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デトロイト美術館の奇跡 の商品レビュー

3.7

204件のお客様レビュー

  1. 5つ

    31

  2. 4つ

    88

  3. 3つ

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2020/05/28

実際に読んだのはハードカバーの単行本。 DIA、Detroit Institute of Arts、デトロイト美術館。 出版元の新潮社のページを見てみると、実話をもとに描かれた物語、だそうだ。 2013年に市の財政難から美術館の美術品を売らねばならなくなったデトロイト美術館。...

実際に読んだのはハードカバーの単行本。 DIA、Detroit Institute of Arts、デトロイト美術館。 出版元の新潮社のページを見てみると、実話をもとに描かれた物語、だそうだ。 2013年に市の財政難から美術館の美術品を売らねばならなくなったデトロイト美術館。 あの「友だち」と二度と会えなくなるかもしれない。 それを救ったのは、小さな力、美術館を、芸術を愛した人たちの力だった。 市民を守るのか、それとも美術品を守るのか。 どちらの言い分も正しい。 解決方法は、今となってみれば、当たり前に行われ始めている手法。 でも、それが当たり前にできるほどに美術館が愛されていなければなされなかった奇跡だろう。 常々、奇跡とは努力が必要なものだと思う。 動かなければ、継続しなければ、声を上げなければ、奇跡は起きない。 はじめの一歩の難しさを知る人には納得だろう。 表紙になっている『マダム・セザンヌ』。 本物に会わなければ、不機嫌な顔をした普通の女性、という印象に違いない。 しかし実際にあってみると、印刷よりもっとずっと魅力的なのだろう。 美術展、展覧会が次々に中止され、少し寂しい。 それまでは、会いたい気持ちを募らせよう。 愛は育むもの。 また美術に触れられるようになったら、必ず、行こう。 ほんの少しかもしれないけれど、それが手助けになることを願って。

Posted byブクログ

2020/05/23

原田マハさんの小説(2016年9月単行本、2020年1月文庫本)。デトロイト市の財政破綻により所蔵美術品の売却流出危機に陥ったデトロイト美術館(DIA)、そしてその美術を愛する人々による感動の起死回生、危機脱出の物語。 「楽園のカンヴァス」のアンリ・ルソー、「暗幕のゲルニカ」のピ...

原田マハさんの小説(2016年9月単行本、2020年1月文庫本)。デトロイト市の財政破綻により所蔵美術品の売却流出危機に陥ったデトロイト美術館(DIA)、そしてその美術を愛する人々による感動の起死回生、危機脱出の物語。 「楽園のカンヴァス」のアンリ・ルソー、「暗幕のゲルニカ」のピカソ、「たゆたえども沈まず」のゴッホ、読了後はいづれもその画家達に強烈な興味が湧いて、結果観る目的を持って美術館に行くことでより一層楽しめるようになった。今作「デトロイト美術館の奇跡」は画家が主人公の物語ではないが、セザンヌの絵画「マダム・セザンヌ」がDIAの危機脱出に重要な役割を担っており、改めてセザンヌの絵を見に行きたいと思った。 DIAの危機脱出にきっかけを作ったのは「マダム・セザンヌ」が大好きだった奥さんをを半年前に無くした68歳の元溶接工が、「マダム・セザンヌ」が大学時代の研究課題だったDIAチーフキュレーターに差し出した500ドルの寄付だった…。 「マダム・セザンヌ」は、コレクターのロバート・タナヒル(実在の人物)が1969年の死後数多くの美術品をDIAに寄贈した中の一つで、タナヒルとDIAに関わる話も興味深い。 2013年に破産宣告したデトロイト市、その後多くの市民、財団の寄付により、2015年に寄付金目標額達成で「マダム・セザンヌ」を始め、多くの所蔵美術品が売却の危機から救われる。 今作は美術ミステリーでもなければ、画家の物語でもないが、デトロイト美術館(DIA)の歴史や所蔵美術品に思入れ深く知ることが出来た充実感と更に絵画に対する興味が深まったことに満足。

Posted byブクログ

2020/05/18

新潮文庫から刊行されている原田マハさんの作品といえば、楽園のカンヴァス、暗幕のゲルニカと秀作ぞろい。 第3弾として、本作を手にしましたが、 前2作と比較して物足りない内容でした。 実話ベースに、セザンヌの「マダム・セザンヌ」がキーの絵画となり時代・人種・階級を超えて人々を繋ぐ...

