない生活保護受給者は、義務を果たしていないから、権利も制限されるべき、と考えられがちだという。 それは当事者にも根強く内面化された規範になっている。 これに対して、欧州では生まれながらに、神から与えられたものとして人権がある。 これについて、本書にある、アムネスティに関わってきた寺中誠さんの言葉がわかりやすい。 物質的、経済的、文化的、社会的、身体的資源など個人が持つあらゆる資源がなくなっても、空っぽのバケツの底のように、「最後まであるのが人権」なのだという。 この間読んだ『メイドの手帖』を思い出す。 ネオリベラリズムが支配する国では、貧困により尊厳も損なわれるさまがわかる本だった。 あれはアメリカの話だったけれど―。 ヨーロッパにもそれは広がっていっているはずで、やがては人権思想も食いつぶされてしまうのだろうか。

Posted byブクログ

2021/02/21

日本人英国保育士が日本を取材。どちらにも加担せず、お互いの違い、良きもの・悪しきものを感じたままに語る。支払い能力が人権の条件と考えるのは日本人独特。「税金払ってるのだから意見いわせろ!」いや、払ってなくても言っていいんだよ。お金で買えないものがある。だから、政府が無限に貨幣を発...

日本人英国保育士が日本を取材。どちらにも加担せず、お互いの違い、良きもの・悪しきものを感じたままに語る。支払い能力が人権の条件と考えるのは日本人独特。「税金払ってるのだから意見いわせろ!」いや、払ってなくても言っていいんだよ。お金で買えないものがある。だから、政府が無限に貨幣を発行できても万能ではない。でも、買えるものは買おうよ。両国を苦しめ続けて来た緊縮財政。転換できるのが早いのはどちらか。GDP目下世界第三位の日本。中国には離される一方。日独逆転は間近。日韓逆転もそのうち。その間に日英逆転もあるのか。

Posted byブクログ

2020/08/29

うっかり、Twitterのタイムラインや、みんなが言ってること、こどものときに植え付けられた固定観念に飲まれてしまうことは誰にでもある。 自分はそういうのに飲まれないほうだと思っていたけど全然そんなこと無かった。 権利と義務はセットではない。権利は国民のもの、義務は国家が国民に...

うっかり、Twitterのタイムラインや、みんなが言ってること、こどものときに植え付けられた固定観念に飲まれてしまうことは誰にでもある。 自分はそういうのに飲まれないほうだと思っていたけど全然そんなこと無かった。 権利と義務はセットではない。権利は国民のもの、義務は国家が国民に対して果たすべきもの。 権利と義務はセットだってこどものころから思い込んでいたよね?働かざる者食うべからず、とも似て非なるこの謎ルール、日本人の多くがそう思ってしまっているんじゃないだろうか? それは一体誰が言い出して、どうやって人の意識の中に伝播してしまったのだろう。 これが、自分が社会に影響を与えられる存在だし、社会は変えられるという気持ちを持つことができない、社会貢献意識が低い人々を生み出してしまう根本原因であるように思う。 他人のことも自分のことも苦しくさせる価値観は一旦リセットして、社会が良くなるには?という視点で考え、行動するようにしなくては、と感じた本。 私達はどうやっても社会の中で生きていくのだから。

Posted byブクログ

2020/08/19
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ブレイディみかこさん、ぼくはイエロー…』『ワイルドサイド…』に続き、3冊目。 副題にもあるように英国保育士から見た今の日本の現状(ミクロ)から、世界の政治や制度(マクロ)まで著者の視点で描かれていて、いつもながら大変興味深かった。 イギリスに住んでるから見えるものもある、むしろ差異が際立って見えて、それを伝えてくれている。 身近な所で言えば、保育園で事故が起きないように遊具などが庭にあまりない(イギリスでは小麦粉粘土を用意するなどの遊びのセッティングを保育士がするのだという)現状を伝え、原因の一つとして保育士の配置基準の問題を挙げている。(イギリスの保育士の配置基準は保育士1人対3歳児園児8人に対し、日本は1人対20人!)それは保育園の問題というより、国の制度の問題(マクロ)ではないか… 日本ではNPO団体などが労働問題や貧困に苦しむ現場をなんとかしようと取り組みはしているが、マクロである制度や政治に目を向ける人が少ない傾向があるとのこと。 なるほどなぁと。 結局は、私たちの生活の枠組みは政治や制度によって作られているのだと、だから目を向けて話し合い、選挙に行くべきなのだろうと、どの章を読んでも、そこに行き着く。 人権課題の一つとして、貧困をつくりだす政治や経済システムを挙げていたのが印象的。 産業革命で労働者を「労働力=モノ」扱いになっていた非人道的な貧困の時代には決して戻ってはいけない、あの時代は「民衆の人権が踏みにじられていた間違った時代」としていて、イギリスでは人権の概念が定着している。それは子どもたちからも。 一方日本では…と考えると、「ぼくの人権を侵害するな」って言葉は子どもたちからは出てくるかなと、思いながら読んだ。自己責任ではなく、人権は守られるべきなんだと。 毎回考えさせられる。

Posted byブクログ

2020/08/25

「ぼくはイエローで‥」からすっかりとりこになってしまったブレイディみかこさんなのだが、この本を読んでなんとなくなぜ自分がみかこさんファンになってしまったのかがよりわかったような気がしてきた。みかこさんの本は四冊目。まだまだ読み続けたいと思う。  ざっくり言うと僕もあこがれた「社...

