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かか の商品レビュー

3.7

211件のお客様レビュー

  1. 5つ

    36

  2. 4つ

    82

  3. 3つ

    60

  4. 2つ

    12

  5. 1つ

    6

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2024/01/07

自分にはこの作品を「面白い」と捉える度量がない。人間に対する描写が深すぎて、しがみついて振り落とされないようにするだけで精一杯だったから。それでも星5をつけたのは、ただただ圧倒されたので。二十歳前後でこの文章、敬意を込めて怪物と称さずしてなんと呼べば…って言いたくなるけど、怪物な...

自分にはこの作品を「面白い」と捉える度量がない。人間に対する描写が深すぎて、しがみついて振り落とされないようにするだけで精一杯だったから。それでも星5をつけたのは、ただただ圧倒されたので。二十歳前後でこの文章、敬意を込めて怪物と称さずしてなんと呼べば…って言いたくなるけど、怪物なんて言葉使って必要以上に距離取ろうとするのもよくないんかな。 タイトルの通り「母親」という存在を力強く書き切った作品だと感じた。作者さんの性別は知らないけど、これは男性には書けないんじゃないかな…とも。読み始めた時は方言のような独特な文体を単純に読みにくいな…と感じて、ちょっと古い時代の話だったりするのかな、なんて誤解もしていたけれど、読み進めていくうちにこの小説はこの文体じゃなければ成り立たないんだな、と自分の中で納得がいったのが不思議だった。自分も小学校の真ん中くらいまで、両親のことを「おっとぉ」「おっかぁ」と呼んでいたので、ある時期までの親子の中だけで成立する言葉の温度感を信じたくなるというか、なんというか。 定期的に出てくるSNSの解像度も怖いくらいに鮮明で「こんな投稿最近見たな…」ってのがうじゃうじゃ出てくる。そして何より、こういう作品を久しぶりに読んだことで、自分はこのレベルになるくらい人間に深く興味を持ててないんだなぁ…と突きつけられたような気がした。

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2023/12/16

文体が独特だが読みやすい。 愛情に飢えた母親の痛みに共感できてしまうし、甘えられるのをうざったいとも思う19歳の娘うーちゃんの心情が描かれている。

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2023/09/10

最初はひどく読みにくく感じた。だけどだんだんと、うーちゃんの取り巻く世界にどっぷりハマったような、なんだろうこの読後感。得体の知れない世界を見せられた気がする。わからないのに、誰もが経験している世界のような…

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2023/08/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

数時間で読める作品なのだが、その内容はとても数時間で受け止められるものではない。耐えきれず何度も本を閉じ、読むのを中断してしまった。 かかはととを、うーちゃんは在りし日のかかに執着し、その執着が2人を蝕んでいる。語り手であるうーちゃんは、汚れのなかったかかを取り戻す(というより、産み直す)ために、熊野に詣でることにする。あまりにも無謀だ。落ち着けと言いたくなる。しかしうーちゃんが執着と決別するには、何らかの突飛な行動が必要だったのだと思う。信仰の対象などいない、この世界には人間しかいないと気づくためには、信仰に突き動かされ打ち砕かれる経験が必要だったのだ。何にせよ、うーちゃんがかかを物理的に殺すことを選ばなくてよかった。 他人事のような軽い言葉を口にしたくはないのだが、これから、まだ苦しい数年間が続くのかもわからないが、どうかうーちゃんには身内との適度な距離感を見つけてほしい。信仰に頼らず生きていってほしい。数年後、うーちゃんがこの手記を見つけた時、思い出したくもないと目を背けるのではなく、あの頃は大変だったなと向き合える未来をただ願っている。

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2023/07/25

かか弁が強すぎて読みにくく、、ページ数の割に時間かかりました。 母と娘の関係性を独り語りで綴った本作はどこか理解できるようなけどやっぱ理解できない感じ。 わたし自身の母が最近大きな手術をしたので母の死を感じる描写は理解できたけど、かかを産むってどういうことだ?? 宇佐見りんさ...

かか弁が強すぎて読みにくく、、ページ数の割に時間かかりました。 母と娘の関係性を独り語りで綴った本作はどこか理解できるようなけどやっぱ理解できない感じ。 わたし自身の母が最近大きな手術をしたので母の死を感じる描写は理解できたけど、かかを産むってどういうことだ?? 宇佐見りんさんのほか作品も読んできましたが、今作が1番想いが詰まっているように思いました。

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2023/07/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

