アサイラム・ピース の商品レビュー
鬱々としているけれど、なんだろうなあ、生きていくために書かれた絶望っていうか、書くことで生き延びてる感じというか、なんかね、暗く追い込まれるだけではない感じが、わたしはした。でもまあとても鬱々ですけど。休み休み読んだ。
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静かに傷の中に入り込んで 不安にじわじわ包まれるような本 体調の悪い時に読んではいけない。 ましてや会社を早退して、吐き気を紛らわす為に 電車の中で読んではいけない 精神を追い込まれた人の書いた文章に 追い込まれて囲まれる。 閉塞感があって終わり。 突き放されるのに、遠くに行...
静かに傷の中に入り込んで 不安にじわじわ包まれるような本 体調の悪い時に読んではいけない。 ましてや会社を早退して、吐き気を紛らわす為に 電車の中で読んではいけない 精神を追い込まれた人の書いた文章に 追い込まれて囲まれる。 閉塞感があって終わり。 突き放されるのに、遠くに行かないので 消えない。 この本を可愛い文字のポップで宣伝してた本屋は、一体なんだったのか…悪魔か?
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とても心が痛くなりました。 ギリギリの精神状態がずっと続きます。 少しの刺激であちら側に崩れていきそうな。 「敵」「いまひとつの失敗」「召喚」「不愉快な警告」など、周りが敵だらけでいつも何かに脅かされている、という精神は崩壊しそうなところで辛うじて踏み留まっていますが、そんな心持...
とても心が痛くなりました。 ギリギリの精神状態がずっと続きます。 少しの刺激であちら側に崩れていきそうな。 「敵」「いまひとつの失敗」「召喚」「不愉快な警告」など、周りが敵だらけでいつも何かに脅かされている、という精神は崩壊しそうなところで辛うじて踏み留まっていますが、そんな心持ちの人が「母斑」で幽閉されていた人なのか…?とか思ってしまいます。 この苦しみから逃れるには、生を終えるしかないのか。 皆川博子さんの解説もとても良かったです。解説の一節を載せた帯も美しいです。 わたしも確かに、アンナ・カヴァンを「読む」ことを必要としています。 作品リストにあった「カウントダウンの五日間」も好きだったな。
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短い中でも閉塞感や絶望が伝わってくる。 全て同じ行先になるあみだくじを選ばされている感じ。 なぜそうなってしまうのか書かれていないのが良い。 人生は良いことをすれば良いことが起こるって訳でもないし、良い人が安らかな死を迎えられる訳でもない。 生きてるって本当に不条理。
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精神を病んだ話オンリー。 精神崩壊の淵に立つ作者が正気を保つため書いていたということだけど、そういう内々に必要とするものだったせいか、読者は意識されていないようにすら思う。似たような精神状態、同じような状況の話が続く。オチがないのは、状況を打開するすべは決してないから。 作中の人...
精神を病んだ話オンリー。 精神崩壊の淵に立つ作者が正気を保つため書いていたということだけど、そういう内々に必要とするものだったせいか、読者は意識されていないようにすら思う。似たような精神状態、同じような状況の話が続く。オチがないのは、状況を打開するすべは決してないから。 作中の人物たちの心は崩壊しているのに驚くほど読みやすくすんなり入ってくるし(訳が良いのか?)、読後感は非常に凪いでいて全く乱される感じがない。 わずかな希望が光っても、すぐ霧と闇の中に引きずり込まれる、絶対に逃れられないという深い絶望。判決を待つという言葉を作者は繰り返し使っているけど、死すべきという自らの出した判決はとっくに了解したうえで、断頭台の前に転がされてただ待つその精神状態で、これを書いているんでしょうね。だからどの話も諦めできれいに澄んでいるんだろうな。
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霧に閉ざされた憂鬱、少しずつ生を削る絶望が心地良いとすら感じてしまう作品集。春が美しいのは一瞬、心に日が差すのも一瞬、残りは全て緩やかな絶望と憂鬱で毎日を生きているのかもしれない。張り詰めた糸のようなカヴァンの筆致は『氷』に繋がる。星なき冬の夜に読みたい本。 この本には憂鬱な人...
霧に閉ざされた憂鬱、少しずつ生を削る絶望が心地良いとすら感じてしまう作品集。春が美しいのは一瞬、心に日が差すのも一瞬、残りは全て緩やかな絶望と憂鬱で毎日を生きているのかもしれない。張り詰めた糸のようなカヴァンの筆致は『氷』に繋がる。星なき冬の夜に読みたい本。 この本には憂鬱な人、病を抱えた人しかいない。けれど彼らは決して遠い世界の無関係な場所にいるわけではなく、そっと私に寄り添ってくるのを感じる。憂鬱な彼らは毎日を平気な顔して生きる私を否定もしないし、あるいは私も彼らと同じ。見て見ぬ振りをしていた自分の憂鬱の部分がこの本の中にあった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
品切れだったアンナ・カヴァンの短編集がちくま文庫に。ちくま文庫のカヴァンは『氷』に続いて2冊目。 この短編集、表題作にもなっている『アサイラム・ピース』も良いのだが、冒頭の『母斑』のインパクトを超えるものは無いだろう。 少女時代の記憶と、大人になってからの偶然の対比が言い様のない余韻を残して終わる。短編としてもかなり短いというのに、ここまで心に残るものは少ない。 『まだ実際に一部が刑務所として利用されているが、観光客も受け入れている施設』というのは、現実には存在しないものであろう、とは思う。しかし、何処かにありそう……というか、寧ろ、何処かにあって欲しい。そして出来るならば、自分もその場に立ってみたい。きっと楽しいだろう。 ところで、アンナ・カヴァンは、サンリオSF文庫から刊行されていた当時も、現在も、SF作家という受け取り方をされているんだろうか? 代表作である『氷』なんかはSFだと思うが、こと、本書に関しては、ホラーとして認識されていても不思議ではないなぁ。
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