「ぼくはイエローで‥」からすっかりとりこになってしまったブレイディみかこさんなのだが、この本を読んでなんとなくなぜ自分がみかこさんファンになってしまったのかがよりわかったような気がしてきた。みかこさんの本は四冊目。まだまだ読み続けたいと思う。  ざっくり言うと僕もあこがれた「社会起業家」的なところがあって、彼女は彼女のやり方で社会を変えようと表現しているんだなというところがとても共感するところであって、それを『THIS IS JAPAN』というタイトルにて世に伝えてくれていることへの感謝なのかな、とも思った。 「英国保育士が見た日本」という副題があるとおり、ブライトンで生活をされているみかこさんが20年以上ぶりに東京ほかでの複数の方々に取材した内容をまとめたものなのであるが、一通りよみ終える最後のところに以下記載があってなるほどと思った。 ==== P254 「わたしに会ってください&使ってください」  というタイトルのエントリをブログに公開したのは2015年11月のことだった。  それだけではさっぱりわけがわからないタイトルだが、要するに「来年の1月末から4週間ほど日本に取材に行きますので、貧困者支援、母子支援、子ども支援、非正規労働者支援などの分野で働いておられる方、わたしに取材やボランティア活動をさせてください」と呼びかけたものだった。 ====   約20年前にビジネスパーソンとなってからいろいろ勉強もする中、社会課題の解決へ自分もコミットしたく社会起業家への活動などもあこがれ、保育園の起業なども考えた時期もあった。 そんな中、小説版の解説で萩上チキさんが以下記載されているようなところがストンとおちたんだな、と。 ==== P281 例えば本書でも紹介されているように、日英双方に、保育文化の長所と短所がある。出羽守として一方的に「進んでいるあちらの国(を知っている進んでいる自分)」をプレゼンするのではなく、日本にはイギリスを、イギリスには日本を紹介する形で、それぞれの文化圏を思考のテーブルに載せる。彼女は読者を、対等な相手としてみている。海外にも、日本にも、そして『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』に描かれたような、未来の社会を生きる若者にも。全ての人に、「これが、今の、日本だよ」と等身大を提示する。 数々のエッセイを書きつつ、一人の市民としても、日本の反緊縮運動などにコミットする。 緊縮を求めてきた清貧なインテリ左派ではなく、反緊縮を訴える泥臭いアクティブ左派というロールモデルを、その身をもって示してもいる。少なくとも現代日本の表現社会においては異色な書き手である。 ==== なるほどなるほど、やっぱりこういうことなんだな、と思う。 (相変わらずレビュっぽくなくてすみません) いつも大事にしている今回の抜粋は下記 =========== P151 保育の仕事は政治のあり方次第でクールにも、アンクールにもなる。幼児を大人の経済活動の邪魔になる厄介者と見なす政治は、保育士をクールな職業にはできない。わたしたちの仕事をクールにできるのは、人間の脳がもっとも成長する重要な数年間を生きている小さな人々として幼児を認識し、社会全体で彼らを支え、国の将来を担う人たちのポテンシャルを最大限に伸ばすために投資する政治だ。 ===========

Posted byブクログ

2020/07/24

どう著者の他の本に比べると切れ味がないのは、取材レポート担っているからだろうか。問題提起はされていて とても大切だとは思うが。

Posted byブクログ

2020/07/19

他の国と比べることで見えてくる日本があって面白かった。。 日本人の政治や社会問題に対する無関心は、教えない考えさせない教育の問題だと思ってたけど、その根底に人権に対する意識の違いがあるんだと書いてあって、なるほど!!と思った。確かに、日本には支払い能力のないものは人権を主張す...

他の国と比べることで見えてくる日本があって面白かった。。 日本人の政治や社会問題に対する無関心は、教えない考えさせない教育の問題だと思ってたけど、その根底に人権に対する意識の違いがあるんだと書いてあって、なるほど!!と思った。確かに、日本には支払い能力のないものは人権を主張するな的な空気がある。宗教や歴史の影響も大きいだろうけど…とても納得した。 でも人権の意識って根深い話。わたしも子どもに対して選択の余地を与えず親に従って当たり前でしょ!みたいな怒り方することがあって、それって子どもの人権侵害してるってことだなぁと反省。わたしもしっかり日本的な人権の考え方に染まっているなぁ。 あとは保育園の章も興味深かった。 これから少子高齢化が進んで、さらなる問題がたくさん出てくる。日本のこれからはどうなるのだろう。未就学児からの教育が大切になってくるんだろうなぁと思った。

Posted byブクログ