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電気じかけのクジラは歌う の商品レビュー

3.8

34件のお客様レビュー

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2020/05/17

個人の好みに合わせて作曲をしてくれるAI「Jing」が作曲の殆どを担う時代。作曲家の道をあきらめ、自らJingの検査員となった男の元に、自殺した天才作曲家の名塚から曲の一部が届く。名塚は何のためにこれを送ってきたのか…。人間の作ったAIが人間の作るものを凌駕するという意味、近未来...

個人の好みに合わせて作曲をしてくれるAI「Jing」が作曲の殆どを担う時代。作曲家の道をあきらめ、自らJingの検査員となった男の元に、自殺した天才作曲家の名塚から曲の一部が届く。名塚は何のためにこれを送ってきたのか…。人間の作ったAIが人間の作るものを凌駕するという意味、近未来で苦悩する音楽家達の心の叫びを肌で感じるような時間でした。それゆえ逆に主人公に好感が持てなかったのは残念でしたが、ミステリを絡めSFでも読みやすかったです。私はこんな時代が来ても、人間の手で作るものは別のものだと信じたいです。

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2020/04/09

音楽に携わる者としては身につまされる内容だった。また、AIと創作者の遠くない未来に起こり得る対峙的な問題については、僕もずっと考えてきたし、この作品を読むことはその答え合わせをする感覚に近いものがあった。 AIが高度に発達しなくても、既に凡庸と非凡の問題は構造として在り続けてきた...

音楽に携わる者としては身につまされる内容だった。また、AIと創作者の遠くない未来に起こり得る対峙的な問題については、僕もずっと考えてきたし、この作品を読むことはその答え合わせをする感覚に近いものがあった。 AIが高度に発達しなくても、既に凡庸と非凡の問題は構造として在り続けてきたのだと思う。僕も主人公と同じく天才ではないし、天才に打ちのめされてきた人間だ。それでも作ること、奏でることを続けて行けるのは、凡庸か非凡か、客観的に新しいか否か、世間の即応的な評価が得られるか否か、という枠に音楽の本質が収まらないことを絶望の底で理解し希望を見出したからだ。この作品で主人公が辿り着いた結論も、別の表現で同じことを顕しているように僕は解釈した。 それゆえに、創作者として深い波及を受けられたことが嬉しい。

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2020/03/29

単純なSFかと思いきや、ミステリ要素も加えつつ… 近い将来なるかもしれない未来を見た気がした。想像では鯨と作った会社とドンパチするのかと思ってたけど…静かに、戦うわけでもなく、音楽とは、音楽をすること、作ることとは何なのか、新しい音楽は生むことができるのかという課題を見てきた気が...

単純なSFかと思いきや、ミステリ要素も加えつつ… 近い将来なるかもしれない未来を見た気がした。想像では鯨と作った会社とドンパチするのかと思ってたけど…静かに、戦うわけでもなく、音楽とは、音楽をすること、作ることとは何なのか、新しい音楽は生むことができるのかという課題を見てきた気がする。 主人公が大抵の場合煮えきらなくて、人間くささがあって好きな感じ。

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2020/03/10

3月-5。3.0点。 AIが作曲する近未来、元作曲家が主人公。 同じユニットを組んでいた天才が、自殺する。その遺作を巡り、同ユニットのもう一人と天才の従姉たちと絡み合う。 うーん、観念的な記述が多く、冗長なイメージ。 もう少しシンプルに描いてくれたらな-。

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2020/01/27

2020/01/27 読了。 図書館から。 新作。 タイトルと設定が、いつも惹かれる気がする。 進んだ社会が便利な社会が、人間の幸福を満たすのかといえば、きっと満遍なくそうはならないだろうし、 物を作るということが人間以外のなにかに全て置き換わることもないとないのだろうなぁ...

