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つけびの村 の商品レビュー

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149件のお客様レビュー

  1. 5つ

    8

  2. 4つ

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  3. 3つ

    56

  4. 2つ

    24

  5. 1つ

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2019/10/24

つけびの村 噂が5人を殺したのか? 高橋ユキ 晶文社 2019 9/25 初版 2019 10/15 3刷 2019 10/24読了 地元(ちょっと離れてるけど)山口県東部に位置する 周南市の山里で2013年7月21日に起きた 山口連続殺人放火事件を扱ったドキュメンタリー...

つけびの村 噂が5人を殺したのか? 高橋ユキ 晶文社 2019 9/25 初版 2019 10/15 3刷 2019 10/24読了 地元(ちょっと離れてるけど)山口県東部に位置する 周南市の山里で2013年7月21日に起きた 山口連続殺人放火事件を扱ったドキュメンタリー。 あるノンフィクション賞応募の為に書いたが落選… Web上に公開してバズって書籍化… まあ作者ご本人がそう書いてるからそうなんだろけど 大きな事件っていろんな人達の食い扶持になってんだねー。 帯にはファッションデザイナー(なんで?)の藤原ヒロシ氏が 「人々の闇と僕らの好奇心はつながっている」と書いていますが まさにそうなんだろうし そこにはお金やら名誉やらが絡みあってるんだろうなぁ… 被害にあわれた人も罪を犯した人も 裁く人も調べる人も読む人も 色が違うだけで起こってしまった事柄の周りを飛び回ってる虫みたいなものかもなぁ。 興味本位で読んだものの 特に残るモノはありませんでした。

Posted byブクログ

2019/10/23

(01) 村が生きているとはどのような状態をさすのか.それは村の仮死や死をどのように認識するかという問題も含んでいるし,村に住んでいる生きた人間の生態や精神の状態,また人間どうしが関係する状態とも照らして考えることができる. 本書の主な舞台となる周南市の金峰(みたけ)やそのうちの...

(01) 村が生きているとはどのような状態をさすのか.それは村の仮死や死をどのように認識するかという問題も含んでいるし,村に住んでいる生きた人間の生態や精神の状態,また人間どうしが関係する状態とも照らして考えることができる. 本書の主な舞台となる周南市の金峰(みたけ)やそのうちの郷(ご,ごう)という村にも,その生と死は措いても,現在の状態があり,著者はその状態に向かい,記述を試みている. 著者が感じる村の状態の多くは,ノイズのようでもある.羽虫がいる,雑草が繁る,村人やワタル(*02)の理解しがたい言葉がある,厄介な雑多や雑音に対し,著者は出版テキストにおける整音を目指さずに,意図してノイズを持ち込んでいる.その真摯な取材と記事化の姿勢には共感や同調を誘うものがある. ノイズの言語化には噂や妄想の契機がある.「つけびの村」とされる本書が舞台とした村では,いまだ言語化していない/されまいとするノイズの砂嵐(*03)が吹き荒れているようにも思われる. (02) 村の状態と並行して,主人公の個人史が当然ながら描かれる.厄介な家柄に生まれ育ったワタル,上京してジムに住み込み,内外装に関わる職に携わったワタル,帰省後にUターンハイと村おこしの挫折を味わったワタル,公判中に外部と歪なコミュニケーションをとろうとするワタルなど,氏の半生への興味は尽きない. 特に村では,自然環境や人為的な風土に身を晒し,環境や風土に自らを調節することが求められる.それが都市と違うのは,都市が匿名性や単位をもった個人が生きられるべく成立しているのに対し,村落では,家や顕名性が半ば強制される点にある.その場所の固有性に根ざしローカライズされた風土と環境でもある. 村への適応障害はどのように現れるのか.犬,猫,羽虫,アブ,カラオケの大音量,噂の小音量,除草剤,刃物,薪,棒,酒,椎茸,防犯カメラ,ポエム,杉の苗,お祓いなど,村を構成する各要素が,それぞれ敵味方として,時に増幅され,時にミュートされ,幻想的でもあるが現実的な村が,近代的な個人に対して現れる. 生きられた村がそこにはある. (03) 歴史や物語はどのように働いているのか.歴史化や物語化といった,まだ柔らかいプロセスがこの村にも見えている.この過程には,さまざまな過去や未来への可能性を含んだ噂が渦巻いている. 集落の構成,特異な地名からは流動的な業や民の存在がうかがわれる.須々万や金峰,菅蔵,広瀬など近隣の地名の語感や草山の風景からは,製鉄(非鉄金属の可能性もある)や焼畑といった非定住に彩られた中世史が示唆されているようにも思う.貧困や暴力,近代の一過的な人口増減などの症状と,この「火」が暗示される村の歴史過程はおそらく絡まっている.

Posted byブクログ

2019/10/19

SNSで話題沸騰の本書、手に取らないわけにはいかないじゃないの、と意気込んで一気読み。 高年齢化の限界集落が舞台なのですが、これは誰にでも起こりうる話なのではと、読後フツフツと湧いてきて・・・否、私の中にもプチ保見が生まれてもおかしくはないと考えると、とても怖い。 途中、著者が撮...

