天上の葦(下) の商品レビュー
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戦時中、国民総動員に向かうプロパガンダとして、新聞や放送などジャーナリズムが国家によって操作されていくことの恐ろしさをまざまざと感じた。 結局、あの大戦はだれが向かわせ誰にとって有益なものだったのだろう。日本中を焼け野原にし数百万人を死に至らしめ、学ぶことも個人の意思もすべて取り上げられ、飢えや病が蔓延した時代。 加害者も被害者も大きさの違いはあれど・・・ 真実を知りながらも公安という組織が日本中を統制し、声を上げられなかった人々はその罪を抱えながら戦後を生きていく。 焼け野原に降り立ったのは米人だったが、もしアメリカがこなかったら日本はロシアか中国に支配されていたのだろうかと思うと、空恐ろしくなる。 そして、奇跡の復興を果たした日本の好景気を後押ししたのが、対岸の朝鮮戦争であったということも悲しい現実だったのだ。 私たちが知らないうちに国家によって統制していくようなことが悲しい現実にならないよう正しいものを見極める知恵を持たないといけない。知識ではなく知識を。 立ち向かった3人の男性たちと、罪を忘れずに戦後を真摯に生き抜いた人たちと警察や国家権力との攻防に引き込まれた数日間だった。
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下巻は一気読み。 満足度の高く、深い読後感をもたらしてくれた社会派ミステリー。戦時中の状況、登場人物の言動など描写が素晴らしく感情が揺さぶられる。凄い。
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かなりの大作。そして力作。 ミステリアスな導入部から一気に引き込まれ、長いだけあってところどころ冗長で分かりにくい場面は出てくるものの、概ね退屈することなく最後まで読めた。 終盤の第二次大戦中のシーンなどは、切迫感満載なページと、ダラダラと長ったらしいシーンが交錯していて、なんだ...
かなりの大作。そして力作。 ミステリアスな導入部から一気に引き込まれ、長いだけあってところどころ冗長で分かりにくい場面は出てくるものの、概ね退屈することなく最後まで読めた。 終盤の第二次大戦中のシーンなどは、切迫感満載なページと、ダラダラと長ったらしいシーンが交錯していて、なんだか勿体なかったかな。 相変わらず主人公3人に魅力が乏しいのが残念だが、水準をはるかに超える作品であることは疑いようがない。 よくこれだけの内容を書けたなと、作者には感心するばかり。
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(備忘)シリーズ3作目。このシリーズは登場人物も魅力的ながら、序盤から終盤にかけて大きくなる話のスケールが段違いで、先が読めず怒涛の展開に驚かされてばかり。本作のテーマはメディア。情報はなんでも鵜呑みにせず自分で判断することが大事だと改めて思いました。 それにしても、本シリーズの...
(備忘)シリーズ3作目。このシリーズは登場人物も魅力的ながら、序盤から終盤にかけて大きくなる話のスケールが段違いで、先が読めず怒涛の展開に驚かされてばかり。本作のテーマはメディア。情報はなんでも鵜呑みにせず自分で判断することが大事だと改めて思いました。 それにしても、本シリーズの続編まだ出ないのかなあ。心待ちにしてます。
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犯罪者読んでむちゃくちゃ面白かったんでこちらも読み終えました。犯罪者超えはさすがになかろうと思いながら読んで、結果的に犯罪者超えはしなかったですが面白かったですね。途中じいさんの過去の話しは歴史の授業かと思うくらい話しが入ってこなくて苦戦しましたがそこは私の拒絶反応が原因かと。。...
