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最後の錬金術師カリオストロ伯爵 の商品レビュー

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2020/02/16

実在した詐欺師の伝記。ごく客観的で、政治的な背景の分析などもありとても面白い。著者が全く関連のないオーストラリア人なのも良いのかもしれない。 たとえばマリーアントワネットの首飾り事件は世界史の教科書に載っているくらい有名だけれど、そこに巻き込まれたこの詐欺師の裁判は、民衆の圧力が...

実在した詐欺師の伝記。ごく客観的で、政治的な背景の分析などもありとても面白い。著者が全く関連のないオーストラリア人なのも良いのかもしれない。 たとえばマリーアントワネットの首飾り事件は世界史の教科書に載っているくらい有名だけれど、そこに巻き込まれたこの詐欺師の裁判は、民衆の圧力が強くなっていた時代に司法を変えようとしている弁護士達の思惑が絡み、王政を倒すまでの布石の一つにもなっている。 霊的なものを求めて怪しげな儀式をやっていた大陸のフリーメイソンに対して、より近代的な「資産家や名士が社会貢献する集まり」になって(回帰して)きていたイギリスのフリーメイソンの対比とかも面白い。 同じ時代でも各国の様相が結構違う。カトリック旧体制のイタリアに比べフランスは哲学思想などもより近代的で、何より華やか。真面目に騙されるドイツ語圏、ロシア女帝の強固さに組み敷かれたポーランドやラトビア、最も現実的で近代化されていたのはイギリス。フランス革命前後の動乱の時代をうすぐらい物陰から、あるいは地下の研究室の戸をそっと開けて窺っているような気分になった。

Posted byブクログ