震える天秤 の商品レビュー
染井作品「悪い夏」「正義の申し子」からの「震える天秤」 人間の「強さ、弱さ、醜さ、良心」のような心の動きがありありと描かれていて、一線を超えた人間の怖さを感じる作品でした。フィクションですが。 3作品の名で、1番登場人物が皆まともでした笑
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なんか面白かった。 律と同じところで違和感を覚え、同じところでもっと知りたいと思う。読者の感情を置いてけぼりにしないどころか、全く同じ目線で読み進めていける。取材中の強引な律の言葉に、頼り甲斐があるなぁ、なんて感じてしまうほど。 最後の最後まで、まさにタイミングもぴったりに佐久間...
なんか面白かった。 律と同じところで違和感を覚え、同じところでもっと知りたいと思う。読者の感情を置いてけぼりにしないどころか、全く同じ目線で読み進めていける。取材中の強引な律の言葉に、頼り甲斐があるなぁ、なんて感じてしまうほど。 最後の最後まで、まさにタイミングもぴったりに佐久間と一緒に「えーっ。なんだよそれー」と叫んでしまった。 読後に著者のプロフィールを見たら舞台のプロデューサーだった方のようで、なるほど納得。 見せ方がうまいわけだ。 他の作品にも触れてみたい。
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染井為人ブーム4冊目。文庫化されたものはこれで 最後でしょうか。 だめなやつしか出てこない「悪い夏」。 二重人格のYouTuberの物語「正義の申し子」。 少年死刑囚の脱獄を通して死刑制度の意味を問う「正体」。 そして、これまでの3つとは趣が違う本作で 染井ワールドの深さを見せて...
染井為人ブーム4冊目。文庫化されたものはこれで 最後でしょうか。 だめなやつしか出てこない「悪い夏」。 二重人格のYouTuberの物語「正義の申し子」。 少年死刑囚の脱獄を通して死刑制度の意味を問う「正体」。 そして、これまでの3つとは趣が違う本作で 染井ワールドの深さを見せてくれます。 高齢者の免許返納問題。アクセルとブレーキを 踏み間違えたことによる事故。そんな身近にあるテーマと、 閉鎖的な村を舞台にした「犬神家的サスペンスが ミックスされていきます。 「正体」同様に、謎解きで終始することなく、 あなたならどう思う、どうする、という問題提起を 投げ出して終わるエンディングもよかった。 次はハードカバーにいこうと思います!
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横溝正史の八つ墓村の現代リアルバージョンをイメージさせられた 実際にあった津山大量殺人事件も、それをなぞったミステリー小説八つ墓村も地方の民俗、因習、狭域社会が引き起こした祟りともいえるものだった 震える天秤では、探偵ではなくジャーナリストが事件のミステリーを暴いていった 祟りも...
横溝正史の八つ墓村の現代リアルバージョンをイメージさせられた 実際にあった津山大量殺人事件も、それをなぞったミステリー小説八つ墓村も地方の民俗、因習、狭域社会が引き起こした祟りともいえるものだった 震える天秤では、探偵ではなくジャーナリストが事件のミステリーを暴いていった 祟りも現代的な高齢者の自動車事故や山間エリアでの過疎地域問題や少年犯罪などを取り入れてストーリーを描いている コンビニのFC本部と店舗経営補償のトラブルなども冒頭から取り入れて現代らしく演出されている 老人がコンビニに軽トラックで突っ込み、店長が死んだ 老人を知る村の人たちは痴呆症が進んでいたと説明する 老人自身もその時の記憶が無いという あとは医師による鑑定結果を待つことになるが、それは警察の捜査の必要性による判断で進められる 単独での取材は違和感という感覚の中で進む コンビニでバイトしていた女の子は村から1時間半もかけてバイトに来ていたのだ 村の男からこの店長を殺しても足りない過去の話を聞かされていたからだ 心の天秤で殺すべきかを測るためにバイトとして店長を見るためだった 天秤は傾いた のうのうと生きる資格などない人間だった 2人で店長を殺す計画を立てるが、老人に嗜められていた 村長と助役は2人からの話を事故が起きてから聞かされ、村民のひとりひとり、即ち村自体を守ろうと箝口令を敷いていた しかし店長を殺したのは計画を立てていた2人ではなく、2人を諌めていた老人だった 違和感に突き動かされるように取材が深く村に入り込む 村からは防御反応が出る 店長の過去の取材は村の過去の事件につながった 村長以下の者たちは、取材の結果をまとめられてしまうと、もはや守りたい人を守れない 村長は静かに自分の喉元に刃物をあてた 記事を書くなら自分の決着はこれだと村長 一晩考えてみるからと、村長の自決を止める 結論は、老人の事故だったことにした このジャーナリストの心の天秤も結論を出すまで大きく震えた 人間の心をよりリアルに描こうとすれば、このような行動の震えや硬直が現実的だろう それこそが人間らしさになるのだと思う これは呪いや祟りや復讐といった連綿と続く集落のパワーに対しての価値判断と行動の選択だと感じた 現代でも果たしてこれだけ強い共同体意識を持つ村地域や集落はあるのだろうか 昔からの因習の残る集落はたくさんあるだろう 支え合って集落が成り立つのだから たくさんあって欲しいくらいだ この村民の選択行動は、行動経済学でいえば、現在バイアスのかかった、現状維持行動、保存行動である ジャーナリストの直感的な判断はヒューリスティックといわれる 最後の結論は酒を飲んで決めたくらいだ 全て、ナッジ を設定してバイアスや過剰な負荷を乗り越えてゆく道を作らなければならないと提言されるだろう それでも この小説のように 乗り越えられない弱さを表現された方が ひとの心を強く感じる 今のところ 、良心に従い より賢明な選択行動を設定するよりも、ジャーナリストの仕事を放棄した結末は微笑ましく温かく感じている このストーリーを支持しますね
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話自体は非常に面白い。元妻が裁判官というのも小説ならありか。 引き込まれるように読み進め電話行ったのだが、終わり方に不満。フリーライターとしての矜持や更なるどんでん返しを期待していた。 ともあれ、楽しませてもらったことに変わりはない。引き続きこの作家を追いかけていきたい。
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今、1番ハマってる作家さん。 今回は・・・まあまあかなー。 とある「村」を舞台に繰り広げられる 高齢者による過失運転致死事故がテーマ。 果たしてこれは「事故」なのか? それとも故意の「事件」なのか? ミステリー仕立てで読み応えありました。 ここから【少しネタバレ⚠️】 ...
