風神雷神 Juppiter,Aeolus(上) の商品レビュー
風神雷神図屛風の作者、俵屋宗達。あまりにも有名なので生年没年も明らかになっておらず人物の来歴が不明ということは全く知りませんでした。写楽もそうだし、絵師というのは特殊な生き方だったのかもしれない、と想像します。冒頭部分とエピローグは現代で、少女の頃に宗達の絵に魅せられ研究者になっ...
風神雷神図屛風の作者、俵屋宗達。あまりにも有名なので生年没年も明らかになっておらず人物の来歴が不明ということは全く知りませんでした。写楽もそうだし、絵師というのは特殊な生き方だったのかもしれない、と想像します。冒頭部分とエピローグは現代で、少女の頃に宗達の絵に魅せられ研究者になった女性が語り手なのですが、本編のほとんどは宗達が生きた時代、織田信長が天下を統一しようという時代に遡ります。個人的に司馬さんの『関ケ原』と『城塞』を読んで日が浅いのでいろいろその時代の雰囲気が脳内に残っていて、話に入りやすかったです。学生の頃にテストに出そうと暗記した天正少年遣欧使節団が出て来て、ああこの子達!と懐かしい気持ちになりました。俵屋宗達が果たして本書にあるように信長に目通りしたとか、使節団に同行してローマまで行き、さまざまな経験をして名画を見て絵の好きな現地の少年と心を交わしたとか、まるで見てきたようにマハさんが書いておられるし、史実に基づく部分はしっかり調査されての作品なので、本当だったとしてもおかしくないよね、と心躍りながら読了しました。大変面白かったです。
Posted by
みなさんはこの本の表紙にもなっている「風神雷神図屏風」という屏風絵を知っていますか?キュレーター(学芸員)としてもキャリアのある作家、原田マハさんが、この絵の作者である俵屋宗達を主人公に、絵の迫力に負けない壮大な物語を描きました。 室町時代、少年宗達は時の権力者織田信長にその...
みなさんはこの本の表紙にもなっている「風神雷神図屏風」という屏風絵を知っていますか?キュレーター(学芸員)としてもキャリアのある作家、原田マハさんが、この絵の作者である俵屋宗達を主人公に、絵の迫力に負けない壮大な物語を描きました。 室町時代、少年宗達は時の権力者織田信長にその秀でた画才を評価され、ローマ行きを命じられます。その目的は、天正の少年遣欧使節団に随行し、ヨーロッパ各国の様子を描いて帰ることでした。 旅の目的が違う少年たちは、最初は反目し合うこともありましたが、互いの神を信じる心、絵を愛する心に触れるうち、深い信頼関係を築き苦難の道のりを越えて行きます。 これは史実をヒントに描かれた物語ですが、とても魅力的なストーリーなので、これが事実であってほしい!と思うほどでした。閉塞感のあるこの時期にこそ、心を解き放し勇気をくれるこんな物語をおすすめします!
Posted by
現代の話がもう少し長めでもいいんじゃないか、と思っていたのに、グイグイ物語に引き込まれてしまった。 船旅の時代に海外に出ていった人たち、すごいや。 何かとてつもなく興味深いことに出会えるかも、と思ったとしても船旅に挑戦できそうにないわ〜。行っただけでもすごいや。
Posted by
一貫して宗達がかわいい、世の中への興味、必要とあれば頑張る熱心さ、明るく捉える心の持ちよう、そして圧倒的な画力、この全てでグイグイファンにさせられていった
Posted by
宗達が信長にまみえるシーンは私も緊張してしまい、つい、日常でも苛立ってしまった←本の世界に入り込みすぎ。
Posted by
これまでの作品の中で、いちばん時代が古いのかな。ちょっと苦手意識がありますけど… ローマへの道のりは長い。下巻に期待。 2020/6/4読了 2020年の44冊目☆
Posted by
俵屋宗達の風神雷神の屏風絵のカバーが印象的。 京都博物館の学芸員である望月彩は、マカオ博物館で日本の古文書と、アイアロスとユピテルの板絵を見せられる。マカオは天正遣欧少年使節のひとり原マティオの没した土地だった。 ここから時間は戦国時代に飛び、イエズス会の九州での布教、織田信長か...
俵屋宗達の風神雷神の屏風絵のカバーが印象的。 京都博物館の学芸員である望月彩は、マカオ博物館で日本の古文書と、アイアロスとユピテルの板絵を見せられる。マカオは天正遣欧少年使節のひとり原マティオの没した土地だった。 ここから時間は戦国時代に飛び、イエズス会の九州での布教、織田信長から上杉謙信に贈られた狩野永徳の洛中洛外図、織田信長からバチカンに贈られた狩野永徳の洛中洛外図といった史実(多分)に俵屋宗達が絡み、天正遣欧使節として旅立つ。 絵の持つ力、信仰の力、権力者の力、様々な力を描き込んでいる。
Posted by
謎の多い宗達の人生の余白部分を彩ったファンタジー。風神雷神と、ギリシャの神々をつなげる発想や、同年代の青年を交流させて、化学反応をおこす展開は面白い。 ただ、私の期待値がすこし高すぎたかも。絵と向き合い、ひたすらその絵の美しさを言葉にするのに強みがあるマハさんの良さがすこし薄れて...
謎の多い宗達の人生の余白部分を彩ったファンタジー。風神雷神と、ギリシャの神々をつなげる発想や、同年代の青年を交流させて、化学反応をおこす展開は面白い。 ただ、私の期待値がすこし高すぎたかも。絵と向き合い、ひたすらその絵の美しさを言葉にするのに強みがあるマハさんの良さがすこし薄れてしまった。今回は、過去と今を交差する展開もなかった。 もしもこうなってたら?という胸躍るようなアイデアを、ひとつの物語に落とし込むのは大変なこと。それを上下巻でまとめ上げたのはほんとうに大変だったと思います。宗達の明るく闊達なキャラクターが全体を引っ張ってくれてました。こういう謎に包まれた絵師を発掘して、また面白い物語を生んでほしいです。
Posted by
俵屋宗達×天正遣欧少年使節(^^)謎の絵師、俵屋宗達の風神雷神は美術史に詳しくなくても見たことある。しかし信長から名前をもらい、狩野永徳とともに洛中洛外図に挑み、その屏風絵をローマに届ける、とか、相当面白い。同時代だったのか、と年表を見てしまった。 宗達とマルティノらとの会話が生...
俵屋宗達×天正遣欧少年使節(^^)謎の絵師、俵屋宗達の風神雷神は美術史に詳しくなくても見たことある。しかし信長から名前をもらい、狩野永徳とともに洛中洛外図に挑み、その屏風絵をローマに届ける、とか、相当面白い。同時代だったのか、と年表を見てしまった。 宗達とマルティノらとの会話が生き生きとしていて、読みやすかった。 下巻が楽しみ(^^)
Posted by
5月-9。3.5点。 風神雷神で有名な俵屋宗達の物語。現代の京都での主人公が、マカオである絵を見せられる。そこから宗達の時代へワープし、壮大な物語へ。 真否はわからないが、かなり納得のいく物語。下巻も期待。
Posted by