2020/01/27 読了。 図書館から。 新作。 タイトルと設定が、いつも惹かれる気がする。 進んだ社会が便利な社会が、人間の幸福を満たすのかといえば、きっと満遍なくそうはならないだろうし、 物を作るということが人間以外のなにかに全て置き換わることもないとないのだろうなぁ…と。 3人でずっと弾き続けられる世界だったらよかったのに。

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2019/11/15

AIが音楽を創ることで壊れるものと新しく生まれるもの.創造に関わる者の苦しみや葛藤そして何よりその喜びが繰り返し語られて,しぶとく立ち上がる主人公岡部に呆れながらも最後は希望の感じられる世界観で終わる.クジラの歌を聞いてみたい.

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2019/11/14

長かったな…。AIに作れないような新しい曲はなかなか作れず、作曲家は激減した近未来。過激な音を並べたところで良い曲にはならない。商業ベースで考えればAI化していくのかな…。結局、自作よりAIのほうがいい曲だって自分で思っちゃうなら素直にAIでいいんじゃない?

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2019/11/02

AIが社会に普及した近未来。東京を走る車の80%は自動運転で、音楽すらもAIが創造している。そんな中でもがき苦しむ音楽家たちの姿を描いた骨太な作品。近未来を舞台にしてはいるがSFではなく、ミステリーの形式を取ってはいるが驚天動地の仕掛けがあるわけでもない。人はなぜ創造するのかとい...

AIが社会に普及した近未来。東京を走る車の80%は自動運転で、音楽すらもAIが創造している。そんな中でもがき苦しむ音楽家たちの姿を描いた骨太な作品。近未来を舞台にしてはいるがSFではなく、ミステリーの形式を取ってはいるが驚天動地の仕掛けがあるわけでもない。人はなぜ創造するのかという根源に迫る物語なのだ。謎が明かされたとき、思わず目頭が熱くなった。

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2019/10/31

革命的音楽ソフト「Jing]をめぐって展開する近未来SF。既存の作曲家、演奏家たちの仕事を奪ってしまうほどであり、実際に起こりうる未来かもしれない。天才的音楽家のみが生き残れるかもしれないという状況の中で、元作曲家の岡部は急展開する事件に翻弄される。普通の人間なら自己嫌悪に陥り、...

革命的音楽ソフト「Jing]をめぐって展開する近未来SF。既存の作曲家、演奏家たちの仕事を奪ってしまうほどであり、実際に起こりうる未来かもしれない。天才的音楽家のみが生き残れるかもしれないという状況の中で、元作曲家の岡部は急展開する事件に翻弄される。普通の人間なら自己嫌悪に陥り、意気消沈し、絶望するだろう。しかし、岡部は何度も立ち上がる。強い!なぜここまで強いのか、ちょっぴり納得できない気持ちもあったが、ぐいぐいと読ませる小説ではあった。一応明るい結末ではあるが、意外性がもっと欲しかった。うーん、これでよかったのかなあ。いろいろな問題提起をまだまだ残しているような気がする。

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2019/10/19

最終章まで頭の中をぐちゃぐちゃにされ、読み終わった瞬間、 ふ〜!とため息が出た。 読みながら、自分が「Jing」の検査員(岡部)になったようになり、頭の中で異様な音楽が流れているような錯覚に陥った。 AIは人間を超えるか? 参考になる近未来ミステリーである。 結果は面白かった。 ...

最終章まで頭の中をぐちゃぐちゃにされ、読み終わった瞬間、 ふ〜!とため息が出た。 読みながら、自分が「Jing」の検査員(岡部)になったようになり、頭の中で異様な音楽が流れているような錯覚に陥った。 AIは人間を超えるか? 参考になる近未来ミステリーである。 結果は面白かった。 印象に残った文章 ⒈ 音楽は、人を動かす。 ⒉ 霧野は何の目的で、あんなことをしているんだ? ⒊ この巨大な音楽の壁は、彼が起こした波及によって生まれたのだ。

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