まち の商品レビュー
群馬県の村で歩荷(食料や燃料を山の麓から山小屋へ背負って運ぶ人)をしていた祖父に育てられた瞬一。両親は小学校三年生の時に火事で亡くなった。そしてずっと両親の死は自分のせいではないかという思いが消えないでいる。 高校卒業後、唯一の家族であるじいちゃんに「村を出て東京に行け」と言われ...
群馬県の村で歩荷(食料や燃料を山の麓から山小屋へ背負って運ぶ人)をしていた祖父に育てられた瞬一。両親は小学校三年生の時に火事で亡くなった。そしてずっと両親の死は自分のせいではないかという思いが消えないでいる。 高校卒業後、唯一の家族であるじいちゃんに「村を出て東京に行け」と言われ、東京でバイトをして暮らす。 じいちゃんの言葉「瞬一は頼る側じゃなくて頼られる側でいろ。…お前を頼った人は、お前をたすけてもくれるから。」 物語の最後には瞬一はじいちゃんに言われた通り、東京で隣人や職場の仲間から頼られる人間になっていた。山でじいちゃんの後ろをついて歩いていた幼い子どもから、立派に成長した。 読み終わるとあたたかい気持ちになれました。
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小野寺さん3冊目。 本当に心打たれる作家さんです。 寡黙で真面目で温かくて穏やかで本当に器の大きい主人公にいつも魅了されます。 そして《じいちゃん》素敵です。 じいちゃんと瞬一の会話のやり取りが心に染みます。 決して多くは語らないけど心の奥に染み込むやり取りにじんとしてしまう。 ...
小野寺さん3冊目。 本当に心打たれる作家さんです。 寡黙で真面目で温かくて穏やかで本当に器の大きい主人公にいつも魅了されます。 そして《じいちゃん》素敵です。 じいちゃんと瞬一の会話のやり取りが心に染みます。 決して多くは語らないけど心の奥に染み込むやり取りにじんとしてしまう。 じいちゃんを想い何度も何度も泣いてしまった。 もうどんな言葉で何と綴れば的確な表現になるのか分からないくらい心温まる小説。 そしてやっぱり…横尾成吾や惣菜屋田野倉が出てくるとあっ!(^^)とワクワクしてしまう!
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「ひと」でも感じた事だけど… この人の本は、ドラマチックな出来事や ハプニング、そして、あっと驚くようなドンデン返しは殆ど起きない。 けれど… ふわっとした、何気ない日常の切り取り方がとてもいい。 何気に(笑)、 「ひと」のメンバー登場してます。 尾瀬ヶ原を有する群馬県...
「ひと」でも感じた事だけど… この人の本は、ドラマチックな出来事や ハプニング、そして、あっと驚くようなドンデン返しは殆ど起きない。 けれど… ふわっとした、何気ない日常の切り取り方がとてもいい。 何気に(笑)、 「ひと」のメンバー登場してます。 尾瀬ヶ原を有する群馬県片品村。 幼い頃、火事で両親を亡くし祖父・紀介に引き取られ、以来二人で生きてきた主人公・瞬一。 歩荷を生業とし瞬一を育てて来た紀介は、 同じ仕事を目指す瞬一に高校卒業を機に東京へ出る事を勧める。 よその世界を知り、人を知る為に…。 東京に出た瞬一は、就職でも進学でもなく、アルバイトで生計を立てる事に。 アパートの住人達、バイト先のコンビニ、引越し業で知り合った人々との関わりの中で広がってゆく「世界」。 ◯野崎万有…引越しアルバイトの2才年下の同僚。暴力沙汰で高校中退したが正義感が強い。瞬一とバイト高校生とのトラブルをキッカケに友人となる。好意を寄せる事務員の為にまたも暴力沙汰になりクビになる。 ◯君島敦美・彩美…瞬一のアパートのお隣さん母娘。元夫の暴力で離婚。ゴキブリ退治がキッカケで懇意になる。 ◯鎌塚摂司…片品村の役場職員。両親を亡くした瞬一や、紀介の事を常に気遣ってくれる。 ◯井川…コンビニの先輩。身体を動かす事が好きな瞬一に、引越し業のバイトを勧めてくれた。 瞬一の読書の習慣のきっかけをくれた。 ◯得三さん…瞬一のアパートの下の階に住む老人。奥さんに先立たれ一人暮らし。 弟の会社に瞬一を紹介したいと誘う。 やがて娘と同居する事になり引越して行く。 ◯里村照士…敦美のDV元夫。母娘のアパートを嗅ぎつけ復縁を迫る。 ◯難波君、小沢さん…片品村の中・高の同級生。それぞれ、メガネメーカーと人材派遣会社に勤務。 東京での飲み会で再会。
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瞬一とおじいさんの振る舞い、言葉に何度も嗚咽する。 なんて、人の内面に入ったかのように丁寧に描く作家さんなんだろう。 幸せになってほしい、その気持ちが大きく芽生える物語でした。
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すごく良かった。 「ひと」と同じような雰囲気で、日常にありそうな場面が多く、共感できるところが多い。 何気ない会話が微笑ましく、とても穏やかで、温かい気持ちになれる本。 「ひと」と同じく、寡黙で、ひたむきで、真っ直ぐな主人公。心から応援したくなる。 決して、人から羨ましく思われ...
すごく良かった。 「ひと」と同じような雰囲気で、日常にありそうな場面が多く、共感できるところが多い。 何気ない会話が微笑ましく、とても穏やかで、温かい気持ちになれる本。 「ひと」と同じく、寡黙で、ひたむきで、真っ直ぐな主人公。心から応援したくなる。 決して、人から羨ましく思われるような生活はしていないのに、読んでいると私もこんなシンプルな生活をしたいと思う。 人間として本当に大切なものを感じさせてくれる本。 良かったです!
