「カッコいい」とは何か の商品レビュー
我々はカッコ良さに呪われている。どこまでもかっこ良さを求めている。カッコ良さにこだわらないカッコ良さ。さらにはカッコ良さに素直に開くカッコ良さ。しかしながら、これらは他人をそのように思うだけで、「自分」は絶対にカッコよくなれないという構造。この構造が呪いだ。 結局、カッコ良さは納...
我々はカッコ良さに呪われている。どこまでもかっこ良さを求めている。カッコ良さにこだわらないカッコ良さ。さらにはカッコ良さに素直に開くカッコ良さ。しかしながら、これらは他人をそのように思うだけで、「自分」は絶対にカッコよくなれないという構造。この構造が呪いだ。 結局、カッコ良さは納得感ではないか。同じ著者の分人論では、関係の数だけ個性が存在するわけで、それらの統合がカッコ良さだという見方をやめるよう告げている。
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想像していたより遥かに重厚で濃厚な内容だった。正直一読しただけでは自分の中で理解や解釈が及んでいないところも多い。多面的多角的な考察や検証はすごいんだけど、特にファッションの話とかは背景知識や関心が不足している部分が少なくなく、感覚的な理解が及んでいないという感じ。まぁそれはそれ...
想像していたより遥かに重厚で濃厚な内容だった。正直一読しただけでは自分の中で理解や解釈が及んでいないところも多い。多面的多角的な考察や検証はすごいんだけど、特にファッションの話とかは背景知識や関心が不足している部分が少なくなく、感覚的な理解が及んでいないという感じ。まぁそれはそれで仕方ないかもしれない。でも総じての主張として、カッコいいって体感主義的ということと理解していて、それって結局自分の中でビビッと来たかどうかで、周りがどう思うかとかどう思われるかとかはあまり関係ない。それって頭ではわかっているんだけどやっぱり特に10代20代のころはそこまで割り切れなくて、常に周りの目や評価評判を気にして生きてきたって部分はあるよね。なんとなく自分の中で一定の基準や価値観が定まってきたり割り切ったりある種の"冷め"によって自分は自分と思えてきたところがあるように思う。でもそれはそれで、かつてのような体感主義的なビビッとくる感覚が減ってしまっているのも事実だろうな。どちらが良いとかって話ではないけど、カッコいいものに関心をもって、それを素直にカッコいいと思える感性を持っていたい、磨いていきたいと思った。
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ファッション誌のキャッチコピーみたいなタイトルですが、「かっこいい」という概念について論じた本です。 意外にも、その歴史は浅く、戦後に作られた言葉だそうです。「人はどうあるべきか」という考えが、封建制や全体主義下とは異なり、個人に一定程度委ねられた結果、個人が憧憬の念を抱く対象...
ファッション誌のキャッチコピーみたいなタイトルですが、「かっこいい」という概念について論じた本です。 意外にも、その歴史は浅く、戦後に作られた言葉だそうです。「人はどうあるべきか」という考えが、封建制や全体主義下とは異なり、個人に一定程度委ねられた結果、個人が憧憬の念を抱く対象が多様化し、その中で体感によって得た憧れを表す言葉として「かっこいい」が誕生したと書かれていました。 大切なのは、かっこいい対象を決める「体感」も、社会からの影響を強く受けているということだと思います。戦前の様に統制的に押し付けられるものではないにしても、社会の雰囲気、近しい人達の状況、企業のマーケティング等によって、自身の「かっこいい」が左右されることも珍しくなく、意図しない方向に扇動されることがないように、また自身がどのようは考えを持っているか内省するために、何故それを「かっこいい」と感じたかについて、可能な限り言語化しようとする試みは、常に必要なのだと思いました。 戦後の音楽、ファッション、アートの変遷についても多くの紙面を割いており、(私とは違い、)興味のある人は、その部分も楽しめるのではないでしょうか。
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勉強の合間、案の定脱線して図書館の本棚を眺める。 今の私に刺さりそうなタイトルを発見。 (やめてくれ、今はそれどころじゃないんだ)と思いつつ、読みたい本リストに記録して、そっと書を棚に戻した。
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筆者の博識と分析力には、常々、感嘆の念を禁じ得ない。カッコいい!という表現を考察した文章だが、、非常にレベルの高い内容で、読み応えがあった。
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平野啓一郎さんの本で小説以外は初読。 最後は主観でしかないはずの「カッコいい」についてトコトン考察する本。 最後の方で、クールジャパンといって、国がカッコよさを煽る姿勢自体が「カッコ悪い」とぶった斬る。 ビートルマニアの自分としては、『アトランティック•クロッシング』(大西洋...
平野啓一郎さんの本で小説以外は初読。 最後は主観でしかないはずの「カッコいい」についてトコトン考察する本。 最後の方で、クールジャパンといって、国がカッコよさを煽る姿勢自体が「カッコ悪い」とぶった斬る。 ビートルマニアの自分としては、『アトランティック•クロッシング』(大西洋横断)の章が一番おもしろかった。
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小説家が書いた、「カッコいい」に関するエッセイのような本。読みやすく、しかし470頁にも及ぶなかなかの分量で、古今東西のカッコいいを自らの主観も交えてたっぷり語っている。 カッコいいという概念自体は遥か昔からあるが、「カッコいい」の言い回しは意外と歴史が浅く、1960年代あたり...
小説家が書いた、「カッコいい」に関するエッセイのような本。読みやすく、しかし470頁にも及ぶなかなかの分量で、古今東西のカッコいいを自らの主観も交えてたっぷり語っている。 カッコいいという概念自体は遥か昔からあるが、「カッコいい」の言い回しは意外と歴史が浅く、1960年代あたりから出てきているらしい。それはともかく、本書で何度も言及されているようにカッコいいの種類は多様で、人それぞれで感じ方も変わってくる。カッコいいの逆の「ダサい」や、カッコいいの根底にある「シビれる」など、カッコいいを起点に話が展開していく。 本書を読みながら、自分が思うカッコいいが、なぜそう思えるのかをちょっと分析してみるのも良いだろう。
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感想 人類が持つ共同体の規範を遵守する傾向。それが感情と結びつき生じるカッコいい。法律や不文律の成熟で多様化した価値観。今後も枝分かれ続ける。
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大学の一般教養1年分ぐらいの量・質とがある新書でした。第10章の要約を読むだけでも十分に価値があると思います。一見サブカル好き人間が飛びつきそうなテーマを、かの平野啓一郎が多方面から徹底的に掘り下げているところも面白かったです。
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カッコいいとは何か。歴史、世界的な視野、定義、表面的なことと実質的なこと、政治利用に至るまで幅広く網羅して漏れてるものが何もなさそう。 ぎっちり詰まって400ぺーじ強。なかなか濃かった。これで1000円ならすごく安く感じる。 同姓同名かと思ったらある男(小説)の作家さんか!!...
カッコいいとは何か。歴史、世界的な視野、定義、表面的なことと実質的なこと、政治利用に至るまで幅広く網羅して漏れてるものが何もなさそう。 ぎっちり詰まって400ぺーじ強。なかなか濃かった。これで1000円ならすごく安く感じる。 同姓同名かと思ったらある男(小説)の作家さんか!!すごいな!!笑 知識量と分析能力と情報をまとめる力凄まじいな…
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