罪の轍 の商品レビュー
取り調べも佳境で『罪の轍』の意味ってこれか...とタイトルの意味が見えそうになったとき、思わず溜息が出て頭を抱えたくなりました。 実際の事件をベースにしているとはいえ部分的にはフィクションであると理解しているので読みやすく、読み始めるとゾワゾワとしながらも読むのが止められなか...
取り調べも佳境で『罪の轍』の意味ってこれか...とタイトルの意味が見えそうになったとき、思わず溜息が出て頭を抱えたくなりました。 実際の事件をベースにしているとはいえ部分的にはフィクションであると理解しているので読みやすく、読み始めるとゾワゾワとしながらも読むのが止められなかったです。 Wikipediaで実際の事件を見るとゾワゾワ感増し増しです。 同事件のノンフィクションである『誘拐』(本田靖春)にも目を通してみようと思っています。ただ今までの自分の読書経験から鑑みるとこの手のノンフィクションは私には重すぎると予想しています。 (『八甲田山死の彷徨』(赤川次郎)がリアル過ぎて怖くて読むのが辛くなった経験ありまして...) ⇒【追記】『誘拐』(本田靖春)も読みました。非常に胸が苦しくなる素晴らしいノンフィクションでした。
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東京オリンピックを翌年に控えた1963(昭和38)年、東京台東区で起きた戦後最大の身代金誘拐事件、日本中が恐怖と怒りに震えた「吉展ちゃん事件」の経緯を背景に、天涯孤独で不遇な容疑者と刑事たちの鬼気迫る執念を描いた犯罪ミステリの傑作。身代金50万円を要求する犯人からの電話、録音され...
東京オリンピックを翌年に控えた1963(昭和38)年、東京台東区で起きた戦後最大の身代金誘拐事件、日本中が恐怖と怒りに震えた「吉展ちゃん事件」の経緯を背景に、天涯孤独で不遇な容疑者と刑事たちの鬼気迫る執念を描いた犯罪ミステリの傑作。身代金50万円を要求する犯人からの電話、録音された音声と訛りの分析、日本で初めての「報道協定」、警視総監異例の公開捜査、黒澤明監督の映画「天国と地獄」が与えた影響など、事実関係に創作を膨らませ、緻密に構成された緊迫感ある群像劇として大きな感動を覚える長編大作。
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ドキドキしました。人間の性悪性を感じた。悪さつわてのは繋がっているんだ、おれだけのせいじゃねえ、悪が繋がったせいだとするのならば、自分のちからで断ち切らなきゃいけないんだと思った。
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はい、面白いのはわかってましたー みんみん激推しがおもんないわけない くやしいけど(くやしいんかーい!) もう半分くらい読んだ時点で他にどんな作品書いてんだろう?って調べたからね 最新作『リバー』なんてそういやシュンさんがほめてたなと思って図書館に予約いれたからね 途中、何回...
はい、面白いのはわかってましたー みんみん激推しがおもんないわけない くやしいけど(くやしいんかーい!) もう半分くらい読んだ時点で他にどんな作品書いてんだろう?って調べたからね 最新作『リバー』なんてそういやシュンさんがほめてたなと思って図書館に予約いれたからね 途中、何回かゾワゾワした なぜか さて本作はみんみん女史も絶賛の「警察小説」ですが、私は小さい頃から「探偵小説」が大好きでした 横溝正史に始まり江戸川乱歩、アガサ・クリスティーにエラリー・クイーンなどなど今では古典と呼ばれるよになった「探偵小説」は洋の東西を問わず読み尽くしておりますが「警察小説」となるとまだまだ若輩者であります 横山秀夫さんをちょっとかじったくらいで「警察小説」をちゃんと読むようになったのはほんとに最近であります そして大きなくくりで言えばどちらもミステリーということになるのかもしれませんが、「探偵小説」と「警察小説」って対極に位置するのではないかと思っております いやむしろ「探偵小説」の反対語が「警察小説」なのではないかと なぜなら、面白い「探偵小説」とはいかに奇想天外な内容であるかにかかっていて、反対に面白い「警察小説」に奇想天外さは欠片もありません その意味では本作はとても面白い「警察小説」でした ひらめきによって捜査が進む場面はありますが、それは一人の天才にもたらされるものではなく、刑事たちが地道な捜査を積み重ねる過程において、積み重ねてきた結果からもたらされるものでした そして刑事たちの揺るがない積み重ねがこの物語に重厚さをもたらしています また、オリンピック前という時代の捜査機関の内情や世相が丁寧に描かれていて有無を言わさぬ説得力がありました いやあ読書の世界はまだまだ広いぜ 日本にもまだまだこんな重厚な物語を描く作家さんが隠れてたんだな(お前が知らんかっただけだろ!) 時間がいくらあっても足りないだべさ!(急な北海道弁)
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『オリンピックの身代金』を思い出しながら読んだ。 人生を変える引っかかりすらない、圧倒的に貧しい人たちが主人公なのが共通している。 華々しい繁栄から一番遠いゆえに、眩しい場所への羨望が生きる原動力となる。 さらに本書は被虐待児がいかに考え、身を守ろうとするかが描かれており、落合刑...
