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まち の商品レビュー

4.2

188件のお客様レビュー

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    66

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2023/06/18

「ライフ」を読んだあとだったので、同じ登場人物が出てきて嬉しくなった。また、「ひと」シリーズ(って言い方でいいのかはわからないけれど)ということもあり、前作で登場した登場人物やコロッケが出てきたのも懐かしかった。 舞台は「ライフ」と同じ、東京都の平井にある筧ハイツ。どんなところ...

「ライフ」を読んだあとだったので、同じ登場人物が出てきて嬉しくなった。また、「ひと」シリーズ(って言い方でいいのかはわからないけれど)ということもあり、前作で登場した登場人物やコロッケが出てきたのも懐かしかった。 舞台は「ライフ」と同じ、東京都の平井にある筧ハイツ。どんなところなんだろう。実際に行ってみたくなる。時系列も「ライフ」とほとんど重なっているようだった。 「まち」という単位は、最近はあまり意識せずに過ごせてしまうものだと思う。プライバシーの問題やコロナの影響もあり、個人が強くなっている現代では、地域は力が弱くなっている。 最近近所でお祭りがあり、そのときに神輿が出ていた。町名を掲げた神輿が、隣町の神輿と向かい合って競り合っている、その瞬間を思い出した。普段意識しない「まち」という単位だが、そのとき確かに私は自分の住む「まち」を強く感じた。不思議な連帯感があった。 この作品ではそこまで広い「まち」のくくりではないが、同じ「まち」に住んで、その土地を愛している人たちの横のつながりを感じられた。 また前作から引き続いて人を頼る/頼られることもテーマに織り込まれていたように思う。 アルバイトとしてあまり他者に深入りしないように過ごしていた主人公が、少しずつ他者と関わり合い、変化していく。頼る側から頼られる側へと強くなっていく。その過程を、穏やかなストーリーがゆっくりと見せてくれた。 登場人物みんな幸せになってほしいな。でもきっと幸せになれるだろうな。読み終えてそんな優しい明るさが残った。「いえ」に続くので、そちらも読みたいと思う。

Posted byブクログ

2023/05/30

作者4冊目。今回のお仕事はアルバイト。 両親が事故に遭い亡くなってから、祖父に育てられた主人公の舜一。素直に育った舜一は祖父からの勧めで東京で一人暮らし。普通は大学や専門学校と思うのだが、明確な目標が無く、故郷を想い江戸川区のアパートに住み、コンビニのバイトから始める。 前作の「...

作者4冊目。今回のお仕事はアルバイト。 両親が事故に遭い亡くなってから、祖父に育てられた主人公の舜一。素直に育った舜一は祖父からの勧めで東京で一人暮らし。普通は大学や専門学校と思うのだが、明確な目標が無く、故郷を想い江戸川区のアパートに住み、コンビニのバイトから始める。 前作の「ひと」に近い展開。徐々にアパート周辺や勤め先の人達との交流が始まるのも同じ。「ひと」の舞台となった砂町銀座の惣菜屋が出て来たのにもホッコリさせられる。 癌を隠して上京して舜一に会いに来た祖父の言動など感動的な場面もあるが、淡々と進むので深刻な気持ちにならずに読める。この作家の持ち味なのだろう。

Posted byブクログ

2023/04/16

この作家さんの「ひと」の次作と聞いて読んでみた。 群馬県から東京に出て引越しバイトで生計を立てながら何をしていくか考えている瞬一。 歩荷という荷物を運ぶことを仕事とするおじいちゃんに育てられた瞬一は、おじいちゃんの言葉通りにキチンと成長していく。 歩荷のように身体を使うことでお金...

この作家さんの「ひと」の次作と聞いて読んでみた。 群馬県から東京に出て引越しバイトで生計を立てながら何をしていくか考えている瞬一。 歩荷という荷物を運ぶことを仕事とするおじいちゃんに育てられた瞬一は、おじいちゃんの言葉通りにキチンと成長していく。 歩荷のように身体を使うことでお金をいただく仕事につきたいと考える主人公に感動する。 主人公が東京でバイト先やアパートの周りの住人と一緒に成長していく物語でホッコリ読めた。 「ひと」での舞台であった田野倉も出てくるが、話が繋がっているわけではないのが残念だ。

Posted byブクログ

2023/04/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

この作者が描く主人公って、真っ直ぐで人としてとてもステキ。前作の主人公も好きだったけど、今回の瞬一も好き。 そして、おじいちゃん。なんか、おじいちゃんが出てくるだけで泣ける感覚。昔を思い出すような、胸をギュッとされるような切なさ、温かさ、いろんな感情が湧いてきて、なぜか泣ける。 前作よりメッセージ性は少なかったように感じたけど、読んでよかった。

Posted byブクログ

2023/04/09

幼い頃に両親を火事で亡くして、祖父に育てられた主人公。田舎で祖父の後を継ごうと思っていたけど、祖父から「よその世界を知って、人と交われ」と言われ、高校卒業後に東京に出て、日雇いの引っ越し屋のバイトをしている。 バイト仲間と「友達」になったり、ご近所さんとのお付き合いが深まったり...