今、1番ハマってる作家さん。 今回は・・・まあまあかなー。 とある「村」を舞台に繰り広げられる 高齢者による過失運転致死事故がテーマ。 果たしてこれは「事故」なのか? それとも故意の「事件」なのか? ミステリー仕立てで読み応えありました。 ここから【少しネタバレ⚠️】 結局、真実は闇の中・・・ だったのが少し不満というか、まあでも オチはそれしかない気もするし。 主人公の律と元妻の里美の掛け合いが なかなか面白かったです。 これ、ドラマにしてもいい作品かも。
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フリージャーナリストの律は隔週誌ホリディの編集長に命じられ、福井県で起きた高齢者による交通事故を通して社会問題となっている高齢者の運転問題について記事を書くことになり、現地に向かった。 加害者の住む村で取材を進めるうちに、違和感を感じ深掘りしていくと意外な事実が次々に現れて、最後...
フリージャーナリストの律は隔週誌ホリディの編集長に命じられ、福井県で起きた高齢者による交通事故を通して社会問題となっている高齢者の運転問題について記事を書くことになり、現地に向かった。 加害者の住む村で取材を進めるうちに、違和感を感じ深掘りしていくと意外な事実が次々に現れて、最後は正義(良心)とは何かみたいな終わり方でした。 整合性から言うと、正三さんはアクセルとブレーキを踏み間違えたとしか考えられないけどなー。
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著者の作品を読むのは3冊目だがテイストがそれぞれ違っていてなかなか読んでて楽しい作家だ。最初に読んだ「正体」で堂場瞬一さん風を感じたが、この作品の方が先だけど、これもやはり堂場さん風を感じた。いい意味です。この作品も最初は訳の分からんような話がきれいにまとまって行って感心する。主...
著者の作品を読むのは3冊目だがテイストがそれぞれ違っていてなかなか読んでて楽しい作家だ。最初に読んだ「正体」で堂場瞬一さん風を感じたが、この作品の方が先だけど、これもやはり堂場さん風を感じた。いい意味です。この作品も最初は訳の分からんような話がきれいにまとまって行って感心する。主人公の気持ちもよく分かるし、関係者も。今後も注目していきたい作家さんだ
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
じゃあ何か。おれはお前の個人的な趣味のためにあれこれ協力しただけという事か。 結局、主人公の取材は個人の趣味に陥った。ジャーナリズムでも、正義でも、真実の追求でもない。だから、彼は逃げたのではないが、ライターをやめるしかなかったのでしょう。責任を負う覚悟がなかったのだから。 高齢ドライバーの事故の真相を追う姿は、鋭さを感じる一方、「知る権利」をかざすマスコミの負の面が強調され不快な気持ちになる。加害者側に同情させようとしている訳ではないと思うが。 主人公の「良心に従った判断」の是非は、どうだったのでしょうか? 記者としては、失格。人としては、…。 事件終了後、村長らは、村人になんと説明するのでしょうか? 犯罪の共犯として村人を巻き込む算段でしょうか? 巫女・七海の「神罰を下す」は、神通力を持ち続けるのだろうか。例え被害者が殺されても仕方がない人物であっても。 私は、なんとなく、事故を起こしたドライバー落井氏が、退院後自首するような気がしてしかたがない。
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社会派サスペンスです。 フリージャーナリストの俊藤律37歳は隔週誌ホリディの編集長に命じられ東京から福井まで六時間かけてバイクで福井入りしました。 認知症をわずらった86歳の落井正三が、軽トラでコンビニに突っ込みコンビニの店長の石橋昇流(のぼる)28歳が即死。 店にはアルバイ...
社会派サスペンスです。 フリージャーナリストの俊藤律37歳は隔週誌ホリディの編集長に命じられ東京から福井まで六時間かけてバイクで福井入りしました。 認知症をわずらった86歳の落井正三が、軽トラでコンビニに突っ込みコンビニの店長の石橋昇流(のぼる)28歳が即死。 店にはアルバイト店員の内方七海17歳が事故の時一緒に勤務していました。 律は高齢者の運転問題についてルポをまとめるつもりでした。しかし律はこの事件に何か裏があるのを嗅ぎつけます。 加害者の正三とアルバイトの七海が共にコンビニから二時間ほどの埜ヶ谷村から来ていることに気づき事件性を感じたのです。 そして律は、コンビニのオーナーで被害者の父の石橋宏から、村の人間まで次々に当たっていきます。 加害者の正三は本当に認知症があったのか疑いを持ち正三の入院している病院にまで潜入します。 そして、村全体で隠している大きな秘密をみつけてしまいます。村の人間はみなで嘘をついていました。 七海が店でアルバイトをしていたのも、正三が軽トラで突っ込んだのもすべて偶然ではなかったのです。 村の人間たちに、律は真実を問います。 そして律は記事を書くべきか逡巡します。 書けば大スクープです。 私は律には記事を書いて欲しくないと思いました。 真実を報せるより大事なこともあるのだと思いました。
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