史上最恐の人喰い虎 の商品レビュー
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インドの人喰い虎、と書けばまるでキプリングのお話に出てくる悪者のようだけど、ネパールからインドの歴史、情勢などを踏まえつつ、なぜこのような人喰い虎が生まれたのかを丹念に紐解く過程が面白い。大英帝国支配のインド下で生まれたハンター、ジム・コーベットの人柄と生涯も興味深かった。 しかし販促のためだろうとは思いつつも日本語タイトルがちょっとひどい気が…「no beast so fierce」、ヘンリー3世からの引用らしいですが不勉強で分からず。直訳すると「そんなに激しい獣はいない」。本文ラスト近くの、理由もなく殺すことにかけてより獰猛なのは虎ではなく人間の方である、という一文から取られ、これに関しては本書を読み終えれば頷くしかない。
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単なるノンフィクションの域を超えた歴史物語。 今まで伝説だった実話を、各地の資料をもとに文字に書き起こしてある。 南インド映画「RRR」に関する資料として、和歌山の本屋プラグさんがSNSで紹介されていたのを知って手に取る。 アイルランド系移民としてインドに生まれたハンターが、現...
単なるノンフィクションの域を超えた歴史物語。 今まで伝説だった実話を、各地の資料をもとに文字に書き起こしてある。 南インド映画「RRR」に関する資料として、和歌山の本屋プラグさんがSNSで紹介されていたのを知って手に取る。 アイルランド系移民としてインドに生まれたハンターが、現地トライブの狩猟者の技術を習得し、ネパール・インド一帯を恐怖に陥れた一匹のトラを仕留めるまでの話。その後、トラの生息域である森とそこに住む人々のことを考慮し、人生の20年をトラの保護活動に生きているというところが、非常に胸を打つ。WWFの元祖みたいな人である。アイルランド系英国を追われてインドにたどり着いた祖先を持つという出自など、歴史的背景にも興味がわく。 BBCの30分ドキュメンタリー「ムンバイのトラ」では、現在進行形のインドムンバイ近郊の開発と環境保護活動が紹介されているが、問題は現代になっても解決していない。
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図書館でたまたま見かけて手に取ったが、これが大当たり。単なる英雄譚でも虎狩りの記録でもなく、人喰い虎のなんたうるかを過不足なく、ついでに大層面白く伝えてくれた。『クマーウーンの人喰いたち』の和訳もあれば読んでみたい。 なお、訳者あとがきの最後の一文には大いに賛同する。内臓ってあんた。
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400人は多すぎだろう、と思っていたのです。が、週1人の人間をタンパク源として食べる必要がある。この虎の生存年数を考えるとバカみたいに襲いまくっていた訳ではないようです。しかも、人喰いの原因はほぼ人間の側にあるわけで、昨今のクマ問題を思い起こさせます。
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