在野研究ビギナーズ の商品レビュー
☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆ https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB28811849
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前作『これからのエリック・ホッファーのために』2016が過去の在野研究者を取り上げたのに対し、本書は「今現在活躍している人」を扱う。 ●総論として “ 在野の研究生活に一般解はない。 個々人の生活はそれぞれ異なる条件を与えられ、使えるリソースもてんでばらばらだ。偶然性に左右される。 その上でなお在野での学問を志すのならば、各人、使える技法を自分用にチューンナップせねばならない。 ■工藤郁子 趣味としての研究 “稼いだお金で学術書を思うさま買っては積み、ときどき読む。 有給休暇を取って学会に行き、たまに口頭発表をする。 まれに論文を書くが、別にアカデミックポストを狙っているわけではない。研究の楽しさを満喫し、自分を満足させることを主目的として、やっている。 ■3人目 伊藤未明 「40歳から「週末学者」になる」 体調を崩し最初の会社を35歳で退職 しばらく実家でぶらぶらしたのち、 修士号を一年で取れることもあり、イギリスのノッティンガム大学に留学 その後、学者になろうと京大の博士課程 このとき39歳 “研究者としての生活にとって会社の仕事は生活費と本を買う金を稼ぐ以上の意味はないものと考えている。 ●逆卷しとね 本を読めることは幸せだ。それだけでいい。けれども少しの元気があれば、その幸せを人と共有してみるといい。 ■8人目 内田真木 高校教師のかたわら、聞き取り調査 有島武郎 「研究ノート」 見開きにあらかじめ1ヶ月分の日付を記入 二行で1日分 読んだものを簡単に記録 何もしない日は案外少ない。昼休み30分の積み重ね。
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タイトルを見て、面白そうだと思い、借りてみました。 在野研究(研究により給与を得ているわけではないケース、と考えるとよいと思います)に相当する人は、意外に数が多い、という印象です。 ただ、研究に関する肩書をもっていない人がほとんどのようで、学会での発表や調査などの段階で苦労する...
タイトルを見て、面白そうだと思い、借りてみました。 在野研究(研究により給与を得ているわけではないケース、と考えるとよいと思います)に相当する人は、意外に数が多い、という印象です。 ただ、研究に関する肩書をもっていない人がほとんどのようで、学会での発表や調査などの段階で苦労するケースが多いようですね。 それでもなお、在野にこだわって研究を続ける人には、その姿勢に頭が下がります。 その一方で、とくに日本の場合は、在野であることをすねていたり、卑下していたりするケースもあるようです。 また、在野の場合は、研究テーマに関する制約が大きく、必ずしもよいケースばかりではない印象です。 この本については、ある意味、仕事と趣味のあり方に関する本、という捉え方も可能だと思っています(この本では、趣味=研究、と捉えればよいかと)。 趣味と仕事が近い人もいれば、趣味と仕事がまったく異なる人もいる。 趣味と仕事の両方の充実を目指す人もいれば、趣味の充実をひたすら追う人もいる。 そういった人たちの事例集として読むのが、この本の健全な読み方かもしれません。
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仕事と家庭研究を両立させてる人がたくさん出てくるのでメンタルいわしてる時に読んだら辛さがあるかもなと思った。 資金繰りの話もしてるし(いうてそんなに補助の話題がたくさんでたわけてはなかった気がする)手法?と話もしてるしあとアカデミズムを離れた研究についての話もあっておもしろかった...
仕事と家庭研究を両立させてる人がたくさん出てくるのでメンタルいわしてる時に読んだら辛さがあるかもなと思った。 資金繰りの話もしてるし(いうてそんなに補助の話題がたくさんでたわけてはなかった気がする)手法?と話もしてるしあとアカデミズムを離れた研究についての話もあっておもしろかった。山本哲士さんて方がとばしてて読んでて楽しかった。 巻末にそれぞれの推薦本。アイデア大全が出てきてておっ、と思った。 002
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在野研究とはなんぞや? と未知の世界を覗くような気持ちで手を出してみたら、専門性に圧倒される部分もありつつ面白かった。 実践的な在野研究の進め方の解説やアドバイスがあれば、ご自身の研究生活を具体的に振り返られているものもあり、研究といっても内容は人それぞれで、ご自身が研究する立場...