衝撃、だけでこの小説を語りたくないと思った。数日置いてじっくり再読して思ったこと。 本書は、姉が弟に対して、母の手術前日に熊野詣でに出た本当の理由と旅の到達点を書き記した手記と読める。 時系列をなぞり直すと、主人公のうーちゃんは、旅立ちに際してもはや母親への愛憎を越えた境地に達していることがわかる。 母は、数ヶ月に及ぶ精神科入院から退院して自宅に戻り、今は腫瘍の摘出手術を控えている。自傷、ヒステリー、アルコール依存での発作があっても、仕事もしながら家族のために夕飯を作るなどの日常生活は送っている。 だが、祖母の認知症が一線を越えたあの日、母もまたもう戻れないところまで壊れてしまった。 “孫の名前を忘れる前に娘であるはずのかかの名前を忘れてしまった”ババからは、もう二度と母としての愛情を受けることは叶わない。その絶望の代償として娘であるうーちゃんの愛をかかは求める。母を許し、あいしとうよと告げたとき、それでももはや母を救えなかったことを悟った彼女は、“かかを産んでやりたい。あかぼうみたいにきれいなまんま、守り抜きたい”-かかに人生をやり直させてあげたい-と願うのだ。 しかし、母の無償の愛ー赤ん坊にとっての絶対的な信仰ーを既に失った彼女にとって、何よりもまず必要なことは信仰の回復である。それなくしては、生まれてくるかかを救うことはできない。彼女は、かかの神様にならなくてはいけないのだから。 だからこそ、彼女は人智を超えた原始の力に触れることを求めて熊野詣での旅に出る。神仏に祈る旅ではない。これは彼女が自分を見極めるために必要な儀式であり修行だ。 そして、母の手術の前に旅立つことが、きっと必要となのだろう。彼女は母を身内ー身体の内側ーに常に感じているが、これは臍帯と胎盤を通じて母と一体だった感覚を残しているとも言えるかもしれない。彼女がまだ母の体内に繋がっているなら、その絆を辿れば母を自分に取り込むことも可能となる。母が子宮を摘出する前に旅立たねばならぬのは、彼女にとってやはり必然なのだ。 彼女は、三回かかを殺す。 遠い将来の穏やかな春の日に、母が一人遠くの町の施設で寂しく死んでいくのを幻視する。 二度目はSNSの中で、ある種の自己顕示欲と己の哀しみを無視して流れる日常と他者の存在への怒りで、死をでっち上げる。 三度目は、SNSで吐いたバチあたりな言葉の言霊によってもたらされる死。バチを与える超常的な力の存在への畏れから信仰を取り戻し、母の死と、己の身体の中への復活を確信する。 しかし、母は生きていた。 うーちゃんを幼少期から脱却させて自立へと導くのは、“親殺し”ではなく、かかが生きながら、自分が母から引き剥がされていることを理解する過程だ。頼るべき絶対の存在などありはしなく、へその緒を人の手で断ち切られた子供は、震えながらも最後は一人で立ち上がるしかないのだから。 本書は男性の存在を希釈し、母娘の関係性に焦点を絞った独り語とすることで濃密なパワーを獲得している。 しかし男性読者として、作者がいつか本書と同じテーマで祖父、父親、弟も含めた他視点で家族を描いたら、それも読んでみたいと思った。

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2023/06/18

母親への愛憎に苦しむ少女のお話。こんなに狂おしく愛することを、20歳の作家が書いたなんて。SNSを心の支えとしたり今どきな要素もあるんだけど、よくものを知っているなと感心してしまう。

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2023/04/18

本を読んでる最中にこんなに泣いたの初めてかもしれない。語り口調がわたしに合っていた。女であること、子供と大人の狭間、親との関係、将来の不安、全部共感できて痛いほどだった。

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2023/03/31

一年前くらいに途中まで読んだけど、方言のせいで内容が入ってこなさすぎて諦めた。何故か急に読みたくなって読んだらするするはいってきた。この文体で以前は引っかかって読めなかったけど、今読み終わるとこの文体でないとかかは成り立たないと思えた。私は今宇佐美さんがかかを出した歳と同じだけど...

一年前くらいに途中まで読んだけど、方言のせいで内容が入ってこなさすぎて諦めた。何故か急に読みたくなって読んだらするするはいってきた。この文体で以前は引っかかって読めなかったけど、今読み終わるとこの文体でないとかかは成り立たないと思えた。私は今宇佐美さんがかかを出した歳と同じだけど、もうこんな本書いてるなんて恐ろしい。

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2024/04/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

かか 宇佐見りん ∞----------------------∞ 方言やら「かか弁」やらで少し読みにくいのだけど、理解しようと思いながらじっくり読むので、その分深く入ってくる。そして次第にかか弁に慣れてしまう自分もいる。 ちょっと文学的だと思ったのは、かか弁のせいなのか、うーちゃんのかかへの想いからくるもなのか。 かかのことを嫌いとつ言いつつ、本当は産んで無垢に育てたい、生まれ変わるにはかかは死ぬしかないっていう感情は不思議だけど、自分の人生をリセットしたいって言うのと似てるかな?違うかな? 物語全般が弟への語りかけというのも印象的だけど、姉弟の仲が良いというよりは他に深く語れる人が居ない。 家族以外はSNSの相手しか出てこなかったし、しかも大きな嘘をついた挙句に咄嗟に削除してしまった。 メンヘラ的な絡んで欲しいと言わんばかりの内容にはイラついて、でも結局自分も同じようなことをしたり、対抗するのが死だと判断するところや、真剣に考えてくれた人に対して怖くなって削除してしまうことは、誰しも(やるかどうかは別として)考えることかもしれない。 みっくんって巳がつく名前ってことで良い? 2023/03/22 読了 (図書館)

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