罪の轍 の商品レビュー
戦争の名残がそこかしこに見られ、復興の象徴でもあるオリンピックを目前にした時代。罪を重ねながら故郷を離れる訛りのある青年。松本清張が頭をチラチラしてしまう設定ながらもおもしろく読めた。
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奥田さんの作品の中で上位に入るくらいの面白さでした。 帯にあった「吉夫ちゃん」って、もしかして…?と思いながら、読むとやはり昭和の大事件であった「吉展ちゃん誘拐事件」をモチーフにしていました。 キーとなるある男は、周りに翻弄されながらも、各地を転々としていきます。しかし、行くた...
奥田さんの作品の中で上位に入るくらいの面白さでした。 帯にあった「吉夫ちゃん」って、もしかして…?と思いながら、読むとやはり昭和の大事件であった「吉展ちゃん誘拐事件」をモチーフにしていました。 キーとなるある男は、周りに翻弄されながらも、各地を転々としていきます。しかし、行くたびに様々な罪を犯していきます。まさに「罪の轍」です。犯罪に至るまでの心理描写が丁寧に描かれています。一方では、警察は殺人事件や誘拐事件などを捜査するだけでなく、警察内部の対立を交えています。いかにも昭和らしい雰囲気が漂っていて、その場にいるような感覚で、物語の世界にグイグイと引き込まれました。まるで、実話なのかなと思うくらい、リアリティーがありました。 読み終わった後、顔を上げると、物語の世界と現実の世界があまりに違いすぎて、どっと疲労感がきました。それだけ、小説の世界にぐっと引き込まれました。 奥田さんが描く昭和の時代は、本の中で活きているくらい、描写が素晴らしかったです。それだけ綿密に取材をされたのではないかと思います。警察内部の対立、事件の緊迫感、人々の心理描写など様々な要素が詰まっています。書き出したら、きりがありません。550ページ以上というボリューム感ありながらも最後まで飽きさせませんでした。ついつい誘拐された子供が助かってほしいと強く願いながら、読んでいました。 ミステリーというジャンルだけでは言い表せません。そのくらい色んなものが満載でした。おなかいっぱいでした。年配の人には懐かしい雰囲気にさせてくれると思いますし、若い人にはこういう雰囲気が新鮮に感じるのではないかと思います。
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丁寧な人物描写は秀逸。 昭和のお話だけど現代にも通じる人間模様に共感。 リーダビリティの良さは流石。
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面白かった! 久しぶりの本格的犯罪小説。 殺人事件から誘拐事件へと話が進みどんどん引き込まれていく。 事件を追うことに執念を燃やす刑事と、同情してしまいたくなる容疑者が最後の最後までバトルを繰り広げる。 最後までどうなるのとハラハラさせられた。 読み終えて、読んだ〜!って感じがし...
面白かった! 久しぶりの本格的犯罪小説。 殺人事件から誘拐事件へと話が進みどんどん引き込まれていく。 事件を追うことに執念を燃やす刑事と、同情してしまいたくなる容疑者が最後の最後までバトルを繰り広げる。 最後までどうなるのとハラハラさせられた。 読み終えて、読んだ〜!って感じがした。
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多分、今年のベストワン本。 そして多分、奥田氏の今までの作品の中での最高傑作。 吉展ちゃん誘拐事件をモチーフにした作品だが、当時の社会情勢や世相、刑事捜査が克明に描かれ、奥田流に最高の料理に仕上げている。何がスゴイって、まるで映画を観ているようなダイナミックな描写と細やかな心理描...
多分、今年のベストワン本。 そして多分、奥田氏の今までの作品の中での最高傑作。 吉展ちゃん誘拐事件をモチーフにした作品だが、当時の社会情勢や世相、刑事捜査が克明に描かれ、奥田流に最高の料理に仕上げている。何がスゴイって、まるで映画を観ているようなダイナミックな描写と細やかな心理描写の融合だ。これぞ小説の醍醐味。 本田靖春「誘拐」は当該事件を題材にしたノンフィクションの最高傑作だが、手法は違えど「人間を描く」熱量は高いレベルで互角。是非「誘拐」も併読いただきたい。 また作中でも紹介されるが黒澤明「天国と地獄」の鑑賞もオススメ。さらにさらに当時のオリンピックという意味では、奥田氏の「オリンピックの身代金」も必読かと。 こういう本に出会えると同時代に生きていて良かったと本当に実感できます。
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犯人についつい感情移入してしまう作品だった。 警察の面々も個性豊か。 ドラマ化されたら誰がキャストされるだろう?などど 想像しながら読むのが楽しかった。 (犯人役は村上虹郎さん、明男は竜星涼さんが浮かんだ。) ラストは想像していたものとは違って 少しあっけなく感じたので星3つ。
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罪の轍 著作者:奥田英朗 発行者:新潮社 タイムライン http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698 facecollabo home Booklog https://facecollabo.jimdofree.com/ 世間から置き...
罪の轍 著作者:奥田英朗 発行者:新潮社 タイムライン http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698 facecollabo home Booklog https://facecollabo.jimdofree.com/ 世間から置き去りにされた人間の孤独を緊迫感溢れる描写と圧倒的なリアリズムで描く社会派ミステリーの真髄。
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とにかく会話が上手くて引っ掛かりがほとんどなく話運びも抜群でキャラの描き分けも秀逸な本邦ミステリー/犯罪小説で唯一信用できる奥田さんの新作はやっぱり面白かったよ!
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ケチな空き巣狙い、子どもたちからも「莫迦」扱いされる礼文島出身の若者。親から愛されることなく育ち、仕事仲間からも搾取され記憶障害も持つ、同情すべき男。 オリンピック前年に起こった誘拐事件を追う刑事たち。 二つの線がとある強盗殺人事件で重なり見えなかった真実へと進んでいく。読みながら、その結末を私は望んでいない、と強く思う。そんなはずはない、そんなことできるはずはない、だって彼は愛すべき「莫迦」なのだから…なのに… 奥田英朗、さすがに面白い。この分厚さをぐいぐい引き込みながら突き進んでいく。
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ガツンと来ました。 今まで読んだ奥田英朗さんの作品の中で私は一番かも。 ユーモアや、人の黒い部分とかそういうのは無くて。 それでもどんどん読み進む。 電車乗り過ごしたのはサウスバウンドとこの作品。 終盤は一緒に走った感じで息切れ。
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