在野研究とはなんぞや? と未知の世界を覗くような気持ちで手を出してみたら、専門性に圧倒される部分もありつつ面白かった。 実践的な在野研究の進め方の解説やアドバイスがあれば、ご自身の研究生活を具体的に振り返られているものもあり、研究といっても内容は人それぞれで、ご自身が研究する立場の方も、研究者を支援するのが専門の方もいらっしゃる。 未知の世界、とても広かった。 時折出てくる、研究者・専門家視点のユーモアが面白い。「締切直前の深夜に降りてくる「文章の神様」はだいたい邪神」とか、機械翻訳に対する「普段はおかしいのに時々ぐさっとくることを言う面白い友達」「お前、大人になったらつまらない人間になったな、っていうアレ」とか。 研究というほどではなく、ライトに趣味として学びを続けていきたい者としても、参考になる部分があった。心構えの部分であったり、学びを続ける具体的な手法であったり。躓いたり意欲を失ったときにまた読み返すといいかもしれない。 そういった意味で、逆卷しとねさんの章の終わりの二段落が力強く、心強かった。
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・誰かに会いに行くことが決まっているなら、事前に論文を何本か読んで<読んでわかったこと/わからなかったこと>をなるべく明確な言葉にまとめておき、機会があれば相手にそれを伝えてみよう(210) ・必要なのはまずは教科書的な知識であり、「最新の知識」ではない。できれば最初に会ったときにその分野の標準的な教科書をいくつか教えてもらい、次に会うときまでには読んでおこう。そうすれば相手はその分だけ楽に話せるようになる(210) ・支援者は自分自身で何か「よいアイディア」を出す必要はない(211) ・課題の方向を「彼/女たち自身がアイディアを出しやすくするために何ができるか」へと切り替えるだけで支援のハードルは一気に下がる。たとえば、議論の場を設定するためのコミュニケーション・コストを供出したり、要所要所で関与者たちが共通の土俵として使えるような資料(調査結果やこれまでの議論・経緯のまとめなど)を提供したりすることは、それほど難しい仕事ではない(211)
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研究者=大学や研究機関に所属している人、というイメージが強かったのだが、文理問わず、さまざまな分野に在野の研究者がいるのだな、ということを知ることができた。外にいるから見えるものもあるだろうし、うち何人かはご自身も研究をしつつ、他の方々と企画とのマッチングやなんかに才を発揮されて...
研究者=大学や研究機関に所属している人、というイメージが強かったのだが、文理問わず、さまざまな分野に在野の研究者がいるのだな、ということを知ることができた。外にいるから見えるものもあるだろうし、うち何人かはご自身も研究をしつつ、他の方々と企画とのマッチングやなんかに才を発揮されている方もいらしたりして、とても興味深い。そして、別に本業を抱えている状態で研究を続ける体力・気力に深く深く敬意を表したい。 オススメ度: ★★★★☆ ふかし芋(図書館職員) 所蔵情報: 品川図書館 002/A64
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大学や研究機関に属さない色々な分野の研究者の方々が、自身の研究の動機・内容・スタイルなどを綴った本です。 研究とは何か広く考えるきっかけにもなるし、様々な分野の研究の特徴を知ることができるし(在野の研究者の方ゆえの事情が加味されてはいると思うけど)、職業としてでなくても研究を続け...
大学や研究機関に属さない色々な分野の研究者の方々が、自身の研究の動機・内容・スタイルなどを綴った本です。 研究とは何か広く考えるきっかけにもなるし、様々な分野の研究の特徴を知ることができるし(在野の研究者の方ゆえの事情が加味されてはいると思うけど)、職業としてでなくても研究を続けている方々だからこそなのか研究対象への熱意があふれてるし、いろんな意味で面白かった。 在野の研究者の方の困難の1つとして文献へのアクセスが挙げられていたが、オープンアクセスにより少しそれが緩和されたとも複数の方が書かれていた。 みなさん、苦労されてるのは、仕事との両立(物理的にも精神的にも)というかんじはしたが、適度なところで意識的に折り合いをつけつつ楽しんで研究されてるように思った。
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大学などに属さないで 他に仕事を持ちながら研究する15人が そのメリットとデメリットを語る。 それぞれ事情や方向性も違うから これから在野研究を考えている人には 一読の価値があるかも…。 在野から大学に入り直した語り手もいたし。 今はネットで他人の研究を学ぶこともでき 自分の...
大学などに属さないで 他に仕事を持ちながら研究する15人が そのメリットとデメリットを語る。 それぞれ事情や方向性も違うから これから在野研究を考えている人には 一読の価値があるかも…。 在野から大学に入り直した語り手もいたし。 今はネットで他人の研究を学ぶこともでき 自分の研究も発信できる時代だから 生涯研究を続けたいなら それも一つの選択肢ってことですね。
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「ちょっと余暇に」「定年後の楽しみに」というのではない、ガチな在野「研究」者のための本。 役に立つか立たないかでは、礫川全次 『独学で歴史家になる方法』のほうが使えそう。
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