『オリンピックの身代金』を思い出しながら読んだ。 人生を変える引っかかりすらない、圧倒的に貧しい人たちが主人公なのが共通している。 華々しい繁栄から一番遠いゆえに、眩しい場所への羨望が生きる原動力となる。 さらに本書は被虐待児がいかに考え、身を守ろうとするかが描かれており、落合刑事の家庭との対比がせつなくさせる。 リアリティのある筆力は、さすが奥田英朗!! 黒部ダムも書いてくれないかな〜。
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あの吉展ちゃん事件に着想を得た作品だけどオリジナルなストーリーになっていて面白く読めました♪ 1964年の東京オリンピック直前の頃の時代背景もよく理解出来る描写です。 たしかにこの頃に国も社会も経済も文化も大きく変化して行った実感があるし、警察機構も転換を余儀なくされた時期でした...
あの吉展ちゃん事件に着想を得た作品だけどオリジナルなストーリーになっていて面白く読めました♪ 1964年の東京オリンピック直前の頃の時代背景もよく理解出来る描写です。 たしかにこの頃に国も社会も経済も文化も大きく変化して行った実感があるし、警察機構も転換を余儀なくされた時期でしたね。リアリティと緊迫感がよく感じ取れました。 意外性もどんでん返しもスーパー刑事も出てこないけど、だからこそ迫真の作品になっている。 ちょっと残念なのは犯人像の設定が哀しすぎて救いが無いことです。
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もう何から書いていいのか… 圧倒的な作品でした(*_*) 今まで読んだ警察小説のベスト3に入ると思う。 昭和38年の「吉展ちゃん誘拐殺人事件」を知っていますか? わたしが生まれる少し前の有名な事件です。 それをもとに書かれた作品で犯人こそ創作でしたが 警察が事件を捜査する過程は...
もう何から書いていいのか… 圧倒的な作品でした(*_*) 今まで読んだ警察小説のベスト3に入ると思う。 昭和38年の「吉展ちゃん誘拐殺人事件」を知っていますか? わたしが生まれる少し前の有名な事件です。 それをもとに書かれた作品で犯人こそ創作でしたが 警察が事件を捜査する過程はほぼ実録ではなかろうかと…とにかくリアル。昭和38年のオリンピック前の日本の姿、警察の捜査、圧巻です。 この事件の後に改正された法律や警察組織があったのも納得です。 身代金目的の誘拐と言う犯罪も初めてなら、捜査する警察も初めて、家庭に黒電話がお金持ちの家にしかなく、逆探知さえない時代です。 600ページの作品を一文字も逃さず読んだのは初めてです_φ(・_・ 昭和の犯罪に興味ある方は絶対読んで欲しい! 関連する作品がもう一つあるのでそれも読むつもりです。 奥田英朗作品は初めて読みましたが… たぶん奥田英朗最高傑作だと思う!まだ一冊だけど笑
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読みだしたらやめられない。 吉展ちゃん誘拐殺人事件がベースと思われるが全く違う犯人として語られる。
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久しぶりの奥田英朗作品。 いやー、おもしろかったです。 翌年に東京オリンピックを控えた昭和38年。 礼文島で漁師見習いをしている青年、宇野寛治は幼少期に負った怪我から軽度の脳機能障害がある。 手癖が悪く、お金に困るとためらうことなく窃盗をするのだが、ある日その操作から逃れるため...
