何様 の商品レビュー
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何者を読んだ後すぐに読んだ。何者を上回ることはなかったけど、何者に心打たれた私にとってはわくわくする話だった 印象に残ったのはギンジの甥っ子の話。 何かを伝えたくて表現者が表現していること、それは切実な当事者にとってはその表現を味わう余裕すらないこと。でも、だからといって全く価値のないものでは無いこと。沢山の矛盾の中の一つを、言語化してくれたような気がする。 君島の、「1秒の誠実」には心救われた
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どのエピソードにも共感できる部分、気付かされる部分があってとても良かった。特に、「水曜日の南階段はきれい」の話は青春そのもので読んでいて爽やかな気分になった。また、「きみだけの絶対」のピボットの部分が印象的だった。 もう一度読み直したい。
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「何者」と一緒にもう一度読み返したい。朝井リョウの青春小説から読み始めたので、冒頭の高校時代の話が個人的には好みだけれど、なんとも言えない感情やままならない日常、それでも生きていかないといけない現実など言葉にうまく言い表せなかった部分が言語化されていて、読んでいてウッてなるけどや...
「何者」と一緒にもう一度読み返したい。朝井リョウの青春小説から読み始めたので、冒頭の高校時代の話が個人的には好みだけれど、なんとも言えない感情やままならない日常、それでも生きていかないといけない現実など言葉にうまく言い表せなかった部分が言語化されていて、読んでいてウッてなるけどやっぱり好きだなと思う。
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どのエピソードの人物にも少しハッとさせられた部分がある。擦り減ってしまわないように自分の夢を守ってきた夕子、自分から頼んで二人組をつくってもらうことはしてこなかった理香、自分が弱い者でいられる理由がほしい田名部の妻。誠実でありたい、信頼関係を築きたい、と思っても人生そう簡単ではな...
どのエピソードの人物にも少しハッとさせられた部分がある。擦り減ってしまわないように自分の夢を守ってきた夕子、自分から頼んで二人組をつくってもらうことはしてこなかった理香、自分が弱い者でいられる理由がほしい田名部の妻。誠実でありたい、信頼関係を築きたい、と思っても人生そう簡単ではないという、大人の階段をのぼった先でのストーリー。
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いまあらすじ読んで、サワ先輩と瑞月の父の物語があったことに気付いた(笑) アナザーストーリーって書いてあったから就活時の別視点の話かと思ったら時系列全然違った。 両想いだと後から知るの儚い。青春。 2人組作れないの辛い、わかる。 私も年上だと思ってた人たち優に越してた。 人間はギャップのほうが評価されがちよね。 伝えたい人がいないプラットフォーム切ない。 一瞬でも感じたホントを大事に生きたい。
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「何者」のアナザーストーリーである「何様」は様々な場面からストーリーが展開され周りに縛られている、自分がわからないなど多くの人に問いを与えてくれる。 ・正解不正解がない世の中だから不安になっている。 「これが正しいのですと、誰かに判を押してほしい」 情報過多になり自分がわからない...
「何者」のアナザーストーリーである「何様」は様々な場面からストーリーが展開され周りに縛られている、自分がわからないなど多くの人に問いを与えてくれる。 ・正解不正解がない世の中だから不安になっている。 「これが正しいのですと、誰かに判を押してほしい」 情報過多になり自分がわからない。考えることをやめ、何かを正解だと信じることで安心を求めている人たちの心を表している。 ・他人から与えられたイメージに縛られる。 「誰にとってもいい人な自分がどれだけ人を傷つけられるのか、そのあとに変われるのか。」 周りから“いい人”と言われ続け、そうあろうするのが辛くなっていく主人公。与えられたレッテルから脱却することの怖さと正直に生きたいという葛藤が表れている。 この作品は日常の“そういうものだ”と済ませていたものを考え直すことができ自分とは何者でどういう人間なのかを知るキッカケやヒントをくれました。
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青春時代の爽やかさが漂う「水曜日の南階段はきれい」に始まり、多種多様なストーリーが揃う短編集。 「逆算」と「君だけの絶対」は頭の中が「ん?」で溢れたけれど、他の4作は面白く読めて、最後の「何様」でうまく綺麗にまとまった印象。 あちこちで辛い気持ちになったり、心が迷子になってしまっ...
