あたしたち、海へ の商品レビュー
女子校(中学校)での人間関係の物語。 生徒と生徒の保護者と先生と、そしてそれらと関わる人が登場する。 中学生の狭い世界でのいじめ、同調圧力。 その狭い世界がすべてな子どもたちからすると絶望的なのではないだろうか… 読みながら心が苦しくなる、そんな話だった。 いじめる人も、いじめ...
女子校(中学校)での人間関係の物語。 生徒と生徒の保護者と先生と、そしてそれらと関わる人が登場する。 中学生の狭い世界でのいじめ、同調圧力。 その狭い世界がすべてな子どもたちからすると絶望的なのではないだろうか… 読みながら心が苦しくなる、そんな話だった。 いじめる人も、いじめられる人も、それを見て見ぬふりする人もいる。 そして、子どもの世界だけでなく大人の世界にもいじめや同調圧力はある。 辛いな…と思いつつ読み、逃げていいんだよ、と心の中でつぶやいていた。 いじめや同調圧力に押しつぶされる必要はない。 そんなのクソクラエだ。 私は私。 自分を大切にして! 読みながらなんどもそう思った。 中学生の物語ではあるけれど、身近なことがテーマなように感じる1冊。
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井上荒野さんには珍しい女子中学生のスクールカーストを題材にした物語。 有夢・瑤子・海は同じ中学に通う幼馴染み。 自転車もお揃いなら大好きなミュージシャンも同じ、いつかペルーへ行くのを夢見ている事も。 けれど校内でのある出来事がきっかけで海は引っ越し別の中学へと転校して行く。...
井上荒野さんには珍しい女子中学生のスクールカーストを題材にした物語。 有夢・瑤子・海は同じ中学に通う幼馴染み。 自転車もお揃いなら大好きなミュージシャンも同じ、いつかペルーへ行くのを夢見ている事も。 けれど校内でのある出来事がきっかけで海は引っ越し別の中学へと転校して行く。 きっかけとなった出来事はそんな事で?と思ってしまうがイジメなんてきっとそんな些末な事から始まってしまうんだろう。 ボスに付く同級生にも見て見ぬふりの教師にも呆れる。 そんな奴らからは逃げれば良い。 あなたを肯定してくれる人は必ず存在するはずだから。
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幼馴染の仲良し3人組、イジメに会う。女子中学生のカースト。アーティストのリンドリンディの歌うペルーに心酔し「ペルーに行く」と決める。彼女らのペルーとは?
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有夢と瑤子と海は幼馴染みの仲良し三人組。 中学の合格祝いに買ってもらった自転車もお揃い、大好きなミュージシャンも同じリンド・リンディ。 川沿いの街でずっと同じ風景を見ていくはずだった。 だけど―。 傷ついて、裏切って、追い詰められて…。 (アマゾンより引用)
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あたしたちは無数の瞬間でできているのだと遥子は思う。ずっと嫌な目や悲しい目にばかり遭ってきたと思っていたけれど、それだけじゃなくて、美しい瞬間や楽しい瞬間ややさしい瞬間もあった。それらはすべてあたしたちの中にある。 (P.214)
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女子校ではよくある、なぜかできてしまう仲間はずれ。私に海みたいな立場の時があった、と懐かしくなった。三脚は安定するのに、3人のグループってなんと難しいのだろう。世の中に出でも感じる少し排他的で、少し理不尽な空気は人間独特なのだろうか。
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中学生のカースト、いじめ。 娘がいる身としては、どうか平穏な毎日を過ごせますようにと祈りながら読む。 海ちゃんの強さに救われる。 今が辛くても、いじめの首謀者のエルカよりも 絶対に幸せになれるよ!
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2022年6月3日 再読 ETV特集「ぼくは しんだ じぶんで しんだ 谷川俊太郎と死の絵本」で、合田里美さんが手がけたこの本の表紙が映った。それで思い出した。この本は高校生のいじめがテーマだった。 だけと私の関心は、この本のなかの脇役である波多野さんにある。「趣味は読書」だと言い、「好きな作家はフォークナーとマルグリット・デュラス」だと言った波多野さん。そんな波多野さんは孤独だ。だけど波多野さんは強くて優しい。 世の中はどうして生きにくいのだろう。 人はなぜ群れて、いじめの対象となる人間をつくるのだろう。 こんなことを真剣に考えてしまう私は、「まじめぇ~」とイジられるんだろうな。ある意味、私は波多野さんなんだと思う。 私は波多野さんが好きだけど、波多野さんのような生き方をしている自分のことを辛いなぁとも思う。 でも、だからといって群れのなかに安住はしたくない。 そうなるくらいなら、むしろ波多野さんでいることを選ぶ。 高校生が大人と違うのは、学校という組織から簡単には離れられない点だろう。もちろん、不登校、退学といった選択肢はあるけれど。 大人は学校という束縛からはフリーだけど、お金がなければ生きていけない。そのことが解決しなければ、勤務先や、見ず知らずの他人と暮らす高齢者施設がどんなに嫌でも、簡単にやめることはできない。 解決策のない問い。 これが生きている限りついてまわる。 『わたしたち、海へ』の余韻は、ずっとのこる。そういう忘れがたい本です。
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閉塞感からの解放が見事でした。 中高一貫の名門女子高で徐々にエスカレートしていく「いじめ」。当事者の少女たちのモノローグにとどまらず、家庭環境や担任教師の生い立ちも描かれていくことで、いじめとは社会の病理だということが強調されています。 ヒリヒリと視野が狭まっていく展開からトンネルを抜けた瞬間、最後に待っていたのは気の抜けるような晴れやかさ、希望を抱く光景でした。
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思春期だとか、反抗期だとか、そんな子どもだからという理由で一括りにしてよい問題ではない。いじめの首謀者は悪者である。でもそれは一体どこで学んだ、誰の影響なのだろうか。 最後に見える希望を、全世代に感じてほしい作品。
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