白い衝動 の商品レビュー
殺人の衝動を抱えている少年と、無惨な事件を引き起こした男。理想と現実の間で揺れ動く心を抱えながら、彼らと対峙するスクールカウンセラー。 彼らが幾層にも重なり合い、それぞれの思いや痛みを超えて柔らかく形を変えていく。『絶対悪はあるのか』を掘り下げ、内包する人間と社会は向き合うべきか...
殺人の衝動を抱えている少年と、無惨な事件を引き起こした男。理想と現実の間で揺れ動く心を抱えながら、彼らと対峙するスクールカウンセラー。 彼らが幾層にも重なり合い、それぞれの思いや痛みを超えて柔らかく形を変えていく。『絶対悪はあるのか』を掘り下げ、内包する人間と社会は向き合うべきかと問題提起をする作品。 異常犯罪者が刑期を終えて、自分の街で過ごしていると知って受け入れる事ができるか。私はきっと恐怖に震え、受け入れる事は難しいと思う。 では排除・隔離・包摂、どの手段が適切なのか。とても難しい問題で、『どこまで他人を許容出来るのか』の答えは無いのかも知れない。 最後の一行で驚きの事実が明らかになり、冒頭とラストが綺麗に結びつく。社会が抱える悪を問うだけでなく、謎解きミステリーとしても秀逸な作品です。
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同僚に借りて読みました。 ちょっと専門的な話が多く、難しかったけど、読んだ後の満足感はあるね。 伏線らしき話の流れが多々あっても実は無関係であったり、仕掛けがすごい。本当終盤までわからず、中々凝った作品です。
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難しい内容だった 心理学がそもそも難しいと感じた。数値として表れない曖昧な部分があるんだなと・・ 犯罪を犯した人間が再び社会に出て生きていく難しさ、周囲が理解しようとするにも限界があるのは事実だと思う。
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- ネタバレ
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かなり面白かった。 確かに難しい部分もあったが、登場人物たちの心情が表れている部分も多く、なるほどと思わされる点も多かった。 心理学の部分は専門用語も多く分かりづらかった。 秋成・千早・入壱がどこで繋がるのか内心ドキドキしながら読むことができた。
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面白かった、そして難しかった。 どんな人にも人権があり、過ちを起こした人でも人権がある。それを包摂する社会の難しさ いや、諦めてもいいんじゃないか。諦めて孤独に耐える方がお互い幸せなのかもしれない 他人を受け入れるってどういうことなのか なんか、時代に沿ってるな〜て気もした
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第20回大藪春彦賞受賞作。呉氏の作品に共通するテーマ「絶対悪」。その絶対悪側に立つ人間が持つ衝動と、側に立つ人間らの衝動。ほか作品とは一線を画し、何か重大事件が起こるのではない起こった事件に対し、相容れがたいモノを相容れようとする人間の心理が良く描かれている。「あるがままの君を、...
第20回大藪春彦賞受賞作。呉氏の作品に共通するテーマ「絶対悪」。その絶対悪側に立つ人間が持つ衝動と、側に立つ人間らの衝動。ほか作品とは一線を画し、何か重大事件が起こるのではない起こった事件に対し、相容れがたいモノを相容れようとする人間の心理が良く描かれている。「あるがままの君を、私は受け入れる」、この言葉がとても印象的。 自分の近所にこんなにわらわら絶対悪が居たら嫌だが、異なる形の「白い衝動」を持った者らを描くことで物語に重層的な厚みが生まれている。
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千早と寺兼先生のやり取りで、学生時代に受けた精神分析の授業を思い出した。 理解できないものはやっぱり恐怖でしかない。 受け入れたいと思っても、どうにもならないこともある。 そういう意味では、入壱や秋成の抱える衝動を受け入れるのは至難の業だろう。 だけど、もし自分がその立場だったら...
千早と寺兼先生のやり取りで、学生時代に受けた精神分析の授業を思い出した。 理解できないものはやっぱり恐怖でしかない。 受け入れたいと思っても、どうにもならないこともある。 そういう意味では、入壱や秋成の抱える衝動を受け入れるのは至難の業だろう。 だけど、もし自分がその立場だったら。 受け入れて欲しいと思うのか、仕方ないと諦めるのか。 なんだかいろいろと考えてしまった。 共生って意外と簡単じゃないんだよな。
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うーん、難しかったな、というのが一番の感想です。 精神科領域、心理学とかやっぱり目に見えたり検査の数値に表れたりしないものを評価したり診断したりするのは難しいとわかりました。 それとは別に読み物としては、主人公と恩師の会話はお互い核心をつかずに探り合っていて、読んでいても何なのか...
うーん、難しかったな、というのが一番の感想です。 精神科領域、心理学とかやっぱり目に見えたり検査の数値に表れたりしないものを評価したり診断したりするのは難しいとわかりました。 それとは別に読み物としては、主人公と恩師の会話はお互い核心をつかずに探り合っていて、読んでいても何なのかわからないところがあって、ちょっと飛ばしてしまった。秋成との会話も頭の良い人同士のやり取りでピンとこないことも多くて。 それで結局結末はスッキリしなかった。 心理学の本を読んだような読後感でした。
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どうしようもないから「衝動」なんだな 静かな怒りが満ちたとでもいうか、衝動が爆発してしまう人と手前で踏みとどまる人は何が違うんだろう
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