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風神雷神 Juppiter,Aeolus(上) の商品レビュー

4.1

162件のお客様レビュー

  1. 5つ

    58

  2. 4つ

    67

  3. 3つ

    23

  4. 2つ

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2020/10/18

俵屋宗達のことも少年使節団のこともしらないまま読み始めたがワクワクする展開だ。 2020.10.18 102

Posted byブクログ

2020/10/13

俵屋宗達といえば、琳派の祖と言われるが、この「琳派」という言葉自体も1972年の東京国立博物館における創立百周年特別展で使用されて以降の呼び名のようである。俵屋宗達と言えば、例平家納経時の「願文見返し絵」に始まり、本阿弥光悦との「鶴下絵和歌巻」、二曲一双の「舞楽図屏風」など本作「...

俵屋宗達といえば、琳派の祖と言われるが、この「琳派」という言葉自体も1972年の東京国立博物館における創立百周年特別展で使用されて以降の呼び名のようである。俵屋宗達と言えば、例平家納経時の「願文見返し絵」に始まり、本阿弥光悦との「鶴下絵和歌巻」、二曲一双の「舞楽図屏風」など本作「風神雷神」以外にも素晴らしい作品が数多くある。 もともと、俵屋宗達のその生没も不明であるため、宗達の生涯について正解というものはない。俵屋宗達の「風神雷神図屏風」については、先に柳広司先生の「風神雷神」を読んでいたのだが、まったくストーリーは異なっていた。 柳先生の宗達は幼き頃に養子として、養父の仁三郎によって扇屋を営む俵屋に迎えられる。家督を継ぐまでは伊年という名前であり、養父の隠居により、名前を宗達としそして物語は二十代半ばの伊年の描写から始まる。 対して、原田マハ先生の俵屋宗達は、12歳の時に織田信長の前で杉戸に描いた2匹の白象の褒美に宗達という名前を信長から拝受される。 ただ、信長前で描いた2匹の白象が養源院の白象であることを匂わせるために、思っていたので、この段の下りには違和感を持つ。 なぜなら、浅井三姉妹であり、豊臣秀吉の側室の淀殿(茶々)が、父母の菩提を弔うために秀吉に願い健立したのが、養源院である。そして、伏見城の戦いで自決した徳川方の武将達が放置されていた血のりの床板を、供養のために天井(血天井)に配したいわくつきの寺である。しかも、その後火事で焼失し、淀君の妹であるお江により再建されることになる。その時、本阿弥光悦の口添えによって宗達が推奨されており、宗達は養杉戸に「唐獅子図」、「波に麒麟図」、「白象図」、襖絵に「金地着色松」を描いている。杉戸絵の題材になっている「唐獅子」と「白象」は普賢菩薩、文殊菩薩の乗り物とされ、その表情や躍り上がろうとする躍動感が非業の死を遂げた徳川の家臣たちの霊を慰めたと言われがあるからである。 真実がわからないが、このような通説があるため、白象の杉戸が信長の城にあることに私が違和感を持った。 その点では柳先生の「風神雷神」においては、この説によって物語が進み、その際の伊年の心情が記されている。 本作の上巻を読む限り、琳派の祖と言われながら記録が残っていない俵屋宗達の大きさを表現するために、フィクションを前面に押し出している。 もちろんフィクションでありながら歴史背景には忠実で、歴史登場人物のこの時代を生き抜く策意についてはわかりやすく描写されている。また、展開のテンポも良く読みやすい。 例えば、使節団として、ローマに向けて出発する設定になっており、時の権力者である織田信長が、なぜキリスト教布教に寛大であったのかという理由設定とこの使節団の派遣を上手く説明している。 アレクサンドロ・ヴァリ二ャーノが織田信長に決して話せない「遣欧使節」を思いついた二つの理由がある。第一が日本での布教の継続のために西欧の権力者からの資金援助を得るため。第二が少年たちに西欧を見聞させ、帰国後に彼らを布教の先頭に立たせることで、日本の信徒がついてくるであろうということ。 その狙いは、イエズス会の先達であるフランシスコ・ザビエルが日本にもたらした信仰の灯火を盤石にすることであった。との記載になるほどなぁと、納得をする。 また、一方で、織田信長にとっての「遣欧使節」の意味も説明がされている。日本を手中にし、次に陥落すべき都としてローマは攻めるに値する都なのか、本来であれば自分が行ってみたいところであるが、その夢を宗達に託し、ローマの「洛中洛外図」を作成するよう命ずる。宗達が作成するであろう「ローマ全図」をみながらローマ攻略を検討する。このことも信長なら考えそうなことだと納得する。 ただ、最初に読んだ作品のインパクトが強く、宗達が美化されており、個人的には現時点においては期待していた展開ではなかった。 柳先生の作品は俵屋宗達の伝記として事実理解の奥行きが広がる感がある。それ故に宗達作品の紹介、解説そしてその時代の解説・評論という視点で表現されており、読後、俵屋宗達の作品についてもっと関心が高まる仕掛けがある。 しかしながら、本作はその生涯が謎であるため、大胆な発想で、フィクションとして作品が味わい深い。下巻でどれくらい私が食いつくか、カラヴァッジョがどのように登場するか楽しみである。

