児玉源太郎 の商品レビュー
軍人として政治家として、その時々で行うべき事を行って確実に結果を出し続ける児玉の生き方には、100年経った今の時代にも見習うべき点が詰まっている。
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「坂の上の雲」などで偶像視されてきた児玉源太郎の足跡を、過去の資料を丹念に渉猟して、従来の定説を覆している大変な労作。 例えば、日露戦争の陸上決戦である奉天会戦における第三軍(司令官乃木希典大将)の左翼からの攻勢が「不活発」との定説につき、逆に活発すぎて第二軍との戦線の間隙が出来...
「坂の上の雲」などで偶像視されてきた児玉源太郎の足跡を、過去の資料を丹念に渉猟して、従来の定説を覆している大変な労作。 例えば、日露戦争の陸上決戦である奉天会戦における第三軍(司令官乃木希典大将)の左翼からの攻勢が「不活発」との定説につき、逆に活発すぎて第二軍との戦線の間隙が出来た為に総司令部から停止命令を受け、結果として正面に敵対していたロシア第二軍を殲滅する好機を逸していた事など、児玉総参謀長の指揮の失敗なども一つ一つの戦闘や施策について検証されている。 そういう失策があるとはいえ、現代のマネジメントセオリーにも通じる人心掌握術と、政略と戦略を統一(大戦略/grand strategy)を具現化できる手腕についても詳細に事例とともに挙げられており、単なる人物評伝というよりも、経営学のケーススタディとしても耐え得る内容で、大変読み応えがある一冊であった。
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