1,800円以上の注文で送料無料

明日へのスキャット の商品レビュー

4

1件のお客様レビュー

  1. 5つ

    0

  2. 4つ

    1

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2020/07/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

書き起こしなのかさらっと読みやすい。それでいていろいろと読みどころ。 結局、歌に個人の生活を犠牲にした人生だったが、ここに来てフォーカスが合ってきたというところでしょうか。 「夜明けのスキャット」の頃、すでに結婚していたのだが、それは「夜明けのスキャット」のいずみたくとはライバルの人で、仕事も忙しくなり子どもをつくるかどうかでもめて離婚する。子宮筋腫となり、生理を止める薬を打つところなんだが、打つと声が低くなるというので、打てないまま七転八倒をして、ステージを続ける。結局、子宮全摘出となる。二人目の外人も歌を捨ててアメリカに渡るという夢は実現できず、愛してるままに離婚となる。歌い続けることの犠牲は大きい。 「NHK紅白歌合戦」に1969年から出場していたが、1979年から出なくなる。そのことにショックを受ける。「私は歌を歌っていていいのかしら」と自信喪失する。ここで反転攻勢をかけてオーケストラをバックに歌うコンサートを企画、一人では不安があったので、姉をアメリカから呼んで、そのことがきっかけで、童謡唱歌に惹きつけられていく。 そのアルバムをつくろうとするが、レコード会社は「学校向けの教材だったら作ってもいい」と冷たい。母親が「私の棺桶にいれるアルバムをつくりたい」と社長に直談判してやっと作れることになる。ここでは、「由紀さおり」としての歌い方は封印してプレーンな曲作りに徹する。最初のリリース枚数は数百枚と少ない。コンサートを開いて「手売り 」することで枚数を増やしてもらう。その地道な活動から1986年には「レコード大賞企画賞」をとる。89年には年間60回の全国ツアーに成長、7年目には売上が100万枚を突破する。そして95年にはカーネギーホールで歌うことになる。そしてワールドツアー、オペラハウスでも歌うことになる。さらに大人のための童謡から、子どもに伝えるための童謡とひろがっていく。童謡の持つ力の凄さを確信した二人の成功ですね。 吉田拓郎の「ルームライト」について。 『あ、面白い曲だわ」すぐ、心を掴まれました。そして、いつものように譜面にしておぼえようと、そのメロディを音符に起こしてみて驚きました。譜面にしたら、細々とした16分音符の多いこと。1小節に音符が詰め込まれていて、上がったり、下がったりの音の動きやリズムの多様なことといったら。そして音が「揺れる」んです。自分で弾いて歌っていると、細かな音符を歌うときは一定のテンポではなく、微妙に小節最後の4拍目はその細かなフレーズを気持ち待って、次の小節に移るんです。だから、気持ちよく「揺れる」曲ができるんだ。五線紙に音符を書いて作曲しているだけでは出てこないニュアンス、テクニック、フレーズの作り方がある!そのことに気づいた私は衝撃を受けて、途中で譜面を見て歌うのをやめました。譜面を見て覚えるその先に、自分で感じ作る由紀さおりの節回し、これを産み出すために時間をかけ、努力をしなくてはと悟ったのです。』

Posted byブクログ