Posted byブクログ

2020/10/11

とりあえず上巻を読了。宗達やマルティノの話が長い感はありますが、いろんな展開があっておもしろかったです。

Posted byブクログ

2020/10/02

俵屋宗達の研究者望月彩が、マカオ博物館のレイモンド・チョウから「見せたい物がある」と請われてマカオに翔ぶプロローグから、舞台は1580年頃の織田信長らの戦国時代へ。暗幕のゲルニカ、ジヴェルニーの食卓の様に、現代と過去を並行して描くいつものスタイルと思いきや、今回は天正遣欧少年使節...

俵屋宗達の研究者望月彩が、マカオ博物館のレイモンド・チョウから「見せたい物がある」と請われてマカオに翔ぶプロローグから、舞台は1580年頃の織田信長らの戦国時代へ。暗幕のゲルニカ、ジヴェルニーの食卓の様に、現代と過去を並行して描くいつものスタイルと思いきや、今回は天正遣欧少年使節団のローマへ向けての舞台のまま現代に話が戻らず上巻は終わってしまい、ちょっといつもと違うぞ、と思わされて下巻へ。

Posted byブクログ

2020/09/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

本作の主人公は京都国立博物館研究員の望月彩ではなく、国宝「風神雷神図屏風」を描いた謎に包まれた天才絵師・俵屋宗達。 時は戦国...という語りから始まりそうな時代物で読みながら以前手にした冲方丁の天地明察を思い出した。 今思えばあの作品が私に時代物を手にするきっかけを作ってくれた作品で、渋川春海の如く真っ直ぐな宗達の少年時代から本作は始まっていく。 天下人である織田信長に絵師としての才を認められ、「宗達」という名を下賜された後、信長が当代きっての天才絵師・狩野永徳に命じたのは天下一の屏風「洛中洛外図」を描くこと。 そして、そこに宗達を参加させること。 約束の期日に納められた「洛中洛外図」はまさに天下一の屏風であり、その功に対し宗達は信長から褒美として世界を見ることを命じられる。 それは当時のキリシタンの王であり、世界の中心であったヴァチカンに居するローマ教皇へ天正遣欧師団の一員として接見し、表向きには永徳が描いた「洛中洛外図」を献上する役割であった。 しかし、信長が直々に宗達に命じたことはローマ版「洛中洛外図」を描き持ち帰ること。 そこから始まる遥か彼方にあるローマを目指す旅物語。 上巻ではローマへの旅路の半分程度までしか描かれていないが、読み応え十分の超大作。 読み終えた後に見える景色を楽しみにしながら、このまま下巻へと読み進めていきます。 説明 内容紹介 美術(アート)という名のタイムカプセルが、いま、開かれる――。 日本が誇る名画『風神雷神図屏風』を軸に、海を越え、時代を超えて紡がれる奇跡の物語! 20××年秋、京都国立博物館研究員の望月彩のもとに、マカオ博物館の学芸員、レイモンド・ウォンと名乗る男が現れた。彼に導かれ、マカオを訪れた彩が目にしたものは、「風神雷神」が描かれた西洋絵画と、天正遣欧少年使節の一員・原マルティノの署名が残る古文書、そしてその中に記された「俵…屋…宗…達」の四文字だった――。 織田信長への謁見、狩野永徳との出会い、宣教師ヴァリニャーノとの旅路…… 天才少年絵師・俵屋宗達が、イタリア・ルネサンスを体験する!? アートに満ちた壮大な冒険物語! 内容(「BOOK」データベースより) 20××年秋、京都国立博物館研究員の望月彩のもとに、マカオ博物館の学芸員、レイモンド・ウォンと名乗る男が現れた。彼に導かれ、マカオを訪れた彩が目にしたものは、「風神雷神」が描かれた西洋絵画、天正遣欧使節団の一員・原マルティノの署名が残る古文書、そしてその中に書かれた「俵…屋…宗…達」の四文字だった―。織田信長への謁見、狩野永徳との出会い、宣教師ヴァリニャーノとの旅路…。天才少年絵師・俵屋宗達が、イタリア・ルネサンスを体験する!?アートに満ちた壮大な冒険物語。 