子どもに寄り添うまなざし春夏秋冬 の商品レビュー

菅澤順子(著者)

2023/06/15

　子どもたちと向き合う職場に50年とのこと。心温まるエピソードの数々である。この中で、印象に残る言葉が数多くあった。著者が心がけてきたこと、学んできたことばかりである。幼児に携わる幼稚園・保育園の仕事に就く人だけでなく、両親や広く親族にも当てはまると思うので、参考にしたい。チンパンジーの集団においてもさえも「教えない教育、見習う学習」が実践されているという。手本を見せ、子どもが真似る。大事なのは教えないが、寛容であることだそうだ。
最後にいくつかを引用する。「3歳だからと子ども扱いせずに対等に話しかける」「大人が多様な個々の子どもにしっかり向き合っていく、そしてその子がその子のペースで 成長していく、するとそれを見た仲間がその子への関わりを新たに見出して作り出していき ます。この「わたし」が、「わたしたち」の関係のなかで育っていく姿を見せてもらう喜び は、ほんとに大きいものでした。」「いろんな出会いが大きな力になってきました。教えるのでなく、伴走すること、あわてな いで待つこと、見守ること、毎日は驚きに満ちていること、だからその毎日をいっぱいに驚 いて、楽しむことなどなどです。」