パーフェクト・ブルー 新装版 の商品レビュー
これが処女作かあ。誰も幸せにならないエンド。兄弟愛、医療系ゾクゾクミステリ好きな私からすると結構ハマった。兄弟かける野球って東野圭吾の(魔球)でもあったけど定番なんかな?
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東京創元社70周年の記念装丁で販売されている本作を書店で見かけ、以前から宮部みゆき氏の作品を読みたかったことを思い出した。 せっかくならばということで、図書館から本作を借り(書店で買わなかったんかい)、読んでみること。 初めて読む宮部氏の文体は、柔らかすぎないほどよい硬さながらも...
東京創元社70周年の記念装丁で販売されている本作を書店で見かけ、以前から宮部みゆき氏の作品を読みたかったことを思い出した。 せっかくならばということで、図書館から本作を借り(書店で買わなかったんかい)、読んでみること。 初めて読む宮部氏の文体は、柔らかすぎないほどよい硬さながらも読みやすく、溶けるように文字を追っていくことができる。読んでいて心地よい。 本作は、元警察犬で現在は蓮見探偵事務所に身を置くマサが語り部を務める。動物に語り部をさせる作品はいくつか読んできたが、まさか探偵役に当てるとは…。動物とミステリーを組み合わせた作品でパッと頭に浮かんだのは、赤川次郎氏の『三毛猫ホームズ』シリーズだが、猫が現場からヒントを提示するあちらとは違い、本作は犬の一人称視点の物語。口調から察するに、マサは人間で例えると50代前後だろうか。 心の中でキレキレのツッコミをかましたり、人間の行動に悪態をつき慣れているものの、無論彼は犬なので周囲がそれを知ることはない。ここがクスッと笑えるポイントだ。警察犬時代のマサのお話も見てみたいと思ったのは、私だけではないはず。 さて、あらすじを話そう。 高校野球の強豪校・松田学園高等学校のエース・諸岡克彦。彼は殺害され、ガソリンをかけられて燃やされてしまう。家出を繰り返す克彦の弟・進也の捜索を諸岡家から依頼されていた蓮見探偵事務所は、調査員として蓮見加代子とマサを派遣。発見した進也を諸岡家に送り届ける途中、凄惨な事件の現場に出会すことになる。 独特な設定や事件とは裏腹に、物語序盤で克彦殺害の犯人も割れ、事件の全体像が明らかになる。この部分だけ見れば、高校生のすれ違いが起こした悲しき事件と読者は思ったことだろう。しかし、各章の間に挟まれた『幕間』にて状況は一転。かなりきな臭い事件であることが匂わせられる。 導入はパキッとした軽快な文体から始まり、事件発生から暗雲が立ち込める中盤、そしてマサの大健闘が見られる終盤と、明かされる真実。読者を飽きさせることない、メリハリのある構成が映える作品だった。 印象に残った部分は、「悲劇はとりわけ強い酒」「割っても割っても薄くならず、命取りになるような辛い酔いばかりを残す、暗い色をした酒なのだ」という文章。煮え切らない感情を表現した、独特ながら素晴らしい比喩だと感じた。 本作『パーフェクト・ブルー』は、宮部氏初の長編小説ということを知り驚愕。文庫本は1992年に初版が刷られているが、この物語は今読んでも新しさを感じる。名作はいつまでも廃れないのだ。
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タイトルと表紙から、爽やかな青春物だとずっと思っていたが、 高校野球のエースが火だるまで殺害される事件から始まる骨太のミステリー。 筋書きは緻密かつテンポも良く、これが長編デビュー作とは驚き。
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★語り手は、元警察犬★ 事件は、高校野球界のエースが殺害されたニュースから始まります。 事件の解決に向かうのは、探偵事務所調査員の加代子と、その飼い犬で元警察犬の「マサ」。この飼い犬の「マサ」が物語の語り手です。 登場人物たちの思惑が絡み合う複雑な場面もありますが、犬ならではの視...
★語り手は、元警察犬★ 事件は、高校野球界のエースが殺害されたニュースから始まります。 事件の解決に向かうのは、探偵事務所調査員の加代子と、その飼い犬で元警察犬の「マサ」。この飼い犬の「マサ」が物語の語り手です。 登場人物たちの思惑が絡み合う複雑な場面もありますが、犬ならではの視点や行動が可愛らしく笑いを誘い、テンポよく読ませてくれます。 犬好きもミステリー好きも楽しめる作品です。 ぜひ手に取ってみてください。
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2人(1人と1匹)の主人公を軸とした事件が混ざり合うまでのミステリー。なるほどそう繋がるのね〜とはなるけど、にしてはタイトルの「パーフェクト・ブルー」が壮大すぎる。 遺族のお父さんが次男に向けた、両親がいないところではちゃんと兄弟だったんだなって台詞が切ない、良かった。
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宮部みゆき作品初期の長編第一作。 引き込まれて頁を捲る手は止まらず。 大人たちの身勝手さが悲し過ぎ。
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デビュー作品でこのクオリティは凄いなぁ。 最後まで興味深く読む事ができたのは面白い作品の証拠だったと思います。
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言葉や表現が凝りすぎていて、少し読みづらかった。犬視点の殺人事件というのが変わっていた。それも最初のうちは読みにくいと思ったが、犬がお利口でこんな犬がいたらすごすぎる。犬が漢字が読めるとかややあり得ない。事件を起こした男の計画の全貌もわかりにくい。その男から連絡があり会いに行くところまでが最高潮に面白かったのに、その男が死んでいて拍子抜けしてしまった。
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新装版になったのをきっかけに再読 とても好きなシリーズだけど、前よりも苦しく悲しく感じる 自分の感じ方の違いだと思うけど、やっぱり若者が亡くなるのは辛い しかも、闘おうとしていたのに 自分に正直にいようとしていたのに きっと彼は闘えたのに 誰かが自分の思惑を通そうとしすぎるときっと悲劇が起こる とんでもなくハラハラして、途中で あ、マサは犬だった!言葉は通じないんだって思ったり…でも所長とは気持ちが通じているし 本当に面白い 最後の進也の言葉良かった 好きが大事
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著者の「長編」デビュー作、とのこと。 元々ダイスキな著者の一人。なのでこれまで多数の著作を読んだが、不思議なことに本作は初めて読んだ。著者がまだ20代当時の瑞々しい筆致。新鮮に読ませてもらうことが出来た。 ただ、内容的には、うーん、今ひとつ。 円熟味を増して完成域に達したとも思え...
著者の「長編」デビュー作、とのこと。 元々ダイスキな著者の一人。なのでこれまで多数の著作を読んだが、不思議なことに本作は初めて読んだ。著者がまだ20代当時の瑞々しい筆致。新鮮に読ませてもらうことが出来た。 ただ、内容的には、うーん、今ひとつ。 円熟味を増して完成域に達したとも思える近年の作品に比べると、彼女の作品独特の「読む楽しさ」「惹き込まれるストーリー」「技巧的な描写」等々と云った点では、まだまだ粗削りなところも感じられた気もして。 特にストーリー終盤。それまでの伏線回収と最後のヒネリ技?にやや強引な技巧に走り過ぎてはいないか。譬えが悪いが、最近の東野圭吾のクセみたいに。 いずれにせよ、デビュー作と聞けば云うまでもなく非凡な一冊。やはり宮部みゆきはスゴイのだ。
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