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THIS IS JAPAN ―英国保育士が見た日本― の商品レビュー

3.9

68件のお客様レビュー

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2022/05/18

タイトルは THIS IS JAPAN だけれど、内容は政治と人々という感じだろうか。 英国の保育所現場と日本のそれとの比較は大変興味深く、そこに「日本特有」あるいは「日本人特有」な思考がある事を気付かされました。 そして英国ではあり得ない保育園での混沌。貧富の差無く同じ保育園に...

タイトルは THIS IS JAPAN だけれど、内容は政治と人々という感じだろうか。 英国の保育所現場と日本のそれとの比較は大変興味深く、そこに「日本特有」あるいは「日本人特有」な思考がある事を気付かされました。 そして英国ではあり得ない保育園での混沌。貧富の差無く同じ保育園に入っている現状は北欧以上に社会主義的ではないかという指摘もなるほどと思えた。 日本がミステリアスと受け取られるのはそういった右左・上下が混沌とした現状にもあるのかもしれないと著者は言う。 著者の指摘の一つに「人権」そして人間の「尊厳」の考え方の英国(欧州)間の相違があった。 日本では権利と義務はセット。義務を果たしてこそ権利が存在する。 そして義務を果たせない者に、つまりは税を払えないくらいの貧困者に尊厳がない様に考えてしまう。 一方権利は国民にあり義務は国家にあるという英国の考え方。 さらにどんな人間にも尊厳が神から与えられているとするキリスト教的な論理が受け入れられている。 この相違は人々の政治や国家に対する考え方や行動にも大きな差となって現れよう。 それにしても彼女のそして英国民の緊縮財政に対する怒りはかなりのものですね。 国を立て直すために、国民の生活や子供達の未来を潰しているという感覚なのだろうか。

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2022/04/30

この方の書くものはただのドキュメンタリーでなく、濃厚に血が通っている感じがあって毎回感動する。「地べたから見る」ことの大切さを読むたびに感じさせられる。不思議な部分が非常に社会主義的にできているという日本の制度の偶然なのか、必然なのか、その部分を磨き上げていきたいと社会に対しては...

この方の書くものはただのドキュメンタリーでなく、濃厚に血が通っている感じがあって毎回感動する。「地べたから見る」ことの大切さを読むたびに感じさせられる。不思議な部分が非常に社会主義的にできているという日本の制度の偶然なのか、必然なのか、その部分を磨き上げていきたいと社会に対しては思った。

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2022/01/17

2019年1月初版の本書では、保育士目線から捉えた現状の日本の現実が明記されています。 日本の保育システムの問題点、貧困と人権についての考察、高齢化の進行などが主なテーマであり、イギリスとの比較描写を通じて、これからの日本の在り方を考えさせられる作品だと思いました。 貧困と人...

2019年1月初版の本書では、保育士目線から捉えた現状の日本の現実が明記されています。 日本の保育システムの問題点、貧困と人権についての考察、高齢化の進行などが主なテーマであり、イギリスとの比較描写を通じて、これからの日本の在り方を考えさせられる作品だと思いました。 貧困と人権の関係性についての描写が特に印象に残っており、“貧しさ“とは単にお金に困っていて生活が苦しい状態を指すのではなく、一種の人権侵害であるという考え方が、日本でも広まってほしいと願うばかりです。

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2022/01/16

日本のシステム(政治)の問題点を再認識させれました。 著者の「日本人は現実を見ていないです明確なことが目に入っていない感じ」という指摘にショックを受けました。日本の学校教育って「考える力」を育てるようにはできていないので判断力があまりなかったり、ある程度分かっていてもそれを表現し...

日本のシステム(政治)の問題点を再認識させれました。 著者の「日本人は現実を見ていないです明確なことが目に入っていない感じ」という指摘にショックを受けました。日本の学校教育って「考える力」を育てるようにはできていないので判断力があまりなかったり、ある程度分かっていてもそれを表現したり行動に移せる人が少ないと思います。最近は小学校のテストも記述式の問題が増えてきて変わろうとする動きがあるようですが。日本の将来を担う子供達の事、まずは「保育園の環境」からもっと考えていかないといけないですよね。

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2022/01/03

「地べた」と表現するフィールドにしっかり根を張っているからこそ、ミクロとマクロを繋げて世界を見れる。 英国と日本を比較するからこそ、日本の「ヤバさ」もリアルにわかる。 けど「どっちがいい悪い」を結論づけるわけではない余白の残し方。 解説の「風景の共有は議論の礎となる」がしっくり...

「地べた」と表現するフィールドにしっかり根を張っているからこそ、ミクロとマクロを繋げて世界を見れる。 英国と日本を比較するからこそ、日本の「ヤバさ」もリアルにわかる。 けど「どっちがいい悪い」を結論づけるわけではない余白の残し方。 解説の「風景の共有は議論の礎となる」がしっくりきた。 ブレイディみかこの文章は、「ニュース」や「概念」ではなく「風景」を共有するからこそ、読み手に「自分ごと化」させ、胸に手を当てて考えたくなるような文章なんだと思った

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2022/01/02

良書。貧困と人権を英国と日本の地べたの視点で捉えた骨太なルポ。本書が刊行されたのが2016年8月、5年後の日本はコロナ禍も加わり更に格差が拡がり、人権が顧みられない事案も増えている。政治に対する不信、不満の空気も膨れ上がったが…。自分の身の周りにあることに目を向けない、絶望するの...