著者について 原田マハ(はらだ まは) 1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部日本文学科、早稲田大学第二文学部美術史科卒業。馬里邑美術館、伊藤忠商事を経て、森美術館設立準備室在籍時に、ニューヨーク近代美術館に派遣され勤務ののち独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で第1回日本ラブストーリー大賞を受賞し、作家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で第25回山本周五郎賞、17年『リーチ先生』で第36回新田次郎文学賞、18年『異邦人』で第6回京都本大賞を受賞。 著書に、『本日は、お日柄もよく』『ジヴェルニーの食卓』『暗幕のゲルニカ』『サロメ』『たゆたえども沈まず』『常設展示室』『美しき愚かものたちのタブロー』『20 CONTACTS 消えない星々との短い接触』『独立記念日』など多数。 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 原田/マハ 1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部日本文学科、早稲田大学第二文学部美術史科卒業。馬里邑美術館、伊藤忠商事を経て、森美術館設立準備室在籍時に、ニューヨーク近代美術館に派遣され勤務ののち独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で第1回日本ラブストーリー大賞を受賞し、作家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で第25回山本周五郎賞、17年『リーチ先生』で第36回新田次郎文学賞、18年『異邦人』で第6回京都本大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

Posted byブクログ

2020/09/27

原田マハさんの本を読む時は何時もどんなアートの旅へ連れ出してくれるのか楽しみで仕方がない♪ 序盤からもうアートの旅路へ引っ張りこまれてく……

Posted byブクログ

2020/09/11

安土〜江戸時代を生きた俵屋宗達と「風神雷神図屏風」「洛中洛外図屏風」をめぐるアート・フィクション。 上巻は冒険の旅の途中まで。これは下巻が気になる。

Posted byブクログ

2020/08/17

物語に引き込まれて一気読み。下巻も楽しみすぎる。歴史とかめっちゃ苦手やけどスルスル読めたさすがすぎる。

Posted byブクログ

2020/08/14

現代から近世へ物語が展開し、長い旅の途中までの上巻 謎多き画家と言われると俄然興味が湧いてくる 好奇心旺盛で豪胆、絵に関して真摯に向き合う姿勢、他人へのさりげない気配りも出来る宗達 マルティノとの友情が重要になってきそうだけれどキリスト教の今後を考えると辛い物語になるのか…まだわ...

現代から近世へ物語が展開し、長い旅の途中までの上巻 謎多き画家と言われると俄然興味が湧いてくる 好奇心旺盛で豪胆、絵に関して真摯に向き合う姿勢、他人へのさりげない気配りも出来る宗達 マルティノとの友情が重要になってきそうだけれどキリスト教の今後を考えると辛い物語になるのか…まだわからず 宗達親子の別れの場面には感動してしまった

Posted byブクログ

2020/08/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2020.7 安定して読ませる作家。ただ今回の小説は素直すぎて、また有名人ばかりでテクニックで書かれたみたいな感想。大好きな作家さんなので求めるレベルが高すぎるのかな。

Posted byブクログ