ヴィレット(下) の商品レビュー
なんという終わり方…!! シャーロット・ブロンテの遺作となったこの小説、上巻で示されたほのかに暖かい交友もまた、幸せにも希望にも猜疑心を持つルーシーには早々に遠いものになってしまい、読むのが辛くなってしまった。ポール・エマニュエルもなあ。私にはちょっとモラハラというか、そういう...
なんという終わり方…!! シャーロット・ブロンテの遺作となったこの小説、上巻で示されたほのかに暖かい交友もまた、幸せにも希望にも猜疑心を持つルーシーには早々に遠いものになってしまい、読むのが辛くなってしまった。ポール・エマニュエルもなあ。私にはちょっとモラハラというか、そういう体質の支配者に思えてしまった。英国教会の牧師の長女らしい、シャーロットの真面目な性格を想像できる。今の時代であれば、自分の生き方を他者に頼らない女性を、シャーロットなら、どう書いただろうか。 ヴィレットとはベルギーのことを想定してあるらしいが、英国人、フランス人、スコットランド人、カトリックとプロテスタントの差別意識など。あと翻訳が古いものなのも斟酌しつつ読んだ。(ポール・エマニュエルは今で言うツンデレ、ってやつなのかも。)ミステリ要素やなんかは「ジェイン・エア」と同じく面白いが、プロットというよりも、主人公ルーシーの思考こそが読むべきものかもしれない。冷徹に人の俗物さを描写しながら、人とのつながりを求めずにはいられないルーシーの得た、愛と心の自由と自立。 ポリーにも、ジネヴラにもなれないルーシー。(そんな風に恵まれていたり、愚かであれたら、どんなに幸せだろう)。そんなルーシーの決然たるラストには、なんとも言えない気持ちになった…。
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シャーロット・ブロンテの長編がUブックスに。 これまであまり知られていなかったのが不思議なぐらい、如何にも『ブロンテらしい』長編だった。なんというか、非常にお行儀がいいw
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うう、。ブロンテの時代と環境が彼女に与えた影響は本当に強いと思うのだけど。ちょっと一つ一つのエピソードがあっさり流れていってしまうのが、安心である反面、肩透かし的な印象も受ける。安心なんだけどね。 牧師の娘ということもあり、宗教的な要素が同じような時代の他の人より、より濃い。そ...
うう、。ブロンテの時代と環境が彼女に与えた影響は本当に強いと思うのだけど。ちょっと一つ一つのエピソードがあっさり流れていってしまうのが、安心である反面、肩透かし的な印象も受ける。安心なんだけどね。 牧師の娘ということもあり、宗教的な要素が同じような時代の他の人より、より濃い。そしてこの本は彼女の考え方が強く出ている。カトリックとプロテスタントの違いをキリスト教徒はどう考えているのか、という点について直に?知ることができたのは興味深かった。が、いかんせん、くどいくらいの言い回し。繰り返し語るのに、明確にはしない。してはいけないという自粛なのか。でも繰り返す。ちょっと疲れる。 ウルフはシャーロットの作品はやや作者が自分の意見を主張しすぎると書いていたが、否めない。
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