青春時代の爽やかさが漂う「水曜日の南階段はきれい」に始まり、多種多様なストーリーが揃う短編集。 「逆算」と「君だけの絶対」は頭の中が「ん?」で溢れたけれど、他の4作は面白く読めて、最後の「何様」でうまく綺麗にまとまった印象。 あちこちで辛い気持ちになったり、心が迷子になってしまっていたけれど、おかげで読後感はとても良い。 4年前に読んだ「何者」とかなりリンクしているということだったので、読み直してみたけれど、2作を並べて置いて思うことは、本当に朝井リョウはすごい!ということ。 自分の嫌な部分をクローズアップされるようで、読んでいて胸が締め付けられることも多いこの作者の作品だけれど、何故か結果的に心にことっとはまるところがあるから、5つ星をつけてしまうほど好きなんだろうと思う。
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人からかっこ悪く見えたとしても、カッコ悪さと向き合って精一杯生きている彼らに共感ばかりでした。すべてのストーリーを読み終えるたびに、なんだか爽やかな気持ちになりました。 同世代だからか、等身大の生き方を描写されている朝井リョウさんの作品が大好きです。
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いままで読んだ本の中でもかなり好きな作品でした。 特に就活生の面接の面接官の立場で書かれているストーリーが面白かったです。何も知らないで騙されている就活生と面接官の本音が書かれており、2つの世界観を楽しめたのでとてもおすすめでした。
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『何者』のスピンオフ作品。気になっていた部分の裏側を見せてくれた。 ● 「水曜日の南階段はきれい」 光太郎の甘酸っぱい初恋のエピソード。明るくお調子者ながらも、人のことをきちんと見て誠実に接する光太郎だからこそ、この恋が生まれたのだと思う。 ●「それでは二人組を作ってください。...
『何者』のスピンオフ作品。気になっていた部分の裏側を見せてくれた。 ● 「水曜日の南階段はきれい」 光太郎の甘酸っぱい初恋のエピソード。明るくお調子者ながらも、人のことをきちんと見て誠実に接する光太郎だからこそ、この恋が生まれたのだと思う。 ●「それでは二人組を作ってください。」 理香と隆良の出会い。理香と隆良は理想や体裁を気にする似たもの同士だし、付き合いも『どっちもカッコつけて始めた恋』と拓人が述べていた分析通り。だけど理香の根本にある「相手も自分を大切に思ってくれる人間関係がほしい」という気持ちや隆良を見下している想いがあると知り、『何者』で苦手だった理香を少し愛おしく思えた。 ●「逆算」 サワ先輩。社会人になっても人の気持ちを汲み取って、理解してくれていた。人の心をナチュラルに軽くしてくれる素敵な人。終わり方にびっくり。 ●「きみだけのぜったい」 烏丸ギンジはこれからも演劇を続けるだろうし、届けようとする人にはずっと届かないんだろう。彼は届けたつもりだし、自分の演劇を自分のポリシーを正解だと疑わないんだろう。演劇を観に行ったギンジの高校生の甥の、物事の新たな捉え方や考え方の転換のきっかけになったのは良かったなと思う。 ●「むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった」 瑞月の父親。真面目で優しく、思いやりのある人だからこそ、瑞月も真っ直ぐで家族のことを第一に考える人になったんだろう。でもそんな人だからこそ、1人で抱え込んでしんどくなってしまう。真面目で正しい道を歩もうとする人の心を、優しく包み込んで認めてくれるような人が近くにいてほしい。 ●「何様」 就活で拓人と同じ面接を受けた学生。『何者』のラストでチラッと出てきた時は、この面接に受かって、仕事も愛嬌とコミュ力で卒なくこなして、プライベートも楽しんでます的な、人生エンジョイ社会人になるんだろうなーと思っていた。だけど意外に真面目で、彼なりに色々思って悩む部分があるのだなと思った。子供が産まれることに複雑な気持ちを抱く自分を「誠実」じゃないと責める彼に、「いきなり百%誠実は無理。嬉しいと思った本気の1秒だって誠実のうち。その誠実への第一歩も誠実のうちに入れてあげて。」という場面が痺れた。特に好きなアンソロジー。 私自身、今後も生きていくなかで不誠実な自分が出て、後悔したり悩んだりすることがあると思う。だけど、その不誠実の中にもあったはずの本気の1秒を見つけて、自分自身を救ってあげようと思う。 やはり朝井リョウは凄い。私たちが言葉にできないような思考や感情を、適切にマッチする言葉で表現している。どうして人間の深層心理を綺麗に浮き彫りにできるんだろうと毎回思う。 しかも、読者を第三者の視点で物語全体を客観的に眺める傍観者にするのではなく、自分自身の話のように思えるように書く。世界観に入りやすく、読みやすいので大好き。早く『正欲』を読みたい。
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