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ひみつのしつもん の商品レビュー

4.3

66件のお客様レビュー

  1. 5つ

    25

  2. 4つ

    19

  3. 3つ

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2020/06/11

20年近く続いている筑摩書房のPR雑誌「ちくま」に連載されている「ネにもつタイプ」を書籍にしたもので、本書が3冊目になる。 柴田元幸氏と並んでこの人の翻訳した作品には好きなものが多いし、この人のエッセーも肩の力を抜いて「ニヤニヤ」しながら読むことができる。 前2冊を「ニヤニヤ」し...

20年近く続いている筑摩書房のPR雑誌「ちくま」に連載されている「ネにもつタイプ」を書籍にしたもので、本書が3冊目になる。 柴田元幸氏と並んでこの人の翻訳した作品には好きなものが多いし、この人のエッセーも肩の力を抜いて「ニヤニヤ」しながら読むことができる。 前2冊を「ニヤニヤ」しながら読んだのだが、今回も始終「ニヤニヤ」しながら楽しんで読んだ。 多分、この人の文章のリズムやテンポが僕にあっているのだろう。 いつものように虚実入り混じっている作品も収録されている。

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2020/05/06

『だが自分に嘘をつくことはできない。私は旅行が嫌いだ。そもそも移動や変化に関係すること全般が苦手だ。家から出るのにもけっこうな決断と勇気を要する。家から歩いて一分のところにあるクリーニング店に行くのに三ヶ月かかったりする』―『アレキサンドリア』 岸本佐知子の翻訳したものを読書の...

『だが自分に嘘をつくことはできない。私は旅行が嫌いだ。そもそも移動や変化に関係すること全般が苦手だ。家から出るのにもけっこうな決断と勇気を要する。家から歩いて一分のところにあるクリーニング店に行くのに三ヶ月かかったりする』―『アレキサンドリア』 岸本佐知子の翻訳したものを読書の手がかりとするようになってしばらく経つ。リディア・デイヴィスも、ジュディ・バドニッツも、ミランダ・ジュライも、この翻訳家の名前を頼りに読んでいる作家だ。もちろん「気になる部分」以降のエッセイも必ず読んで、その翻訳作品の選択眼が如何に際立ってユニークであるかを再確認している。 「ねにもつタイプ」から続く「ちくま」の連載も三冊目。その間、少しのブレもない妄想ぶりが心地よい。ここに書かれていることが、そのまま著者の日常であるとは思わないけれど、ちょっとした出来事に独自の視点を持ち込み、そこから妄想を膨らませるという創造はありそうであまり見かけない。多くの人々は、極端にナイーヴになるか、極端に斜に構えるかして自分の身(それは秘された内面、弱さ、プライド、というようなもの)を守ろうとする。そういった見栄や虚栄心のようなものを岸本佐知子の文章からは感じない。潔ぎよい。 例えばそれは、川上弘美の「東京日記」のような諧謔的、自虐的、文章と気脈を通じるところがあるように思う。こちらも「東京人」の連載から始まって長く続いている。そういえば、「Monkey」連載の「あかずの日記」は単行本になる気配がないけれど、まだ一冊になるには分量不足なのかしら。

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2020/03/30

エッセイの顔をしているけど現実と空想の隔てが曖昧で、読んでいるうちに「あれ?どっちだろ?」てなる感覚が楽しい。

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2020/02/27
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岸本佐知子のエッセイは間違いない! 今回も”それなっ”を連発しながら読了。 中でも、地球の裏側でバッチリ運動した人の運動量が、日本にいてぐうたらしている自分にこっそり転送されたらいいのにって笑った。 こんな発想はなかったわ。

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2020/07/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