久しぶりの奥田英朗作品。 いやー、おもしろかったです。 翌年に東京オリンピックを控えた昭和38年。 礼文島で漁師見習いをしている青年、宇野寛治は幼少期に負った怪我から軽度の脳機能障害がある。 手癖が悪く、お金に困るとためらうことなく窃盗をするのだが、ある日その操作から逃れるために東京に向かう。 一方、南千住では強盗殺人事件が発生。警視庁の刑事・落合昌夫は事件の捜査を進める内に子供達から「莫迦」と呼ばれていた北国訛りの男の存在を知る。 そんな中、浅草の豆腐店の息子が誘拐される事件が発生。誘拐事件に北国訛りの男が関与している可能性が浮上し、落合ら警視庁の刑事達も誘拐事件の捜査にあたるがー。 オリンピック開催に世間が沸き、テレビ・自宅の固定電話・自動車が普及し、世の中がものすごいスピードで変わっていく時代。 犯罪手法も変化し、警察の捜査が後手に回ってしまう歯がゆさ。それでも事件を追い続ける刑事達の執念。 寛治の孤独と純粋ゆえの短絡さ。 全ての描写のリアリティが圧倒的で、自分自身もその時代にタイムスリップして事件を目の当たりにしているかのような感覚でした。 ゆえにかなりの長編にも関わらず、ページを繰る手が止まらずあっという間に読了。 現代と比べると不便で不自由な事が多いはずなのに、とても魅力的な時代に感じられるのは日本人の心のあり方の違いでしょうか。 寛治のような人を「莫迦」と言ったり、ヤクザが警察と取引していたり、現代では不適切な表現も多かったりするけれど、 刑事もヤクザも在日朝鮮人も心に温かいものがあって、今の私達と比べるとうんと真っ直ぐで一生懸命。 だからこそ、起きてしまった犯罪の悲壮感が際立ち、何とも切なくてやるせない気持ちにさせられました。 2020年10冊目。
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※このレビューにはネタバレを含みます
著者の作品をはじめて読んだ。 読み応えがあった! 昭和38年にあった吉展ちゃん事件がモチーフ。この誘拐事件を中心に暴力団、空き巣、チンピラ、山谷宿泊所の人々が周囲に点在。 様々な事件が織り交ぜながら事件の核心へ展開されていく長編大作。 時代は昭和、オリンピックが始まる1年前。 電話やTVがまだ人々の生活に珍しかったときに突然起きた電話を使う脅迫、誘拐事件。 電話があると、こんな犯罪も起きるのか、と世間が震撼し、はじめての出来事に世の中の混乱や戸惑いが見え、この事件の衝撃が大きかったことがわかる。 物語は宇野寛治、刑事、山谷宿泊所のキミコの視点から描かれている。 礼文島から東京へ出てきた寛治、脳に障害があり記憶が飛ぶ。 島でも東京でも「莫迦」と呼ばれる。 空き巣をすることでしか自分の生きる道を知らず、善悪の判断ができない。 この寛治と接触があった弟や山谷の町を愛しているキミコ。 近隣で起こっている空き巣事件や殺人事件を追いながら誘拐事件との関連に確信をもつ刑事たち。 それぞれの人物の事象や心象が一部づつ紡がれ終結に向かっていく緊張感にどんどん引き込まれ夢中になって読んだ。 特に刑事達が犯人を追い込んでいく執念や気迫には、その場にいるかのような臨場感がありドキドキの連続。 寛治は、なぜ罪を犯してしまったのか。 寛治の背景にある出自、生い立ち、無教育、貧困、父親からの虐待などを知ると胸が痛む。 そしてあまりにも不幸な結末だ。 ”人”が”人”として生きていくには、幸せを感じて生きていくには何が必要か改めて考えさせられる。 久々に睡眠不足になった1冊。
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