症状から見た睡眠障害の診断と治療 の商品レビュー
睡眠障害について一般向けに手広く説明している。睡眠障害がもたらすリスクや検査方法を説明してから、症状による分類に基づいて各病態について説明する単純なかたちをとっており、睡眠障害の幅広い全体像を見渡すことができる。とくに睡眠障害は高血圧や糖尿病、肥満といった生活習慣病につながり、...
睡眠障害について一般向けに手広く説明している。睡眠障害がもたらすリスクや検査方法を説明してから、症状による分類に基づいて各病態について説明する単純なかたちをとっており、睡眠障害の幅広い全体像を見渡すことができる。とくに睡眠障害は高血圧や糖尿病、肥満といった生活習慣病につながり、そこから心血管系疾患(心筋梗塞など)やガンにつながりうることも明らかにされている。このため、健康における睡眠の重要性が注目されている(とはいえ、元論文までチェック出来ない素人としては、エビデンスの質なども知りたい……)。 睡眠障害というのは極論すれば不眠と過眠に大別できるけれど、それだけでも様々な原因がある。有名なものでは、むずむず脚症候群(レストレス・レッグス症候群)による入眠困難や、ナルコレプシーによる過眠症が知られていると思うが、本書では不眠と過眠症については22の病態が挙げられている。さらに、睡眠中の異常行動や概日リズム障害(昼夜逆転、時差ボケ)で15の病態と多岐にわたる。なかには、睡眠関連摂食障害では眠ったまま料理をするケースがあるなど、素人目には驚くしかない疾患があったり、頭部爆発音症候群など発生するメカニズムが(本書執筆時点で)よく分かっていないものも少なくない。これだけでも睡眠の奥深さに面白さを感じるし、また睡眠が様々なかたちで阻害される人々の存在と、それに対する睡眠専門医の専門性に驚かされる。
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