めでたくも18年間も続いているという、ありがたいお話。 読むのは7年ぶりくらいだろうか、私にはこのくらいの距離感でよい。 だって、夜の道を歩いていていきなり、ここは宇宙の中なんだ、ダークマダーだ、羊羹だ、などと思い出してしまったら、大好きな夜と羊羹が台無しだ。 明日、お尻のあたりにカチンと音がしたらどうしよう、と怯えるのも嫌だ。 ネジに至っては、もうホラーの短編としか(私には)感じられない。私のネジはぽいと捨ててしまったが、後から体調不良に陥った時に後悔するかもしれない。恐ろしい。 だから、本を閉じたらすぐにふわふわした本を読んで気持ちを紛らわせる。そしてまた、怖いもの見たさで読み始めるのだが。この永遠のループは終わることがない。 役に立つこともある。わからないことがあったら、すぐにネット検索などしないほうがいいそうだ。自力で思い出すことで、消滅しかけていた脳のニューロン通路が復活するという。岸本さんは3日かけて思い出した。 でもエッセイのテーマはそこじゃなくて、やむなく検索した時、履歴に残った自分の検索ワードに、驚愕するという話。 クラフト・エヴイング商會の挿し絵がまた、絶妙であることも申し上げておきたい。 翻訳家の、翻訳以外の文章は、私の脳内をざわつかせてくれる。この本を読めば、脳内の何かを復活させてくれているかもしれない。一つの考えに凝り固まってしまった人、想像力が欠如している人に勧めたいが、そういう人には、たぶん受け入れてもらえないだろうな。

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2020/02/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

【本】ひみつのしつもん/岸本佐知子 ★★★★★ エッセイ界ではワタシのベスト。いつもの妄想エッセイが楽しい。 『たとえば空から落ちてくる雨粒の一つに住んでみたい。三百六十度透明なドームの中に浮かんで、歪みながらつぎつぎと変わっていく外の景気をのんびり眺めて暮らす。何千メートルの距離を地面まで落ちるあいだに、雨粒の中では百年が経っている。文字にもそそるのがある。「鼎」とか「凹」なんかはいかにも魅力的な間取りだし、「畳」や「臨」の部屋数の多さにも心ひかれる。「凡」のすっきり物のない暮らしにも憧れるし、「Q」や「乙」の曲線に寄りかかって、ゆったり足を伸ばしてみたい。』 『私が心の底からやりたいことは、たとえば、「つるっつるすること」だ。完全に滑らかな、摩擦ゼロの平面を、どこまでもどこまでもつるっつると滑っていきたい。その究極のつるっつる感だけを味わいたい。あるいは私かやりたいのは「ふわっふわすること」だ。何かよくわからない、とにかくふわっふわのものに、全身くまなく包まれて、ただひたすらふわっふわしたい。』 なんて誰が考えるでしょう。

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2020/01/29

「ちくま」での連載が18年も続くエッセイ. 毎回単行本にして3ページ.その中からのセレクションなので前著から7年.うーむ長い. 自虐的というか,自分で自分の思考の渦に溺れてる感じがおもしろい.妄想も爆発.なかなか生きるのが大変そうだ.私はそれを読んで笑ってるだけだけど.

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2020/01/22

この人の日記を毎日読みたいわ! ぬの力、が好き。鵺。 エッセイだけど、時々、小説ぽさが入って、うまいなぁ〜と思わせる。

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2020/01/17

『ねにもつタイプ』『なんらかの事情』に続き、3冊目のエッセイ。連載は18年目に入ったとのこと。4冊目も楽しみです。

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2020/01/14

読んでいて、思わず思いっきり吹き出したり、爆発的に笑わされたりして、そのたびに、電車やその他の公の場所でなくてよかったと安堵した。 岸本佐知子さん独特の「ワールド」を天性のものとして持ってます。読み終えてすぐ、僕は岸本さんの別の本を予約。本の案内にある言葉、「頭くらくら、胸どきど...

読んでいて、思わず思いっきり吹き出したり、爆発的に笑わされたりして、そのたびに、電車やその他の公の場所でなくてよかったと安堵した。 岸本佐知子さん独特の「ワールド」を天性のものとして持ってます。読み終えてすぐ、僕は岸本さんの別の本を予約。本の案内にある言葉、「頭くらくら、胸どきどき、腰がくがく、おどる言葉、はしる妄想、ゆがみだす世界は、なんだか愉快」、まさしくそんな世界で、思いっきり笑って見たい方は、特にどうぞ!

Posted byブクログ