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尾瀬のある片品から東京に出てきた若者が主人公。 私も群馬県から引越ししてきたので結構共感します。 東京砂漠って言葉がありますが この本では、その東京でも人が繋がれる小さなハイツ。 何気ない日々のエピソードの数々ですが、いい本です。 身内でも何でもない人の長所を素直に認め、 ...
尾瀬のある片品から東京に出てきた若者が主人公。 私も群馬県から引越ししてきたので結構共感します。 東京砂漠って言葉がありますが この本では、その東京でも人が繋がれる小さなハイツ。 何気ない日々のエピソードの数々ですが、いい本です。 身内でも何でもない人の長所を素直に認め、 自分ではなくその人のようになれ というじいちゃんのような人に、僕はなりたい。 この人の本は初めてでしたが、もう一冊読もうと思いました。
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本屋大賞2位だった「ひと」がものすごくよくて、 手当り次第にまわりに勧めまくっている。のに、 ひとの舞台だった、あのおかずの田野倉が登場する作品があるとは知らず、慌てて読みました。 それが「まち」。 こちらも、ものすごくいい物語だった。 決して恵まれた生い立ちではない、江藤瞬...
本屋大賞2位だった「ひと」がものすごくよくて、 手当り次第にまわりに勧めまくっている。のに、 ひとの舞台だった、あのおかずの田野倉が登場する作品があるとは知らず、慌てて読みました。 それが「まち」。 こちらも、ものすごくいい物語だった。 決して恵まれた生い立ちではない、江藤瞬一。 育ての親である祖父に「東京に行け」と言われて、とりあえず東京で暮らしている。 瞬一の、東京のある「まち」での生活の物語。 おじいちゃんの教えとともに、 東京でいろんなひとと出会い、成長していく瞬一。 語彙力皆無の感想しか出てこない自分が歯がゆい。 この作者さんの、淡々とした文章のなかに、 ひとや、まちの温かさを感じる表現が本当に素晴らしいです。 小野寺史宜さん、ほかの作品も読みます。 『身内でも何でもない人の長所を素直に認め、自分ではなくその人のようになれと言えるじいちゃんのような人に、僕はなりたい。』
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小野寺史宜さんの本は6冊目。 出会いは『みつばの郵便屋さん』だった。 2019年本屋大賞第2位になった『ひと』 この年本屋大賞を受賞したのは、瀬尾まいこさんの『そして、バトンを渡された』だったが 私は『ひと』の方が好きだった。 尾瀬ヶ原が広がる群馬県利根郡片品村で歩荷(ぼ...
小野寺史宜さんの本は6冊目。 出会いは『みつばの郵便屋さん』だった。 2019年本屋大賞第2位になった『ひと』 この年本屋大賞を受賞したのは、瀬尾まいこさんの『そして、バトンを渡された』だったが 私は『ひと』の方が好きだった。 尾瀬ヶ原が広がる群馬県利根郡片品村で歩荷(ぼっか)をする祖父に育てられた江藤瞬一。 祖父の「東京へ行け」のことばで、高校卒業とともに上京し、引っ越しの日雇いバイトを続ける。 彼を支えるのは歩荷をしていたじいちゃんの教え。 「歩荷」とは荷物を背負って山越え、山小屋に荷物を届ける人。 尾瀬の歩荷さんの場合、少ない時で40~50g、多い時には120kgもの荷を一人で運ぶ。 江藤瞬一。 まっすぐで、いいんですよねぇ… アルバイト生活を続けながら、将来のことを考えているが なかなか答えが出ない。 でも、流されない。 歩荷をしていたじいちゃんのように、芯がしっかりした生き方。 それが彼の目指すところ。 だから、今は力を蓄えるとき。 力を蓄えるためにしゃがんでいる時間が続くけど… 時がきたら大きくジャンプ! そんなときが、目の前に! がんばれ瞬一~!! この『まち』は『ひと』と通じるところのある本。 今は辛くても、生きていることが素晴らしい。 ただまっすぐ歩いていくこと。 目の前の道を一生懸命歩いていくと 人とつながり、やがてそれは自分の”まち”になる。 心にじわじわ沁み込んでくる、良い本でした。
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「瞬一は、頼る側じゃなく、頼られる側でいろ。いつも頼ってたおれみたいな人間じゃなく、おれに頼られてた摂司みたいな人間になれ。お前を頼った人は、お前をたすけてもくれるから。たすけてはくれなすても、お前を貶めはしないから。」 利他の心は人との繋がりをつくるんだなあ。 瞬一が色々な人...
「瞬一は、頼る側じゃなく、頼られる側でいろ。いつも頼ってたおれみたいな人間じゃなく、おれに頼られてた摂司みたいな人間になれ。お前を頼った人は、お前をたすけてもくれるから。たすけてはくれなすても、お前を貶めはしないから。」 利他の心は人との繋がりをつくるんだなあ。 瞬一が色々な人の力になっているのが読んでいて気持ちよかった。 それと、じいちゃんがとにかくカッコいい。 慣れるってことは、感覚が麻痺するってことだからな。」「麻痺しないのも辛いね」「でも、生きることに慣れない人間になれる。」 周囲の、社会の変化に慣れずに、大切だと思うことを大切したい。人との繋がりはいいなあ。 身体鍛えたくなった。
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「ひと」とリンクする部分があり、うれしくなった。 読みやすかった。 小野寺さんの他の小説も読んでみたい。
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