今ひとたびの、和泉式部 の商品レビュー
和泉式部の伝記小説としてはまずまずの面白さだったと思う。しかし私は若い頃からずっと永井路子や杉本苑子の歴史小説の大ファンだったので、情熱の歌人の物語にしては熱量が足りないと感じてしまう。「取り憑かれた人」が何人も登場するのに、誰も取り憑かれているようには感じられなかったのが残念...
和泉式部の伝記小説としてはまずまずの面白さだったと思う。しかし私は若い頃からずっと永井路子や杉本苑子の歴史小説の大ファンだったので、情熱の歌人の物語にしては熱量が足りないと感じてしまう。「取り憑かれた人」が何人も登場するのに、誰も取り憑かれているようには感じられなかったのが残念。 それとは全く別の理由で、この著者の作品はもう二度と読めないと思う。単純に、この人のいくつかの単語の表記が好みに合わなくて苦痛だから。若い頃はそんなことを気にもせずにガシガシと貪欲にむさぼり読めたものだが、つくづく年を取った……
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創作ももちろん交わっていますが、確かなのは和泉式部にとって「恋」は生きる上での水のような存在であったこと。恋が無くては生きられない。恋が無くては歌人・和泉式部ではいられない。 お恥ずかしながら私には和歌の良し悪しは分かりません。ですが、「恋」が彼女を、彼女の歌に命を与え今日まで遺...
創作ももちろん交わっていますが、確かなのは和泉式部にとって「恋」は生きる上での水のような存在であったこと。恋が無くては生きられない。恋が無くては歌人・和泉式部ではいられない。 お恥ずかしながら私には和歌の良し悪しは分かりません。ですが、「恋」が彼女を、彼女の歌に命を与え今日まで遺されているのだと思います。 それでも結末はちょっとびっくりしました。式部の死因はちょっと強引なのでは…?と思いましたが歴史小説なので許容範囲内かと思ったり。
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赤染衛門の娘である江侍従視点の1035-36年代パートと、和泉式部視点の999-1029年代パートが交錯する構成。読み難いということでか、前者のパートは上部に横線が引いてある。そりゃ分かりやすいけど…無粋だわあ(笑)。 しかも和泉式部が夫・藤原保昌に任国で殺され、それに気づいた江侍従にも死の直前に手をかけた…とは、斬新な解釈過ぎて言葉がありません、はい。 ひとつ収穫だったのは、源満仲が率いる多田荘勢が、和泉式部の生きた時代には、宮中とかなり密な関係を築いていたこと。武士社会の始まり、ですな。
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「母の和泉式部の代作だろう」と言われ、即興で、「大江山いく野の道の遠ければまだふみも見ず天橋立」と歌を返した、小式部の話は、実話だろうか?
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恋多き女、浮かれ女と称される「和泉式部」の半生を描いた作品 平安時代の女性は、ひたすらに出世やお金の道具だったのだなぁと。 その反面、性に関しては軽く、貪欲でもあり そのギャップが不思議 時代と男達の欲に翻弄された歌人。
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Tさんのおすすめ。 和泉式部もその歌もあまりよく知らなかった。 紫式部や清少納言と同じ時代に生きたと読んで、 そう言われてみればそうだったかも、と思うぐらい。 宮中恋愛物語とあってちょっと腰が引けていたが、 あまりドロドロしていなくて面白かった。 後の世の人たちが、この時代の...
Tさんのおすすめ。 和泉式部もその歌もあまりよく知らなかった。 紫式部や清少納言と同じ時代に生きたと読んで、 そう言われてみればそうだったかも、と思うぐらい。 宮中恋愛物語とあってちょっと腰が引けていたが、 あまりドロドロしていなくて面白かった。 後の世の人たちが、この時代の文学を通して想像するほど、 「現実」は優雅なものではないと判ってはいる、 しかし飢えと疫病のはびこる平安京の現実を読みたいわけではない。 そこらへんのバランスが微妙で良かったのかも。 最期がミステリー仕立てなのも。
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和泉式部といえば、恋多き女。次々と恋人を替え、情熱的な恋の歌を数多く詠んだ歌人。 とりわけ、漫画の「和泉式部日記」の印象が強く、弾正宮と帥宮との恋愛のところしか知らなかった。 その後も何人かと恋をしていて、その結末がこのお話では驚く形で結ばれていた。 平安時代の小説はまだまだ...
和泉式部といえば、恋多き女。次々と恋人を替え、情熱的な恋の歌を数多く詠んだ歌人。 とりわけ、漫画の「和泉式部日記」の印象が強く、弾正宮と帥宮との恋愛のところしか知らなかった。 その後も何人かと恋をしていて、その結末がこのお話では驚く形で結ばれていた。 平安時代の小説はまだまだいろいろな形があるものだなーと思った。
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※このレビューにはネタバレを含みます
諸田玲子が和泉式部を描く‥‥。 こんな素敵な組み合わせがあろうとは。 学生時代、和歌を専攻し取り分け和泉式部に傾倒した私にはワクワクが止まらない一冊だった。 有名なエピソードはもちろんもらすことなく描かれて、和歌とともに改めてその魅力に触れた。 少し趣きが違っていたのは和泉式部の縁に連なる江侍従が物語の一部の語り手となり、和泉式部の人となりに触れようとさまざま奔走する点だ。 徐々に探偵モノめいてきて、少し興を削がれがちだったのが残念だった。特にラスト(和泉式部の生涯の終わり方を含め)はちょっと奇想天外ではないだろうか。
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