良書。貧困と人権を英国と日本の地べたの視点で捉えた骨太なルポ。本書が刊行されたのが2016年8月、5年後の日本はコロナ禍も加わり更に格差が拡がり、人権が顧みられない事案も増えている。政治に対する不信、不満の空気も膨れ上がったが…。自分の身の周りにあることに目を向けない、絶望するのが怖くて考えたくない、それは自分のことでもあると思い知る。貧困や人権に対する理解があやふやであったことも。もっと考えながら一歩踏み出したい。

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2021/12/25

組合が企業別なのもさることながら、職場意識が労働者を分断する。元従業員が未払い賃金を要求しているだけなのに「働けよ」と罵声を浴びせる同業界の男たちは「共存」ということを知らないのか?キャバ嬢を差別するとは/英国在住には「病児保育」という言葉が耳慣れない。子の病気に両親のどちらも休...

組合が企業別なのもさることながら、職場意識が労働者を分断する。元従業員が未払い賃金を要求しているだけなのに「働けよ」と罵声を浴びせる同業界の男たちは「共存」ということを知らないのか?キャバ嬢を差別するとは/英国在住には「病児保育」という言葉が耳慣れない。子の病気に両親のどちらも休めないというのは「労働者」にはありえない/左翼は高齢化している、英国と同様。しかし’98政権奪取した労働党政権は格差是正で幼児教育を強化。保育士の多様性確保/2010政権を奪回した保守党は「定年廃止」打ち出すなど二大政党制が機能

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2021/09/12

イギリス在住のブレイディみかこさんが、20年ぶりに日本に長期滞在し、非正規労働者の支援、貧困者支援、母子支援、子ども支援などの分野で働いている人たちを取材する。  「すべて国民は、個人として尊重される。」と憲法にあっても、ふだんの生活の中では「人権」というものが、どうも実感に乏し...

イギリス在住のブレイディみかこさんが、20年ぶりに日本に長期滞在し、非正規労働者の支援、貧困者支援、母子支援、子ども支援などの分野で働いている人たちを取材する。  「すべて国民は、個人として尊重される。」と憲法にあっても、ふだんの生活の中では「人権」というものが、どうも実感に乏しいもののように思っていた。そこで国際人権NGOの元事務局長の寺中さんの言葉はしみじみ「人権」というものの意味を感じさせてくれた。「お金があるならお金を使いなさい。友達がいるなら友達に頼りなさい。体力に自信があるならそれを駆使して頑張ればいい。でも、それが全部なくなって頼るものがなくなったとき、そこにある蓋が人権です。」自分が何もない状態になってもそこにあって、何もない状態の自分も受け止めてもらえるもの。  なんだか肩の力が抜けて、ほっとする気がした。  それが社会の中でのどんなことと結びつけてどうしていくべきかを知ることはまだまだ課題ではあっても、身近な人たちと接する中でも、「人権」を考えるもとになる言葉だったと思う。  エピローグのカトウさんの話には驚いた。世田谷の自主保育の場でこんな光景が見られるとは。  

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2021/08/28

僕はイエローで〜、を読み、同じ著者ということで読んでみた。こちらは日本とイギリス社会制度の話ばかり。日本の閉塞感と意識の無さ、イギリスの制度説明と歴史。 日本には、自分たちは中流階級にいると思っている、実際は下層階級の人たちが多く、彼らが他人事のように捉えているから日本の社会保...

僕はイエローで〜、を読み、同じ著者ということで読んでみた。こちらは日本とイギリス社会制度の話ばかり。日本の閉塞感と意識の無さ、イギリスの制度説明と歴史。 日本には、自分たちは中流階級にいると思っている、実際は下層階級の人たちが多く、彼らが他人事のように捉えているから日本の社会保障制度はなかなか進まない。イギリスは、階級社会だからこそ、「自分たちは労働者階級である」と自覚し、声を上げる。 毎日派遣で働き、派遣を切られてアパートの家賃が払えなくなって、やっと相談に来る。参加者の高年齢化。牛乳パック、なんでも手作りの保育園。20人の3歳を見る保育士とチェック機能。声を上げるものと傍観するものの歩道を隔てた距離の広さ。「日本の左翼は金の話をしない」「金と力が平等に行き渡るべきだと信じるものの集団」 日本で社会活動をする人は、社会から外れた人という意識が強く、団体同士の風通しや結束が弱くて、結果的にカリスマがいないと萎んでしまうので、もっと気軽に日常にそういう風土があればいいのにと思う。

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2021/07/03

「自分で考えない人たち」の存在。 コロナ禍でより存在感を増していて、自分にとってとてもタイムリーな題材だった。 保育園での英国との違いが興味深い。

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