犯罪者読んでむちゃくちゃ面白かったんでこちらも読み終えました。犯罪者超えはさすがになかろうと思いながら読んで、結果的に犯罪者超えはしなかったですが面白かったですね。途中じいさんの過去の話しは歴史の授業かと思うくらい話しが入ってこなくて苦戦しましたがそこは私の拒絶反応が原因かと。。笑 鑓水が勇敢だなぁと、みんなですけど、島のみんなも、勇敢な男たちがでっかい敵に立ち向かってく姿はやはり面白いです。
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老人は、渋谷のスクランブル交差点の真ん中で空をふり仰ぎ、蒼穹の1点を指差して絶命した。 その衝撃的な場面から始まる上巻は、それでもいつもの3人の快活な動きや会話で、クスッと笑えるような楽しさも含まれた。 けれど下巻で真相が明らかになるにつれ、それは読み進めるのも耐え難いほど、過酷...
老人は、渋谷のスクランブル交差点の真ん中で空をふり仰ぎ、蒼穹の1点を指差して絶命した。 その衝撃的な場面から始まる上巻は、それでもいつもの3人の快活な動きや会話で、クスッと笑えるような楽しさも含まれた。 けれど下巻で真相が明らかになるにつれ、それは読み進めるのも耐え難いほど、過酷な地獄があった。 戦争とは、お国の為と戦い抜いた尊い命を奪い、残された家族の命も奪い、そして奪わなければならない立場の人たちの心を奪った。 今まで生きた70年近くの人生を全て捨ててでも、立ち上がらなければならなかった老人たち。 その時代を真摯に生き抜いた人たちの壮絶な覚悟がそこにはあった。 凄すぎて心が震えた。人はなんて愚かなんだろう。人はなんて純粋で美しいのだろう。 国はいったい何をいつも守ろうとしているのだろう。 鑓水、修司、相馬さん、頑張ってくれてありがとう!いつも、破茶滅茶な3人は希望の光ですね。
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やっぱり、このシリーズは面白かったです。 途中の過去シーンは、ズーンと来るけど、その時代があったということは忘れちゃいけないと。 ドラマをひとつ見終えたような満足感でした。
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1作目も2作目も凄かったけど、3作目が一番面白かった…! スケールが大き過ぎて、「全貌が全く見えない…謎が深まるばかり、面白い…」が上巻、下巻途中から「なるほど、繋がった!!」と興奮しながら一気読み!お陰で睡眠不足です… 太平洋戦争の描写が丹念で(参考文献の量がすごかった)、気持...
1作目も2作目も凄かったけど、3作目が一番面白かった…! スケールが大き過ぎて、「全貌が全く見えない…謎が深まるばかり、面白い…」が上巻、下巻途中から「なるほど、繋がった!!」と興奮しながら一気読み!お陰で睡眠不足です… 太平洋戦争の描写が丹念で(参考文献の量がすごかった)、気持ちを揺さぶられるので、心が健やかな時に読むのをお勧めします。
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シリーズものの三作目。一作目が面白すぎて超えないかなーと思いながら読みましたが、今作が一番面白かったです。 またこれまでの作品も社会派の要素が存分に入った作品でしたが、社会に問いかけるメッセージ性もこの作品が一番強かった気がします。 でも、太田愛さんのすごいところはここまで濃密な...
シリーズものの三作目。一作目が面白すぎて超えないかなーと思いながら読みましたが、今作が一番面白かったです。 またこれまでの作品も社会派の要素が存分に入った作品でしたが、社会に問いかけるメッセージ性もこの作品が一番強かった気がします。 でも、太田愛さんのすごいところはここまで濃密なメッセージを小説に託しつつミステリーとしての速度感は落とさずに、強いメッセージ性と物語としての流れ・おもしろさを共存させるところです。 シリーズ4作目も楽しみにしています。
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鑓水が賢過ぎる…。よく思いついたなあの作戦。 初めは冷たかった島の皆が協力してくれる件は熱くなる。 戦時中の言論統制についても分かりやすく描写されていて、SNS等が発達した現代においても他人事じゃないとしっかり警鐘を鳴らした作品となっている。 鑓水シリーズまだまだ読みたいんですが、これが最後なんですかね…? 期待して待ってます。
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