法哲学講義 の商品レビュー
扱っている分野としてあまりにも広く、さらにあまりに多くの立場を紹介しているため、各学説について理解が深まることはほぼない。むしろ、学説同士の関係性を解説することが主な目的となっているようである。有名どころの原典を読んだ後に本書の該当部を参照し、その学説が学問的にどのような位置づけ...
扱っている分野としてあまりにも広く、さらにあまりに多くの立場を紹介しているため、各学説について理解が深まることはほぼない。むしろ、学説同士の関係性を解説することが主な目的となっているようである。有名どころの原典を読んだ後に本書の該当部を参照し、その学説が学問的にどのような位置づけとなっているか、そしてどのような批判があったのかを学び、学問全体の俯瞰視と次なる学習への橋渡しに有用である。 個人的にノージックを読んでいる最中であるため、正義論におけるアリストテレスからの議論、ノージックとロールズの対比、などが理解の助けとなった。 ただ、前述の通り本書の大部分が広範な学説の簡素な紹介で構成されているため、知的面白みに欠ける。また、著者の考えや特定の学説への深い考察はほとんどないため、独自性も感じられなかった。これだけの内容をまとめあげる労力は計り知れないが、書籍としての評価としては可もなく不可もなくという感じか。
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