新潮文庫から刊行されている原田マハさんの作品といえば、楽園のカンヴァス、暗幕のゲルニカと秀作ぞろい。 第3弾として、本作を手にしましたが、 前2作と比較して物足りない内容でした。 実話ベースに、セザンヌの「マダム・セザンヌ」がキーの絵画となり時代・人種・階級を超えて人々を繋ぐ話でよいのですが、本のボリュームも含めて薄かったです。 池井戸さん的な作品ならば、 美術館の危機→熾烈な債権者の取立て→立ち上がる有志たち→集まらぬ募金→激しさを増す取立て→起死回生の試作→罠・裏切り→絶対絶命→奇跡の大どんでん返し→ハッピーエンド・めでたしめでたし。 的な、流れになると思いましはが、 この作品は悪役も現れず、すんなりハッピーエンドです。

Posted byブクログ

2020/05/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読んでいる途中で不覚にも涙が滲んだ。一枚の絵画にこれほども深い思い出と愛情を注げるのと感動した。マダム・セダンヌ、主人公の一人が「彼女、お前に似ているね」と呟く。そうなんだ、彼女は日本のどこにでもいる主婦のようでもある。彼女は、みる人全てを受け入れてくれるのだ。美人でもない個性的でもない、だがみる人を引きつける。本当にいい絵とそんな力を持っているのだ。

Posted byブクログ

2020/04/28

デトロイト市が財政破綻した事はニュースで知っていましたが、デトロイト美術館の事は知りませんでした。そうですよね貴重な美術品を売却して一時のお金を手に入れても、将来散逸した物を全て取り戻すことはできない。去年見に行った佐竹本三十六歌仙絵を思い出しました。

Posted byブクログ

2020/04/20

読みやすく、サッと読めました。 原田マハさんの作品を読むと、美術館に行きたくなります。素敵なお話でした。

Posted byブクログ

2020/04/11

2013年の夏、 アメリカ製造業の心臓部といわれたデトロイトが、 自動車産業の衰退によって財政破綻に陥りました。 この危機を乗り越え、財政を再建するには、 デトロイト美術館が所有する絵画を 売却するしかないと考えられ、 競売会社クリスティーズも 査定に乗り出す事態となりました。 ...

2013年の夏、 アメリカ製造業の心臓部といわれたデトロイトが、 自動車産業の衰退によって財政破綻に陥りました。 この危機を乗り越え、財政を再建するには、 デトロイト美術館が所有する絵画を 売却するしかないと考えられ、 競売会社クリスティーズも 査定に乗り出す事態となりました。 デトロイト美術館は 古代エジプト美術から現代美術まで、 65,000点以上もの作品を所蔵していて、 アメリカでも3番目の規模を誇っていましたが、 このままでは、国の宝ともいえる芸術作品が、 海外に散逸してしまい、 一度手放したものは二度と再び もとの場所に戻ってくることはないでしょう。 これはそうした史実をもとに描かれた小説です。 小さなドラマが、やがて大きな波となって、 名画流出の危機は回避されます。 美術館に対する愛着と、 美術館を誇りに思うデトロイト市民の連帯が描かれた 美しい物語でした。 べそかきアルルカンの詩的日常 http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/ べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え” http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ” http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2

Posted byブクログ

2020/03/28

『デトロイト美術館の奇跡』原田マハさん 1.購読動機 原田マハさん好きの読書家のみなさんがつぶやいていたからです。 暗幕のゲルニカらのボリュームを想像していました。 期待は良い方に裏切られました。 二時間程度で、原田さんの世界を満喫できます。 2.内容 デトロイト市の財政破綻を...

『デトロイト美術館の奇跡』原田マハさん 1.購読動機 原田マハさん好きの読書家のみなさんがつぶやいていたからです。 暗幕のゲルニカらのボリュームを想像していました。 期待は良い方に裏切られました。 二時間程度で、原田さんの世界を満喫できます。 2.内容 デトロイト市の財政破綻をきっかけに、デトロイト美術館のコレクション売却か?の危機になりました。 結果は、市民や関係する組織の寄付により、独立行政法人として運営が継続できる形になりました。 3.読了感 読みやすさ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ ほっこり ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ 原田さんのおかげで、また、世界が広がりました。 ありがとうございます。

Posted byブクログ

2020/03/15

財政破綻したデトロイト市。 市美術館の名画の数々が売却の危機に。 一人の老人の行為がその危機を救う。 「アートは友だちで、武術感は友だちの家だ」 なんて素敵な言葉だろう。 美術館へ行きたくなる、そんな誘惑をさせられる良書。

Posted byブクログ

2020/03/15

 原田マハの美術系作品なので購入も、どうやら当時のやってたデトロイト美術館展とのタイアップ感満載…美術テーマなのでまぁ読むけど『楽園のカンバス』や『たゆたえども沈まず』のような深い描写はなく『本日はお日柄もよく』系のご都合主義的で軽すぎる展開。しかも多分そうなるんだろうな、って空...

 原田マハの美術系作品なので購入も、どうやら当時のやってたデトロイト美術館展とのタイアップ感満載…美術テーマなのでまぁ読むけど『楽園のカンバス』や『たゆたえども沈まず』のような深い描写はなく『本日はお日柄もよく』系のご都合主義的で軽すぎる展開。しかも多分そうなるんだろうな、って空気感満載で最初から見え見えの結論をあたかもどんでん返しのように最後まで引っ張るのもとても浅く感じる。  まぁ安心して読めるしセザンヌの絵も知れたし自分的にはいいけど小説としてはどうなんだろうかな…色々大人の事情もおありなんだと思うけど、流石にこれを作品として出すのはいかがなものだろうか。展示会支援ならもう少し別の方法もある気がする。編集者の方も原田マハさんを消費するのではなくもう少しその魅力を上手に引き出して欲しいと願います。

Posted byブクログ