天上の葦(下) の商品レビュー
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とにかく面白い。本当にこの作家さんの頭の中はどうなっているのか。 膨大な量の伏線が全て回収されて、こんなに綺麗にまとまるとは。 そして、戦争について書かれている話は多いけれども、この作品ほど引き込まれたことはないかもしれない。報道を規制され、戦争を続けるために国民を騙し続けてきた新聞としての立場から見た戦争。 こんなに痛ましいものなのか。 わたしもこの時代に産まれてこの教育や報道を受け続けたら、きっと日本の勝利を盲信してしまっていたと思う。 現代においても報道や警察という、権力と影響力をもつ機関が正しくあることが、こんなに難しいものなのか。 そして最後のジェットコースターのような展開はさすが太田愛さん!ドラマや映画のような、息をつかせないスピード感はすごい!! このスリルとハラハラ感では右に出る小説はないのでは… 同シリーズの前作2つと比べ、素直に喜べるラストだった。 これで修司、相馬、遣水の3人ともがフォーカスされたので、これでひと段落なのかな? もっとシリーズが続いてくれることを祈ってます。
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このシリーズに出てくる3人が、今まで何百冊と読んだ本の主人公で一番好きかもしれない。 私が知らない史実を交えながら、現代の日本が抱えている問題点がとてもおもしろく、興味深く、忠実に描かれていました。 上下巻とボリュームはありますが、一気に読めました。
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作者のリサーチ力、物語構成力に脱帽。 1つの物語の中にメディアの在り方、戦争を経験した世代の減少により当時の様子を伝える人が減ってきていること、差別、いじめ等多岐に渡るトピックが散りばめられており読者を飽きさせない素晴らしい作品だった。 個人的には戦争経験者の話と言えば広島、長崎...
作者のリサーチ力、物語構成力に脱帽。 1つの物語の中にメディアの在り方、戦争を経験した世代の減少により当時の様子を伝える人が減ってきていること、差別、いじめ等多岐に渡るトピックが散りばめられており読者を飽きさせない素晴らしい作品だった。 個人的には戦争経験者の話と言えば広島、長崎の話をイメージする事が多かったが今後は東京大空襲についてもっと知った方が良いなと実感した。
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犯罪者、幻夏、天上の葦と一気に読んでしまいました。余韻が強すぎて、次の本に入り込めない日が数日間続きました。これ程までに色々な感情を引き出された物語は無かったように思います。 戦時中の描写、疎開の意味など、本来なら学校でちゃんと教えなければならない事なのだと考えさせられる事ばかり...
犯罪者、幻夏、天上の葦と一気に読んでしまいました。余韻が強すぎて、次の本に入り込めない日が数日間続きました。これ程までに色々な感情を引き出された物語は無かったように思います。 戦時中の描写、疎開の意味など、本来なら学校でちゃんと教えなければならない事なのだと考えさせられる事ばかりでした。 二十年後、三十年後が、この本が「物語」のままで読まれている世の中で在ることを心から願います。
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己の信念を頼りに大きな組織に向かう人々、そして最後の喜重の手紙に書かれた真相。胸が張り裂けそうだ。 知っているようで知らないことがまだまだ山ほどある。知ろうとするきっかけを与えてくれるシリーズ。
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シリーズものだと知らず、この本から読み始めた。 マスコミが神格化されてる気がして、、 権力の監視がマスコミの仕事とはいえ、そのために命を賭すっていうのはどうなの。
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戦争のシリアスな内容からスリリングな逃亡シーンやら、悪を追い詰める爽快感、感動といろんな感情をひとまとめにしたとても読み応えのある本でした!!鑓水がボコボコにされながら相手を追い詰めるシーン、島から老人たちが力を合わせて鑓水らを逃すシーンとか楽しかった。
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犯罪者、幻夏、天上の葦と順番で読んだので3人の主人公の事がよくわかり天上の葦もスラスラ読めました。 瀬戸内の島で明らかになっていく登場人物の人間関係、謎の真相、迫る追っ手読むのが止まらなくなりました。犯罪者の黒幕人物が依頼人という点もいい。
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〈上下巻合わせて〉 「犯罪者」「幻夏」の鑓水、相馬、修司の3人が、再登場。前2作に続き本作も、現状の日本の体制・制度に対する問題提起が強め。 ある日1人の老人が、真っ昼間の渋谷のスクランブル交差点のど真ん中で、空を指差して絶命する。鑓水の事務所にその謎を解明する依頼が舞い込む...
〈上下巻合わせて〉 「犯罪者」「幻夏」の鑓水、相馬、修司の3人が、再登場。前2作に続き本作も、現状の日本の体制・制度に対する問題提起が強め。 ある日1人の老人が、真っ昼間の渋谷のスクランブル交差点のど真ん中で、空を指差して絶命する。鑓水の事務所にその謎を解明する依頼が舞い込む一方、謹慎中の相馬は失踪中の公安刑事を探す特命を受ける。 全く関係の無い様に見える複数の出来事をミステリアスに散りばめ、次第にそれらの点が線で繋がり、平面になり、そして全体像が明かされるそのプロセスが素晴らしい。 そして最終盤での大立ち回りからの大逆転劇からの大団円は愉快痛快で非常に満足。面白かった。
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素晴らしい作品でした。読後に打ち寄せるこの思いは、感動という言葉に置き換えられることを嫌い、権力への反迎合という鎧を纏い心の襞そして奥底へと染み突き刺る。ミステリー、エンタメ、警察、公安と様々な方向の 楽しみ方の提供もまた秀逸。だが『正光』が死ぬ直前、天を指し託した壮大で深淵、遠...
素晴らしい作品でした。読後に打ち寄せるこの思いは、感動という言葉に置き換えられることを嫌い、権力への反迎合という鎧を纏い心の襞そして奥底へと染み突き刺る。ミステリー、エンタメ、警察、公安と様々な方向の 楽しみ方の提供もまた秀逸。だが『正光』が死ぬ直前、天を指し託した壮大で深淵、遠大なテーマが歴史を纏い歩き始める今の時勢の中で、我々一人一人が傍観者ぶる現世への警鐘が作者の上梓を早めたのが、思い過ごしであればいいのだか!!!!!察して行動する、忖度して動いた、だけでは、悲劇は繰り返される。
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