幼い頃に両親を火事で亡くして、祖父に育てられた主人公。田舎で祖父の後を継ごうと思っていたけど、祖父から「よその世界を知って、人と交われ」と言われ、高校卒業後に東京に出て、日雇いの引っ越し屋のバイトをしている。 バイト仲間と「友達」になったり、ご近所さんとのお付き合いが深まったり、きっかけはちょっとしたことだけど、少しずつ「居場所」として根付いていく。その人たちの影響で新しいことを始めたり、新しい目標が見つかったりもする。他愛もない日々だけど、「まち」に住んでいる人たちはこうしてみんなちょっとずつつながっているのかな、と思えるストーリーでした。 前作『ひと』の続編だと思ったけど、共通点はラストでちょっと出てくるだけで、直接の関係はなし。でも、どちらも「ひと」がつながって「まち」になるという点で、つながりの深い作品だと思います。

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2023/03/21

幼い頃に火事で両親を亡くした主人公が、「ひととのつながりを持て」と祖父に言われ、地元の群馬を離れて一人東京に住む話。 コミュニケーション能力が抜群に高いわけでもなく、体を使うことが好きな主人公の舜一は、引っ越し屋のアルバイトを続けることで、僅かながらのひととのつながりを持つ。 ...

幼い頃に火事で両親を亡くした主人公が、「ひととのつながりを持て」と祖父に言われ、地元の群馬を離れて一人東京に住む話。 コミュニケーション能力が抜群に高いわけでもなく、体を使うことが好きな主人公の舜一は、引っ越し屋のアルバイトを続けることで、僅かながらのひととのつながりを持つ。 祖父が状況をしてきた際、正社員に慣れていないことからあまり自分の境遇に自信が持てていなかった舜一だが、祖父の「しっかりと繋がれているじゃないか」というセリフがあり、とても温かい気持ちになる。 隣のシングルマザーとも、付かず離れずなお付き合いをしていたが、ある日、元夫とのトラブルに介入した際にトラウマであった火を消すことができ、大事な人を火から守る消防隊員の道を意識する。 第1作目の「ひと」がとても良かったので読んだが、完全な続編でもないような、スピンオフのような作品だった。 完全なバリバリ正社員で成功している人間!と言うわけでなく、すごくありふれた人間像が主人公で、一人の成長を物語の中で感じることができて、とても良かった。

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2023/03/21

偶然にも、つい最近、東京都の江戸川区平井に行くことがあり、まさに本書が平井のまちのお話だったので驚きました。 東京駅からJR総武線に乗り、途中で普通電車に乗り換えます。電車から、大きな川と河川敷、野球場などが見えました。あれが荒川だったんだろうと思います。広い河川敷と穏やかな川の...

偶然にも、つい最近、東京都の江戸川区平井に行くことがあり、まさに本書が平井のまちのお話だったので驚きました。 東京駅からJR総武線に乗り、途中で普通電車に乗り換えます。電車から、大きな川と河川敷、野球場などが見えました。あれが荒川だったんだろうと思います。広い河川敷と穏やかな川の景色がとても素敵だなぁと感じました。 群馬県の尾瀬で祖父に育てられた江藤瞬一くんが、高校卒業後、単身で東京に移住します。 コンビニでのアルバイトから始まり、引越しの日雇い仕事も経験しながら、人と繋がり、人に頼られ、平井というまちで暮らす青年。 仕事で体を動かし、スーパーで安いお弁当を吟味する。休日は川を眺めたり、まちをランニングしたり、喫茶店で図書館の本を読んだり。 いたって静かな暮らしですが、アパートの住人やバイトの仲間など、人との縁を大事に暮らす彼の生き方は、とても安心感があり、こんな人と出会いたいなぁと思わせてくれます。 群馬の村にも、東京の平井にも、彼の居場所は確かにあり、彼は、ひとからもまちからも愛されている存在なんだと思います。 自分にとっての幸せって何かな… どんなひとになりたいかな… どんなまちに住みたいかな… そんなことをぼんやり考えながら読みました。 心温まる素敵な作品です。

Posted byブクログ

2023/03/16

「ひと」の続編かと思って読んだら全くの別物でした。 主人公の瞬一は実直に日々を暮らしている。 今をきちんと生きている。 その姿は仕事への姿勢や、落とし物を届ける姿、仕事を友人に勧めようとする考えに見てとれる。 じいちゃんの後ろ姿を見て育ったからだと感じた。 じいちゃんは多くを...

「ひと」の続編かと思って読んだら全くの別物でした。 主人公の瞬一は実直に日々を暮らしている。 今をきちんと生きている。 その姿は仕事への姿勢や、落とし物を届ける姿、仕事を友人に勧めようとする考えに見てとれる。 じいちゃんの後ろ姿を見て育ったからだと感じた。 じいちゃんは多くを語らない。 「瞬一」 この言葉だけでじいちゃんが瞬一のことを大切にしていることがわかる。 だから瞬一の芯にはじいちゃんの教えがしっかりと根付いている。 きっと瞬一は人に頼られる人間になれる。 応援したいです。

Posted byブクログ

2023/03/04

前作とつながりがあるのかな?と思いきや、一瞬惣菜屋さんが出てきただけだった。 ただ、醸し出される雰囲気は似ている。 劇的なことが起こるわけでもなく、淡々と。 また、着実に、しっかりと物語は進んでいく。

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2023/02/25

前作の「ひと」が面白かったので、この「まち」を読んでみた。引き込まれてあっという間に読み終わった。 「ひと」もそうなのだが、主要人物に悪い人はいない。経済的には余裕があるわけではないのだが、人間として豊かだ。まっとうに生きている人を描いていている。 小野寺さんの作品が好きになった...

前作の「ひと」が面白かったので、この「まち」を読んでみた。引き込まれてあっという間に読み終わった。 「ひと」もそうなのだが、主要人物に悪い人はいない。経済的には余裕があるわけではないのだが、人間として豊かだ。まっとうに生きている人を描いていている。 小野寺さんの作品が好きになったようだ。

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