SNSで話題沸騰の本書、手に取らないわけにはいかないじゃないの、と意気込んで一気読み。 高年齢化の限界集落が舞台なのですが、これは誰にでも起こりうる話なのではと、読後フツフツと湧いてきて・・・否、私の中にもプチ保見が生まれてもおかしくはないと考えると、とても怖い。 途中、著者が撮影した現場写真があるのですが、 それがまたジワジワと煽っていて、 なんというか宝島社の「VOW」が面白い版なら、こちは恐怖版みたいな(伝われ~) メンタルが元気な時に読むことをオススメいたします。

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2019/10/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

丹念な聞き取りの結果によるレポートで読み応えがある。 噂話が娯楽であり、ある種の正義や暴力となってしまう限界集落の雰囲気だが、この村だけの問題ではなく、もしかして類似の事件は多く、今後ますます増えるのではと思ってしまう。 犯人の保見が「孤立」していたことは間違いないだろう。 実在の事件を扱い、関係者が多くいることからか、「断定的な結論」は避けられている気がする。 得体の知れない嫌な感じが終始ある。 取材のキッカケである夜這い伝承は古老(複数)の話のみであるし、被害者遺族である河村さん宅への悪戯をした犯人も明らかにされない。 分かることは、犯人の保見や保見の父親に対する悪い噂が存在することと、保見が事件はデッチ上げだと訴えていること、保見が妄想に捉われているであろうこと、そして、被害者遺族の河村さんが亡くなると、河村さんの悪い噂が聞こえてきたという点。 独特の「ムラ社会」に眉をひそめたくなるが、似たような縮図は学校、会社、村にかかわらずあちこちで見られる気がする。 noteで公開された所まで、特に「10年経ったら」のくだりはとてつもなく期待を持たせる展開であったことから、書籍化にあたり追記された「10年経ったら明かされる筈だったこと」が、やはりそうなるのかとも思う。 しかし、ここで衝撃的な新事実が出ないのがリアリティというものだろう。 地域資料にあたって執筆されている本作は、事件を追ったノンフィクションというより、伝承や伝説、呪いの発生、成長過程を知る為のものとして読んだ方がいい。

Posted byブクログ

2019/10/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

紀伊國屋書店のメルマガで紹介されていたので購入。元は『note』に掲載されていたもので、SNS辺りでもバズっていたらしいのだが、その辺りのことは全然知らなかった。 取り上げられている事件はうっすらと記憶にある。『八つ墓村』になぞられた報道がされていたことも、何となくではあるが、覚えている。ただ、当時、そこまでWeb上で騒がれていたようなイメージは、あまり無かったので面白かった。噂という不確かなものに右往左往しているように見えるが、これって現実でやっているか、SNSでやっているかの違いぐらいしかないよなぁ。 ところで、内容とは無関係だが、紙の本になった時、日付などの数字が漢数字でないのは物凄く違和感がある。雑誌ならいいんだが、元がWeb連載とはいえ、単行本では漢数字にして欲しい。InDesignのスクリプト使えば一発で直せるじゃんよ……。

Posted byブクログ

2019/10/09

山口県の山村で実際に起きた事件の取材を通して、限界集落の現実やうわさ話が個人に与える影響、精神疾患と刑法の問題点などを提示する作品。作者が村人や犯人などに行ったインタビューを読んでいるとまさに自分が当事者のように感じる構成に脱帽。

Posted byブクログ

2019/10/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

つけびの村 噂が5人をころしたのか? 高橋ユキ 田舎はろくな娯楽もないところでいじめられている。実のところ謎に満ちたこの事件のすべては、開巻すぐに紹介される犯人のメモ書きに集約されている。 タイムライン https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698

Posted byブクログ

2019/09/29

「つけびして 煙り喜ぶ 田舎者」。2013年に集落人口12名の山口県の農村で5名の村人が殺害された放火殺人事件。 冒頭の川柳は、犯人の自宅の窓に貼られたものであり、事件当時、大変話題になった。次第に事件の全容が明らかになるにつれて、この川柳は、村人たちから”村八分”にあった犯人...

「つけびして 煙り喜ぶ 田舎者」。2013年に集落人口12名の山口県の農村で5名の村人が殺害された放火殺人事件。 冒頭の川柳は、犯人の自宅の窓に貼られたものであり、事件当時、大変話題になった。次第に事件の全容が明らかになるにつれて、この川柳は、村人たちから”村八分”にあった犯人が、殺害を示唆するものと世間では喧伝されるようになり、私自身もそう思い込んでいた。しかし、その実態は異なっていた。 本書は、裁判の傍聴記等を得意とする一人の女性ライターがnoteに連載していたルポルタージュの書籍版である。noteの連載は一時期、SNS上でかなりバズっており、その内容に追加取材を行って、本書はまとめあげられている。 著者は事件の舞台となった農村に何度も足を運び、遺族や関係者らへの徹底した取材を行う。その中で浮かびあがってきたのは、「噂が噂を呼ぶ閉鎖的なコミュニティ」の姿である。誰もが誰かを噂する、そしてその噂の内容は当然、誰かを悪しざまに言うものになる。 罪なき5名を殺害した犯人に情状酌量の余地はない。それでも本書を読むと、犯人が逮捕直前に、自らが唯一心を寄せることができていた2匹の愛犬に残したメッセージに悲しさを覚えてしまうのも事実である。

Posted byブクログ

2019/09/23

「高橋ユキ/つけびの村」読了。 「鈴木智彦/サカナとヤクザ」を読んだ時にも感じたことだけど、どんな事実を見ようとしているかだけじゃなく、文章や構成にもドキドキする。 「つけびの村」はタイトルも秀逸だけど、装丁やフォント選びにも惹かれた。文庫やkindleじゃ伝わらないかも。 ...

「高橋ユキ/つけびの村」読了。 「鈴木智彦/サカナとヤクザ」を読んだ時にも感じたことだけど、どんな事実を見ようとしているかだけじゃなく、文章や構成にもドキドキする。 「つけびの村」はタイトルも秀逸だけど、装丁やフォント選びにも惹かれた。文庫やkindleじゃ伝わらないかも。 良い本読んだ

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